日本プライマリ・ケア連合学会のワクチンプロジェクトチームは、乳児から高齢者まで全世代を対象としたワクチン・予防接種の総合情報サイトを開設し、ウェブ上で一般公開した。2018年6月16~17日に三重県津市で開催された日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で同チームのリーダーである中山久仁子氏(マイファミリークリニック蒲郡 院長)が報告した。サイト名は「こどもとおとなのワクチンサイト」(https:/
子宮頸(けい)がんの原因ウイルスの感染を防ぐ「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」について、日本産科婦人科学会は23日、接種の積極的な勧奨を早期に再開するよう求める声明を発表した。勧奨の中止から5年が過ぎ、国内外でワクチンの有効性と安全性を示す科学的な根拠が多く示されたとして、科学的な視点で議論するよう求めた。 記者会見で藤井知行理事長は「ほかのワクチンに比べて危険性が高いということはない。しかも、女性の命や妊娠に関わるがんを防げる。勧奨の再開については科学的に考えてほしい」と話した。 HPVワクチンは2010年11月、公費助成が始まり、13年4月に定期接種になった。だが、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、厚生労働省は6月、対象者に通知を出して接種を促す「積極的な勧奨」を中止。16年には、被害を訴える人たちが国と製薬会社に損害賠償を求める集団訴訟を起こした。
優生保護法(1948~96年)の前身で、ナチス・ドイツの断種法をモデルにした国民優生法(40~48年)の法制化を積極的に進めた日本民族衛生学会(現・日本健康学会、渡辺知保理事長)が、法案作成への関与やその後の対応について検証を始めた。年内をめどに資料などの調査を終え、見解をまとめる。「優生」に関わった国内の学会のうち、自らの関与を検証する試みは初めて。他の学会にも影響を与えそうだ。(社会面に「科学の名の下に」) 民族衛生学会は30年、東京帝国大教授で生理学者の永井潜氏を中心に創設。世俗的な優生思想を学問的な優生学に高めることを目指し、「遺伝性疾患」を不妊手術の対象とする断種法の制定運動も展開した。議員提案された法案を起草し、障害者らを対象にした不妊手術を推進する国民優生法の成立につながった。
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第3回ジュニア・アカデメイア発表会 産官学が連携した「日本アカデメイア」が次世代の人材を育てるために創設した「ジュニア・アカデメイア」の政策提言発表会が3月19日、東京都内で開かれた。大学・大学院の学生が、日本が直面する課題の解決に自主的に取り組み、既成の概念にとらわれない政策提言を行う。第3回の今年の最優秀賞は「社会全体で子育てグループ」に贈られた。 第3期ジュニア・アカデメイアは、お茶の水女子、学習院、慶応、上智、千葉、津田塾、東京、一橋、早稲田の9大学の学生約50人で昨年9月開校。校長に長谷川閑史・武田薬品工業相談役、教頭に谷口将紀東大教授が就き、各大学の指導教授らが協力した。専門家の講義は対話形式で、政治、外交、財政、社会保障などの政策課題について討議し、学生が自主的にグループを形成して、日本が抱えるさまざまな課題を解決する具体的な政策…
自閉症や発達障害をもつ子どもたちがバーチャルリアリティを通じてどのように学ぶのか?テクノロジーを活用したトレーニングが、発達障害の子どもたちにどのような影響を与えるのか?発達障害の子どもたちがバーチャルリアリティを活用することで、どのような成長や変化が見られるのか?ケント・キャリア・テックセンターのデジタルテクノロジー・プログラムでは、40の学校から来た高校生たちが、デジタル・デザイン、アニメーション、グラフィックス、ゲーム作成などに取り組んでいます。 これらは、発達障害の子どもたちを支援するために行われているものです。 パーカーをかぶり、イヤホンを着けているジェイロン・ジョンソンはここでの学習で、結果を出すことができました。 「僕たちが取り組んでいるバーチャルリアリティの取り組みは、教育ゲームのようなもので、エンターテイメント性ももっています。 社会的なコミュニケーションにおける細かなニ
沖縄県の子どもの貧困問題改善に向けて、シングルマザー支援のための「結転生(ゆいまーる)基金」を琉球大学が創設した。母親の雇用を創出することで、「貧困の連鎖」からの脱出を支援していく。 同県は母子のみの世帯率が3.06%と全国で最も高く、母子家庭の74.8%(全国平均64.0%)が200万円未満の年間就労収入で暮らす。非正規雇用の従業員比率が全国1位(44.5%)という厳しい環境が教育格差を生み、29.9%という全国一の子どもの貧困率につながっている。 地元の人材育成を担う教育機関として同大は2月15日に「結転生基金」を設立し、一般から寄付の募集を始めた。基金を活用し、4月からシングルマザー2人を有期雇用(5年間)の非常勤職員として採用することを目指している。 「広く浅く継続的」な協力を呼びかけ、600万~1000万円を目標額とする。「結(ゆい)が連綿として転生(まーる)していく」という基金
患者数が少ないために診療体制の整備が遅れている希少がんの研究を促進しようと、患者会11団体が「日本希少がん患者会ネットワーク」を結成した。10月にはがん関連の3学会と連携した国際シンポジウムを開催するなど、啓発や政策提言を目指している。 希少がんは、年間患者発生数が人口10万人当たり6人未満のがん。脳腫瘍や軟部肉腫など約200種類が該当する。小児がんも多様な子どものがん全体を指しているため、それぞれの患者数は少ない。同100人以上の患者がいる胃がんや乳がん…
「第1回国際ギャンブル・ネット依存フォーラム」を主催した神奈川県横須賀市の国立病院機構・久里浜医療センターは、ネット依存外来を2011年に国内で初めて開いた。12年からはネット依存の国際研究会を年1回開いてきた。 今年は、世界保健機関(WHO)がネットとギャンブルの依存をそれぞれ、熱中しすぎるとやめられなくなる「嗜癖(しへき)行動」の「病気」として初定義することを受け、ギャンブル依存もテーマに加えてフォーラムを開いた。 全国の医療機関や学校、依存支援NPOなどから約300人が参加。英国、韓国、ドイツの専門家が出席し、ネット依存が世界中で深刻な問題となりながら、対策が進んでいない現状について話し合った。 ドイツのリューベック大のハンスユルゲン・ルンプ教授は、ゲームが原因のネット依存について、欧州でも表面化していると紹介した。ただ治療を受けるのは氷山の一角だという。「ギャンブルのように、治療が
幼児10万人に1人の確率で発症するという難病「毛細血管拡張性運動失調症」(A―T)と闘う親子が青森市にいる。余命約10年という小学生の息子のために、母はNPO法人を立ち上げ、名前さえ知られていないこの病気の治療法を探している。医師たちによる研究会もNPOの要請で立ち上がり、10日に東京で初会合が開かれた。 「きょう、112回目です。お肉がいっぱいのところに刺すぞぉ」 1月30日夜。小山内(おさない)美和子さん(36)は青森市の自宅で、ソファに横たわった次男の龍弥君(10)の脇腹に注射針を差し込んだ。「痛い」と訴える龍弥君のおなかを優しくさする。2年以上前から続く、週1回の「恒例行事」で、龍弥君はこの注射で免疫力をなんとか維持している。 小さい時からよく転んでいた。心配した美和子さんが病院に連れていくと「気を引きたくてわざとやっているのでは」と突き放されたこともあった。だが、7歳の誕生日を迎
「子どもには人権がある」。当然のように言われているが、私たち大人はどこまでそれを本当に理解し、実現できているだろうか。憲法学者、木村草太さんが、子どもたちが抱える問題と日々向き合う現場のアクティビストたちと共に2月8日、『子どもの人権をまもるために』(晶文社)を刊行した。家庭における虐待や貧困、学校における指導死…。漠然と守られていると思っていた「子どもの人権」が危機にさらされていることが語られる。 もちろん、憲法や法律、条例など子どもの人権を守るための枠組みは存在する。しかし、現場でそうした対応を行うことは「必ずしも簡単ではない」と木村さんは指摘する。たとえば、近年社会問題となっている組体操。高さ3、4mにも及ぶ人間タワーが作られ、年間5000人以上の子どもが負傷している上、過去には死者も出ているが、教育の名の下に断行される。大人が高さ2m以上で作業する際には、手すりや命綱安全ネットなど
離婚時に養育費に関する取り決めをせず困窮する家庭が後を絶たないことから、県司法書士会では養育費を受け取るための手続きなどについて漫画で分かりやすく解説したパンフレット「子どものために養育費」を作成した。「若いシングルマザーに手にとってもらいたい」と、漫画好きの静岡大生6人に協力を要請し、全編を漫画化したことが特徴だ。 厚生労働省の調査(平成23年度)によると、協議離婚時には67・5%が養育費に関する取り決めをしておらず、継続して養育費を受け取っている母子家庭は19・7%にすぎなかった。 こうした状況を改善していこうと、県司法書士会に所属する司法書士8人が漫画パンフの作成を企画。「履行確保」「強制執行」といった難解な法律用語は短いセリフで説明し、ストーリー仕立てで養育費受け取りまでの段取りを描くなど、若い世代でも頭に入りやすいよう工夫した。漫画化を担当した静岡大教育学部3年の伊藤佳那さんは「
PXEインターナショナル設立者のシャロン・テリーさん。来日し、毎日メディアカフェで講演=東京都千代田区の毎日新聞東京本社で2017年11月 治療や検査を受けるだけでなく、患者やその家族が病気の研究に参加したり、法整備にかかわったりする動きが広がっている。特に、患者数が少ない希少疾患の場合、自ら声を上げないと状況が改善しないという背景もある。病に直面しながらも道を切り開こうとする患者たちの取り組みを2回にわたって報告する。【丸山博】 ◆希少疾患の子2人を持つ母
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