ある後輩が意を決して言う。前川さんは本当に、ウソのつけない人なんです――。 彼らも前川氏のように、「黒は黒だ」と素直に言えれば、どれだけ楽になるだろう。「現役」である彼らにそれはできない。 佐川になるな、前川になれ 「今はただ、悲しいです。尊敬する先輩が、全国民から安倍政権の『政敵』であるかのように見られている。毎日、前川さんが『悪人』であるかのように報じられている。それが悲しい」 こう吐露するのは、文部科学省の中堅キャリア官僚だ。彼はこれまで、前川喜平・文部科学省前事務次官とも一緒に仕事をしてきた。 「前川の乱」をめぐって、文科官僚たちの心はいま、千々に乱れている。 前川氏は、安倍政権に対して堂々と弓を引いた。安倍政権が続く限り、文科省が「政敵」扱いされることは、もはや避けようがない。 だが――詳しくは後述するが、文科省の、とりわけ上層部にとって前川氏は、「文科の良心」といわれるほどの大
