東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した市立中1年の男子生徒がいじめを受けていたのに、学校や市教育委員会が適切に対応していなかった問題で、市教委は21日の記者会見で、校内の問題解決に向けて、学校に配置するスクールソーシャルワーカーなどの専門職を活用していなかったことを明らかにした。その上で「(活用は)ネグレクトなど福祉的な背景が前提で、(いじめ問題は)想定していなかった」と釈明、対応の不備が浮き彫りになった。 市教委は「(活用していれば)違った展開になったかもしれない。今後の課題だ」と述べた。また、市教委は同日、いじめ問題の取り組み徹底についての通知を市内小中学校など509校に出し、未然防止に向けた取り組みを強化するとともに、関係機関との連携強化を図るよう要請した。
スタッフは子供を受け止める関わりを重視(公財)日本財団は、㈱ベネッセホールディングスや自治体などと連携し、「子どもの貧困対策プロジェクト」を展開。貧困課題を抱えた子供たちに、家でも学校でもない「第三の居場所」を提供すべく、第一号拠点を埼玉県戸田市に建設。11月9日から運営を開始する。居場所に集う子供は思い思いに過ごし、アクティビティーを交え、読書活動などで自己肯定感や学習意欲、社会性を育む。子供の行動や変化を記録し、検証し、効果的な実践や施策を見いだすのにも役立てる。 同財団は、子供の貧困問題に対するより有効な対策を検討する中で、「社会的相続」に着目。これは、各家庭で親が子に金銭や時間を割いて、引き継ぐ生活習慣、価値観など自立する力の伝達行為。貧困家庭では、これが欠乏し、ゆがんだ形で相続されがち。子供の自立力、人や社会と関わる力、学力、学習意欲、自己肯定感などにも強い影響を及ぼす。 また同
「○○ちゃん、すごーいね。○○くん、すごーいね」 9月14日、東京都渋谷区にある民間の療育機関「チルドレン・センター」の教室。自閉症の子ども7人と、椅子を取り合う集団遊び「フルーツバスケット」を楽しみながら、セラピストの女性が手拍子とともに歌っていた。 2時間の集団指導。テーブルの上にあるB4判1枚の個人記録に、当日の子どもの様子がデータとして次々と書き込まれていく。ストップウオッチのタイマーが、頻繁に「ピピッ」と鳴り響く。壁に張られたカリキュラムには、チョコバナナ作りや工作などの予定が5〜15分おきに詰め込まれていた。 センターは東京と米ニューヨークを拠点にして、応用行動分析学(ABA)を基に自閉症児を療育している。臨床心理士や教師、保育士、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、さまざまなバックグラウンドがあるセラピストが20人体制で活動。2008年から年間約120人、延べ100
政府は14日、今年度から始めた沖縄県で貧困に苦しむ子供を支援する事業に関し、5カ月間で支援を受けた子供または保護者が計2013人だったと発表した。内閣府沖縄振興局は「約半年でこれほど(の人数に上る)とは思っていなかった」と述べ、子供の貧困状況の深刻さと支援事業に対するニーズの高さが浮かび上がった。 事業は、沖縄県内の市町村などが社会福祉士などの資格を持つ貧困対策支援員100人を雇用し、子供の就学援助や保護者を支援。また、食事の提供など日中や夜間に子供が安心して過ごすことができる「居場所」作りも進め、26市町村で92カ所設置した。 具体的な支援としては、特別支援学級に通う男子中学生がシラミ駆除用シャンプーの購入ができないと学校から支援員に相談があり、保護者に特別児童扶養手当を紹介して、受給に至ったケースなどがあったという。 鶴保庸介沖縄北方担当相は14日の記者会見で、「貧困の連鎖を断ち切るこ
文科省はこのほど、「不登校児童生徒への支援の在り方について」と題する通知を、藤原誠初中教育局長名で、全国の都道府県・政令指定都市教委教育長などに発出した。 同省の不登校に関する調査研究協力者会議による今年7月の最終報告に基づき、不登校児童生徒への支援についてまとめた内容。基本的な考え方と、学校、教委に充実させてほしい支援策を盛り込んだ。 支援の基本的な考え方については、「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立するのを目指す必要がある」とし、「場合によっては教育支援センターや不登校特例校、ICTを使った学習支援、フリースクール、夜間中学での受け入れなどを活用し、社会的自立への支援を行う」とした。
小学生による暴力行為が増えている。2014年度は全国で1万1千件以上が報告され、過去最多を更新。文部科学省によると、感情をコントロールできない子どもが増えていることなどが背景にあるという。全国の件数の17%を占め、最多レベルの大阪府では、半減を目指した対策が始まっている。 専門家ら派遣、チームで対応 「こんにちは。元気でやってる?」。1学期末の7月、大阪府南部の郊外にある小学校で、巡回していた60代の校長経験者の男性が男児に声をかけた。そばに寄ってきた男児はうれしそうに大きくうなずいた。 同校では昨年度、児童が机を倒して友達にぶつけたり、棚を壊したりする暴力行為が相次ぎ、授業がたびたび中断。校長は「嫌なことがあるとすぐカーッとなってもめるケースもあったが、人手不足ですぐに対応できなかった」と話す。 校長経験者の男性は、府教委から暴力を減らすために派遣され、4月から週4日、この学校に通う。全
学校が始まっても、小3の男児は家の玄関先でうずくまっていた。 「お母さんが仕事で夜中まで帰ってこない。妹は寝るけど、僕は不安で寝られへん」。家と連絡が取れず訪ねてきた男性教諭に言った。母親は部屋で寝ているという。「行こ。しんどかったら、保健室で休んでええから」。教諭は手を差し伸べた。 2013年6月、関西のこの小学校に週に1度、女性スクールソーシャルワーカー(SSW)が来る日だった。SSWは男児の教室をのぞいた。授業で先生の話をよく聞いていた。「学校に来れば頑張る子。登校できる環境づくりが必要」とみた。 男児は母親の離婚を機に前年末に転入。母親はハローワークで職が見つからず、スナックで週6日働き、未明に帰宅。男児はしばしば欠席した。 夕方、問題を抱える子どもの支援を検討する「ケース会議」で、男児のケースが話し合われた。「まずは経済的な安定を」。SSWは母親に生活保護を受けさせ、昼の仕事に変
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