朝日新聞、2019年7月9日付朝刊の1面。「ハンセン病家族訴訟 控訴へ」の大見出しが躍る。(写真=編集部) 「ハンセン病家族訴訟 控訴へ」 7月9日、朝日新聞は朝刊1面トップで、ハンセン病患者の隔離政策による家族への差別被害を認めて国に賠償を命じた熊本地裁判決について、政府が控訴を行うとの方針をいち早く報じた“スクープ記事”を放った。1面トップのスクープ記事は新聞記者にとって勲章ともいえるものだが、このスクープ記事は、日の目を見てから半日どころか数時間で、見るも無惨な“大誤報”となった。 同日午前7時すぎには共同通信が、「ハンセン病家族訴訟で控訴断念」と、朝日新聞の報道と180度異なるニュース速報を打ち、NHKなど他メディアも同様の報道で続く。同9時前には安倍晋三首相自らが、「家族の苦労をこれ以上長引かせない」などとして控訴しない方針を表明。以後、全国的にこの日の“メインニュース”扱いとな