私が十代の頃、テレビの中では、女性がセクハラされるのが日常のこととして描かれていた。 今でも忘れられないドラマの場面がある。それはショートオムニバスドラマで、会社の温泉旅行の幹事になったOLが主人公だった。宴会の出し物の一つとして、浴衣を着た新人OLたちがステージの上に呼び集められ、周囲の男性社員たちが合図して、女性たちの浴衣の裾を引っ張り上げる。当然彼女たちの下着が露になり、彼女たちが悲鳴を上げる一方、男性社員たちは大喜びするという場面だった。 主人公のOLの目にそれは醜悪なものとして映っており、男性社員たちの酔いに任せたセクハラの現場の数々を写真に収めた彼女は、旅行後、記念写真ですとそれらの写真を彼らに配ってまわり、復讐する、という話だった。セクハラは悪いことという意識はあっても、いつもどこか冗談めかされ、軽いものとして描かれていた。私は子どもで、当時の実際の会社の状況を知る由はなかっ
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