民生委員の4人に1人が、社会的に孤立した人に対応した経験があることがわかった。支援対象者の2割以上には認知症や障害があった。民生委員制度の創設100周年にあたる12日、全国民生委員児童委員連合会(全民児連)がこんな調査結果を公表した。進む高齢化の中で、公的支援が届きにくい実態が浮かび上がる。 調査は全民児連が昨年7~9月、全国の民生委員23万1551人を対象に実施。20万750人(87%)から回答を得た。3年間の任期中に社会的孤立の世帯を担当したことがある民生委員は、5万3454人(27%)に上った。そのうち、最も対応が困難だった対象者について分析した。 対象者の6割近くが65歳以上の高齢者で、75歳以上は42%。40~50代の比較的若い層も13%いた。疑いも含めて28%に障害があり、25%に認知症の症状があった。一人暮らしの高齢世帯が34%で、同居人も含めて54%に仕事がなかった。 民生
子どもの貧困対策として、自治体などが無料で勉強をサポートする「学習支援事業」について、対象自治体の7割以上が事業を実施または予定・検討していることが、NPO法人の調査でわかった。事業を利用する中学生の5~6割ほどが、勉強や友人関係、将来への見通しで良い影響を実感している結果も出た。 学習支援事業は、2015年に施行された生活困窮者自立支援制度をもとに、15年度から本格始動した。都道府県や市など福祉事務所がある901自治体(16年9月現在)が対象で、各自治体が任意で実施する。 若者や子どもの居場所づくりを支援するNPO法人「さいたまユースサポートネット」(さいたま市)が実施状況を調査。昨年11~12月、対象自治体のうち755自治体から回答を得た。48・7%が事業を実施し、今年度から実施予定が7・2%、実施検討中が19・7%だった。厚生労働省の調べでは、16年度は901自治体の46・9%の42
得能金市・全国民生委員児童委員連合会長 民生委員制度が、その源とされる大正6年の済世顧問制度創設から100年を迎えました。昨年12月に3年に1度の一斉改選があり、委嘱された約23万人が全国各地で活動しています。今年3月に全国民生委員児童委員連合会の会長に就任した得能金市氏に、これまでの活動の総括、直面する課題、今後の意気込みなど伺いました。 ――100年を迎えた民生委員制度の意義をどう捉えていますか。 貧困者を救う済世顧問制度として始まり、社会情勢が変わっても連綿と存続してきたのは、あらゆる人のよき隣人でありたいという先達民生委員の強い思いがあったからです。 よき隣人として地域の身近な相談役であり見守り役であったからこそ、住民は他人には言えない相談事を民生委員に話してくれた。それが100年続いてきた根幹にあります。 「民生」とは、国民の生活・生計という意で、民生委員は国民の暮らしの安定向上
北九州アパート火災、日雇い労働者の簡易宿泊所か=6人死亡-福岡県警 北九州市のアパート火災で現場検証の準備をする捜査員や消防隊員ら=9日午前 北九州市のアパートが全焼し、焼け跡から6人の遺体が見つかった火災で、福岡県警小倉北署は9日も、火元や出火原因を特定するために現場検証を行った。アパート北側の玄関付近が激しく焼けており、詳しい状況を調べる。日雇い労働者らの「簡易宿泊所」として利用されていた可能性もあり、同署は利用実態も調べる。亡くなった6人は連絡が取れない住人とみられ、遺体の身元確認を急ぐ。 〔写真特集〕北九州市で木造アパートが全焼~6人死亡~ アパートは1階7室、2階9室の計16室あり、各室1人が入居していた。1階には共同の台所があった。生活保護者や日雇い労働者の男性らも利用し、短期間の宿泊に使っていた人もいたという。 市によると、建物は宿泊する場所を多数で共用する施設を設ける旅
親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)が、熊本市の慈恵病院に開設されてまもなく10年になる。預けられたのは120人以上。子どもにとって最善の選択なのかという懸念も抱えつつ、望まない妊娠で孤立する母親たちが絶えないという現実を映している。 2007年5月10日に始まった「ゆりかご」は、預けられると看護師がすぐに駆け付け、子どもを保護する。病院は「命を救う最後の手段」と位置づけ、「まずは相談を」と呼びかけてきた。それでも当初から「安易な遺棄が増える」「子が親を知る権利を奪う」などの批判があった。 運用状況を検証する熊本市の専門部会によると、08年度に最多の25人が預けられたが、11年度以降は10人前後で推移した。16年3月末までに預けられた125人のうち、親との接触などで判明した預け入れの理由は「生活困窮」「未婚」が上位を占めた。想定していたのは新生児だ
あきやま・けんいちろう/1971年兵庫県生まれ。『弁護士の格差』『友達以上、不倫未満』(以上、朝日新書)、『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社新書)、『最新証券業界の動向とカラクリがよーくわかる本』『いまこそ知っておきた い!本当の中国経済とビジネス』(以上、秀和システム)など著書多数。共著に『知られざる自衛隊と軍事ビジネス』『自衛隊の真実』 (別冊宝島)などがある。週刊ダイヤモンドでの主な参加特集は、『自衛隊 防衛ビジネス 本当の実力』『創価学会と共産党』がある。 JAPAN Another Face 白昼の世界からは窺い知ることのできない、闇の世界や夜の世界。日本社会の「もうひとつの貌」に迫る。 バックナンバー一覧 のっぴきならない「事情」を抱えて路上生活に転落した人も多い、大阪・西成「あいりん地区」。彼らの日々の生活はもちろん、「死」を取り巻く環境もまた、なかなかシビアだ。行政関係者
「貧困ビジネス」で生活保護費を搾取されたとして、男性2人がかつて入居していた宿泊施設側に対して、保護費の返還などを求めた訴訟の判決が3月、さいたま地裁であった。脇由紀裁判長は「生活保護法の趣旨に反し、違法性が高い」として、施設の経営者に計約1580万円の支払いを命じた。 路上生活をしていた男性2人は、2005年から2010年にかけて、この経営者が運営する埼玉県内の宿泊施設に入居した。生活保護費を施設側にわたす代わりに食事の提供を受けたが、手元には月2万円ほどの小遣いしか残されなかった。また、6畳程度の部屋を2人で使用し、食事は安価で栄養バランスを欠いたものだったという。 「貧困ビジネス」の違法性を認め、賠償を命じた初めての判決だということだ。今回の判決のポイントと貧困ビジネスの実態について、貧困問題に取り組む戸舘圭之弁護士に聞いた。 ●新宿などの路上生活者を勧誘していた 「今回の裁判で被告
2015年度に児童養護施設などを退所した若者のうち、2割近くが連絡が取れなくなっていることが、全国社会福祉協議会(全社協、東京・千代田)による1日までの調査で分かった。同会によると、退所者の連絡状況を全国規模で調査するのは初めてという。施設を退所した後の対応は、児童福祉法に相談など自立支援の必要性が明記されている。しかし連絡方法などは施設任せだ。生活基盤が確立していない退所者も多く、同会の担当
◆ARCHとは? ARCH(アーチ:Advocacy and Research Centre for Homelessness)はホームレス問題についてのアドボカシー(政策提言)と研究を行う市民団体です。2020東京オリンピック・パラリンピックを機に東京がホームレスの人々を包摂する「優しい都市」となることを目指し、東京工業大学の都市デザインを専門とする研究者や学生が中心となって、大会5年前の2015年10月に設立しました。海外ではオリパラを機にホームレス政策が進んだ例があり、東京も2020年大会に向け、本気で支援に取り組むべきと私たちは考えます。「ホームレス状態が存在するときに、そこに住む皆が自分たちの問題と考え、その状態をなくすために働きかけ続ける社会」をビジョンに掲げ、ホームレス問題をめぐるオリパラレガシー創出を目指して、研究者や法律家、民間企業、行政等のプロボノボランティアや、ホーム
せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。http://seidansha.com News&Analysis 刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コーナー。 バックナンバー一覧 一軒家やマンションの一室を複数人で共有して暮らす「シェアハウス」。リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ/2012年~)の影響もあり、「シェアハウス=オシャレ物件」というイメージを抱いている人も多いだろう。しかし実際には、経済的な理由からやむを得ず選択し、その生活から抜け出せない“シェアハウス難民”もいるという。困窮した若者が集うシェアハウスの実態と、その背景とは(取材・文/松原麻依[清談社]) 都内在住で手取り1
子どもの貧困対策として、大阪府が今夏から困窮家庭を早期に支援するモデル事業を同府門真市で始める。府の調査では、支援が必要な家庭の把握が難しく、公的支援が行き渡っていない実態がわかった。モデル事業では、中学校区ごとに元教員らの「応援チーム」を立ち上げ、学校や福祉団体と連携し、支援が必要な子どもを漏らさず支える仕組みづくりを目指す。 府が門真市に委託して始めるモデル事業(予算額1235万円)では、元教員らでつくる「子どもの未来応援チーム」を設置する。市内に六つある中学校区をそれぞれ1~2人が担当。住民や学校、福祉団体との連絡役となり、寄せられた情報をもとに家庭を訪問して相談に乗ったり、支援制度を紹介したりする。 また、応援チームが中心となり、中学校区ごとに学識経験者や社会福祉協議会、小中学校の担当者らの関係者会議を毎月開くことも計画。地域のボランティアや子ども食堂などの支援団体とも連携し、定期
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