障害者雇用の水増し問題は、中央省庁が形だけの数値目標達成にこだわり、障害者雇用促進法が障害者の社会参加を促すために制定された経緯を軽視していた実態を浮き彫りにした。障害者雇用を進める企業や障害者団体からは、制度運用の見直しを求める声が上がる。自身も障害者で、障害者を積極的に雇用する福祉機器販売のアビリティーズ・ケアネット(東京)の伊東弘泰会長(76)=写真、内山田正夫撮影=に聞いた。 (城島建治、妹尾聡太) 「信じられない。あってはならないことだ。法律が制定された当時、障害者は差別され、就職できない時代だった。法律は障害者の働く権利を守るためにつくられた。社会参加を促し、障害者と健常者が共に生きる共生社会を実現するのが目標ともいえるが、中央省庁はそれを踏みにじった」