→紀伊國屋書店で購入 自分が取材を受けた本の書評は書きづらいものだ。まして、そのテーマが私自身の専門と重なっている場合は。 本書の原題「遮られた太陽 Shutting Out the Sun」は、天の岩戸に隠れた天照大神のエピソードを連想させるが、テーマはむしろ邦題に示されている。著者は日本に特有の「ひきこもり」という奇妙な現象に注目し、終始「ひきこもり」の隠喩によって日本社会の病理を語ろうとするのだ。 東宮御所にひきこもる雅子妃も、凋落する日本経済と停滞する政治も、異常なブランド崇拝やオタクの存在も、上昇する自殺率も、国際的孤立も、みな病根は「ひきこもり」と同じ。「セルフ・エスティーム」の感覚を欠き、他者を閉め出し、ひとと違うことをタブーとして異常なまでに均質であることを志向する日本人の国民性によるのだという。 この種の視点は、それほど珍しいものではない。むしろ欧米的視点から「ひきこもり