焼けてさびついたように見えるハサミ。英語とロシア語の文章とともにインスタグラムに投稿された1枚の写真は教えてくれた。「ヘアスタイルを変えたり、髪の色を変えたりするような何気ない日常は、平和じゃないと楽しめないんだ」と――。【菅野蘭】 <これが唯一残ったもの> 3月10日深夜、ウクライナ南東部の街、マリウポリ。ウォロディミル・ニコラシチェンコさん(42)の自宅をロシア軍のミサイルが襲った。当時、自宅には妻や親族の8人がいた。「自分と家族を守るのに精いっぱいだった」。幸い全員の命は助かったものの、家やガレージ、3台の車の全てが炎に包まれた。 それから2日後。攻撃から避難しながら、焼け落ちた自宅の様子を見に行った。がれきの中から見つけ出したのは、焼けた1丁のハサミ。スマートフォンで撮影し、インスタグラムに投稿した。<これが私のバーバーショップで唯一残ったものです>。タイトルにはこう記した。<ミズ
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