すでに述べたように、GDPデフレーターは「付加価値1単位を生産することにより得られる所得金額」の概念であり、直感的にそれは日本人の感じる「豊かさ(ないし貧しさ)」に直結しそうである。おそらく、「デフレ」という感覚の大小にも一致するだろう。輸入財価格主導で交易条件が悪化し、日本人の所得が海外(資源国)へ流出することで人々の覚えるデフレ感が強まってきたという総括はさほど的外れではあるまい。 なお、交易条件の悪化が「豊かさ」を抑制してきたという事実を確認する方法はGDPデフレーターを見る以外にもある。今回はGDPデフレーターの重要性を解説するのが趣旨であるため回りくどい説明となったが、そもそも実質賃金は①労働生産性、②交易条件、③労働分配率に分解される。 (4)のグラフはこの関係を基に、日本における時間当たり実質賃金の前年比変化率の累積を寄与度分解して見せたものだ。労働分配率もさることながら、交
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