家族らによる高齢者虐待と認定された件数は、年々増え続けている。厚生労働省の調査では、二〇〇六年度に一万二千五百六十九件(通報一万八千三百九十件)だったのが、一四年度には一万五千七百三十九件(同二万五千七百九十一件)になった。 増加の背景には、〇六年度に施行された高齢者虐待防止法がある。高齢者の人権を守るため、虐待と疑われる事例を発見した人に、市町村への通報を義務付けた。 端緒となるのは「体にあざができている」「頭にこぶがあった」などが多い。ただ、高齢者の骨や皮膚は若者よりはるかに弱く、自室で転んだり、頭をぶつけただけでも青あざやこぶができたりする。介護の現場ならよくあることだが、知らないと「こんなひどい傷は、自分でつけられるわけがない」と考えてしまう。
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