NYタイムズのデジタル売上倍増計画の目標が達成しそうである。2014年にデジタル売上倍増計画を打ち上げたが、その年に4億ドル以下であったデジタル売上を2020年までに8億ドルに倍増させる目標を掲げた。 かなり厳しい目標と思われたが、今年に入ってデジタル売上が前年比で30%増を上回り、一気に展望が開けてきたのである。やはり「トランプ特需」が効いたようだ。昨年後半の大統領選、それに予想外のトランプ氏の勝利、そして今年に入ってトランプ大統領の誕生と、トランプ旋風が吹き荒れている。NYタイムズのようなリベラル系ニュースメディアはトランプ大統領との対決で危機感を募らせていたが、その対決ムードがNYタイムズにとって思わぬ追い風となり、新規の有料購読者が殺到したのである。 有料デジタルニュースのサービスを始めてから、購読者数が6年間でどう推移したかを図1に示す。これはデジタル版だけの定期購読者数である。
世界のニュースメディアはフェイスブック(FB)に頼らざるえない状況に立たされている。でも幸か不幸か、日本のニュースメディアはFBにほとんど頼っていない。 海外の主要ニュースメディアは、日本に比べ約100倍のFBフォロワーを抱えている 海外メディアと日本メディアとでは、FBに取り組む温度差がけた違いに大きい。それぞれの主要ニュースメディアのFBページがどれくらいのフォロワーを抱えているかを見れば明らかである。図1に示すように、海外の大手ニュースメディアが500万人~4000万人規模の大多数ユーザーからフォローされているのに対し、日本の主要ニュースメディアはわずか5万人~35万人くらいしかフォローされていない。1桁どころか2桁くらいの差がついている。 図1 代表的な総合ニュースメディア(デジタル版)のFBページのフォロワー数。ここでは旗艦FBページのフォロワー数を示している。海外の大手ニュース
インプレッション型広告をめぐる数々の課題が急浮上している。 ビューアビリティ問題からクリック詐欺、 そして、広告ブロックと表示速度問題。 デジタルメディア=Web メディア であった時代の終えんが加速する。 そこに関わる要素を整理し次の時代を考える。 毎年、消費者のメディア接点を統計的に追っている調査に、メディア環境研究所による「メディア定点調査」があります。従来の“四マス”メディア、すなわちテレビ、ラジオ、新聞、雑誌に加えて、パソコン、タブレット、そして携帯電話・スマートフォンなど、新たなメディア基盤と消費者の接点の変化を、継続的に追うことができる貴重なものです。 2015年に行われた調査結果について、メディア環境研究所の新美妙子氏は、次のような解説を加えています(「生活者のメディア接触は『量』から『スピード』へ~メディア定点調査2015 最新データより~」)。 情報爆発以降、情報量は拡
英国の老舗メディア The Economist が 印刷・デジタル(そしてモバイル)両面で新アプローチを示す。 同誌編集幹部が示す独自のメディア戦略、 “蒸留”と“読了可能性”について考察しよう。 創刊が1840年代、つまり170年強の歴史を誇る英国の週刊新聞 The Economist の動きが活発です(Economist のスタッフ諸氏は、自らを「Newspaper」呼ぶのですが)。同誌の歴史上初の女性編集長が2014年末就任、また、積極的な印刷およびデジタルの購読制を推進する中、日刊ニュースアプリ「Espresso」をやはり昨年同時期に立ち上げるなどです。 特に Espresso は、自らの専用ニュースアプリを考えるニュースメディアにとっては参考にすべきアプリです。その基本は、週刊本誌の有償購読者に日刊情報を届けるニュースアプリですが、無償購読、すなわちトライアルユーザーにも1日1本
英ロイター・ジャーナリズム研究所が今月中旬、日本、米国、英国を含む世界10か国でどのようにネット上のニュースが閲覧されているかをまとめた「デジタル・ニュース・リポート2014」を発表した。スマートフォンやタブレットでニュースを読む割合が昨年より増加する一方で、お金を払って読む人の割合はまだ少ないことが分かった。全体の傾向と日本の状況を紹介したい。(在英ジャーナリスト&メディア・アナリスト 小林恭子) スマホ、タブレットでの閲覧率はデンマークがトップ ロイター研究所による同様のリポートの発表は今年で3回目。昨年版については以前にこのコラムでも紹介したが、今年は対象国としてフィンランドが加わり、日米英、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、デンマーク、ブラジル都市部の10か国・地域となった。 世論調査を行う英「ユーガブ(YouGov)」が今年1月末から2月上旬にかけて調査を実行。その国の人口構
メディア接触が激変しているなか、メディア接触時間でデジタルメディアがTVを、モバイルデバイスがPCを追い抜く。eMarketerの調査によると、2013年の米国大人の1日当たりメディア接触時間でデジタルメディアが5時間を突破し、TV接触時間の4時間半を初めて追い抜く。またデジタルメディア接触の内訳でも、モバイルデバイス(非音声)が2時間21分となり、やはり初めてPC(デスクトップ/ラップトップ)の2時間19分を抜き去る。 主要メディアの接触時間とシェアの推移(2010年から2013年まで)は次の通り。 一日当たりのメディア接触時間が2010年の10時間46分間から2013年の11時間52分間と増え続けている。例えばタブレットを使いながらTVを視聴している場合、TV接触時間とモバイル接触時間の両方をダブルカウントしていることが響いている。さらにスマホなどの普及により、いつでもどこでもメディア
ニュースリリース メディア環境研究所「メディア定点調査2013」 発信元:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ2013年6月10日 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所(本社:東京都港区、所長:吉田弘)は、生活者のメディア接触の現状を分析する「メディア定点調査2013」を実施しました。 東京地区の調査結果によると、マス4媒体とインターネット2媒体(パソコン、スマートフォンを含む携帯電話)を合わせた1日のメディア接触時間は、5時間53分(週平均)と昨年とほぼ同数値となりました。1日のメディア接触時間は生活時間の中で飽和状態であると推定され、2010年以降、数値にほぼ変化はありません。 近年、パソコンおよび携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット接続時間が伸長していましたが、今回、携帯電話からのインターネット接続時間は50.6分と、昨年の40.4分から10分近
広告経済の低迷と、従来型の広告を嫌うトレンドが、新たな兆候を見せている ソーシャルメディアに象徴的なストリーム型メディアは、 堅固だったページビュー型経済モデルを揺るがせつつ Web メディアに新たな流れをもたらすのだろうか? 「広告はクールじゃない」——。 実在する人物でもあるショーン・パーカーとそう語り合うのは、スクリーン中の Facebook CEO マーク・ザッカーバーグです(映画「ソーシャル・ネットワーク」)。 Facebook がようやく成長軌道を描きはじめた時、映画はパーカーに「(ビジネスに走って)パーティーを11時に終わらせるんじゃない」とも言わせています。 いずれも、広告ビジネス開始によって成長にブレーキがかかったり、ユーザーの離反を招くことを良しとしない西海岸的雰囲気をよく伝えるシーンがそこにあります。 出典:Flims Goes With Net「アメリカ
2012年メディア定点調査 2012年6月13日 株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 調査設計 ■調査目的 メディア環境の変化に伴い、既存のメディア、新しく出現した メディアのライフステージを定点観測(俯瞰)し、市場形成の 兆しを発見すること。 ■調査地区 東京都・大阪府・愛知県・高知県 ■調査対象者 15~69歳男女 ■調査方法 郵送調査法 ■標本抽出方法 RDD(Random Digit Dialing) ■標本構成 2651サンプル (東京659、大阪666、愛知676、高知650) ■調査期間 2012年2月3日(金)~2月16日(木) ■調査実施機関 ㈱ビデオリサーチ サンプル構成(東京地区) 男性 15~19歳 62 55 58 20代 65 55 185 30代 60 52 248 40代 62 55 225 50代 60 56 166 60代 6
前回記事は、開始以来の大反響となりありがとうございました。書く側としても励みになります。さて、今回からは、オフラインのものも含め、メディア上であり得るコンテンツの形態について、基本フレームとなる3つのコンセプトを提供し、3回に渡ってそれぞれについて解説をしていきます。 具体的には ストック⇔フロー 参加性⇔権威性 リニア⇔ノンリニア の3軸になります。 この世の中のあらゆる物体が、「縦」×「横」×「高さ」の3次元で構成されているように、メディアの世界ではあらゆるコンテンツ、それこそ「聖書」から「投稿ニャンニャン写真」のようなエッチ本、はてはTwitterのツブヤキからニコ動のMAD動画まで、上記の3次元上でマッピング可能だと私は考えています。 その第1回である今回は「ストック」型のコンテンツと、「フロー」型のコンテンツの違いについて解説したいと思います。この3つの中で最重要の概念が、このフ
米新聞社が奈落の底に落っこちていく・・・。米新聞協会NAA(Newspaper Association of America)が発表した米新聞社の広告売上データは,「新聞の終焉」を予告しているかのようである。 ある程度は覚悟をしていたものの,状況は悪化する一方で,やはりひど過ぎる。米国の新聞社は,広告売上に大きく依存している。今でも平均で総売上の7割近くを広告に頼っているはずだ。その広告売上が次表のように急降下しているのである。2009年第1四半期の総広告売上(新聞紙広告+オンライン広告)は66億ドルで,前年同期比でマイナス28.28%と落ち込んだ。特に関係者にとってショックだったのは,オンライン広告までが同13.4%減と2ケタ台のマイナス成長になったことである。これからのけん引役をオンライン事業に期待したのに。 米国の広告市場は季節要因で,第4四半期がいつも大きく膨らむ。そのため広告市場
経済危機の打撃をもっとも受けたのは、意外なことに新聞だった、とEconomistは論評している。サンフランシスコからは地方紙が消えるかもしれない。イギリスでは昨年、70の地方紙が消えた。NYタイムズさえ、グーグルに買収されるとかNPOになるとかいう噂が流れている。日本でも、朝日新聞社のボーナスは48%減額されたそうだ。 新聞社には気の毒だが、この流れはもう変わらないだろう。価格は限界費用に等しくなるという市場原理はきわめて強力なもので、長期的にこの法則からまぬがれた産業はない。情報の限界費用(複製費用)はゼロなので、その価格がゼロになることは避けられない。ましてウェブのように完全競争に近い世界では、新古典派経済学の教科書に近い結果が短期間で成立し、レントはゼロになってしまう。 これは実は新しいことではない。クラークも指摘するように、産業革命の恩恵をもっとも受けたのは単純労働者であり、資
インターネットがメディア産業を牽引し,その主役をGoogleが演じている・・・,と言いたいところだが。でもメディア産業全体から見て,現段階の売上規模だけで比較すると,まだまだGoogleもオンラインもマイナーなのかもしれない。 Ad Age(AdvertisingAge)が発表した2008年版メディア調査によると,米メディア企業の2007年売上高ランキングでGoogleは大きく上昇したにもかかわらず,まだ12位とトップ10社に食い込めていない。またメディア産業全体の中で,デジタル(オンライン)メディアの占める割合はまだ7.9%に過ぎないのだ。 Ad Ageのレポートでは,米メディア企業トップ100(100 Leading Media Companies)を,Excelファイルの形で提供してくれている。その表の一部を切り出して,以下に掲げておく。 (ソース:Ad Age) トップ31社しか載
I.はじめに この10年間の情報通信分野の急速な技術革新は、新たな産業を創造し、経営・政策・社会的課題に対する新たな解決手段をもたらす一方、既存の事業分野の常識や事業間の垣根を大きく崩し、旧来の技術等を踏まえて歴史的に作り上げられてきた制度の抜本的な再構築を迫っている。特に、デジタル化、IP化、ブロードバンド化等により、技術的には通信と放送は世界的にも融合の速度を速めており、欧米、韓国等のICT先進諸国においては、制度改革への取り組みが加速化している。 また、知価社会における情報通信分野の技術革新は、産業革命に匹敵する変化をもたらすことが想定される。かつてグーテンベルグによる印刷機の発明が宗教改革を惹起し、産業革命が王政の終焉と近代民主主義国家の成立を促したことと同様、情報通信革命はボーダレスに経済・産業構造、国家と国民の関係など政治構造、人々の価値観・規範・文化等の社会構造までにその影響
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