3つのポイント GX(グリーントランスフォーメーション)を推進して脱炭素社会を実現するという名目で、岸田政権は5月12日にGX推進法を、同31日にGX脱炭素電源法を、それぞれ国会で可決・成立させた。 このGX2法のポイントは、①官民で総額150兆円は必要だという投資の一部を賄うため、新たに「GX経済移行債」という名の国債を発行して20兆円を調達、補助金などに充てる、②その償還費用とするために、本格的なカーボン・プライシングを導入する、③2011年の東京電力・福島第一原子力発電所の大事故以来、抑制的だった政策を大きく転換し、原子力発電の本格活用路線に回帰する、――の3点に集約される。 だが、GX2法の中身を見ていくと、カーボン・プライシングの導入は遅くて限定的なものとなっており、再生可能エネルギーへの転換が進みにくい状況を放置したまま、原子力発電所の運転延長、新設、増設、建て替えなどを後押し