Webライターの木下です。 相模原障害者施設殺傷事件は、知的障害者の施設で起きた事件です。「施設は障害者の主体性を奪う」「保護は隔離と表裏一体だ」「危険があっても逃げられない」など、事件をきっかけに施設入所に対する批判の声が障害者団体などから上げられる一方で、「支援なき地域に戻せば親に過重な負担が課せられる」「親亡き後の高齢の障害者はどうするのか」「地域では差別や偏見にさらされる」など、施設の必要性を語る声も聞こえてきました。現在も関係者の間ではさまざまな議論が交わされています。 平成28年版「障害者白書」によれば、手帳を保持する18歳以上の知的障害者の数は、全国で58万人、そのうち施設入所者の数は11万人、約19%です。現在中軽度の知的障害者の多くは在宅で暮らしていて、施設入所をしているのは、地域での生活が難しい重度の障害者が中心で、多くは高齢化しています。その中には、身寄りをなくしたり
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東京大学は来年4月から、一人暮らしの女子学生向けに月額3万円の家賃を補助する制度を初めて導入する。志願者、在籍者ともに約20%にとどまる女子学生の比率を高める狙いで、「まずは女子の志願者増につなげたい」(同大)という。 対象は、自宅から駒場キャンパス(東京都目黒区)までの通学時間が90分以上の女子学生。主に1、2年生が過ごす駒場キャンパスの周辺に、保護者も宿泊でき、安全性や耐震性が高いマンションなどを約100室用意。家賃を月額3万円、最長で2年間支給する。保護者の所得制限もつけない。東大は現在、女子学生の40%が自宅以外から通っている。 東大は、多様な人材による研究や教育力の向上を目指し、高校訪問や女子高校生向けのイベントを開くなど女子の受験を呼びかけてきたが、ほとんど増えなかったという。地方の入試説明会などで、女子の安全な住まいについて心配する保護者が多かったため、こうした支援に乗り出し
大阪府が今年度始めた「民生委員・児童委員活動の見える化」プロジェクトで、大学生が地域住民の見守りなどを体験したインターンシップの活動報告会が11月20日、大阪市北区茶屋町の関西学院大大阪梅田キャンパスで開かれる。大学生の視点での課題や施策、民生委員や児童委員の魅力をPRする方法を発表する。 インターン生は大阪府立大と関西学院大、立命館大の計23人。大阪、堺、豊中、茨木、摂津、四條畷の6市で研修を受け、8~9月に約5日間、実際に民生委員らの活動に密着し、事後研修も受けた。 関西学院大2年、中村茉央さん(19)と立命館大2年、吉沢あやねさん(19)は9月上旬、摂津市で民生委員と一緒に1人暮らしの高齢者宅を訪ねた。80代女性にオレオレ詐欺に注意を呼び掛け、70代男性と趣味の車の話をしながら「民生委員はどんな存在ですか」と質問。困った時に一番の頼りになることなどを聞き取った。 民生委員の担い手不足
スタッフは子供を受け止める関わりを重視(公財)日本財団は、㈱ベネッセホールディングスや自治体などと連携し、「子どもの貧困対策プロジェクト」を展開。貧困課題を抱えた子供たちに、家でも学校でもない「第三の居場所」を提供すべく、第一号拠点を埼玉県戸田市に建設。11月9日から運営を開始する。居場所に集う子供は思い思いに過ごし、アクティビティーを交え、読書活動などで自己肯定感や学習意欲、社会性を育む。子供の行動や変化を記録し、検証し、効果的な実践や施策を見いだすのにも役立てる。 同財団は、子供の貧困問題に対するより有効な対策を検討する中で、「社会的相続」に着目。これは、各家庭で親が子に金銭や時間を割いて、引き継ぐ生活習慣、価値観など自立する力の伝達行為。貧困家庭では、これが欠乏し、ゆがんだ形で相続されがち。子供の自立力、人や社会と関わる力、学力、学習意欲、自己肯定感などにも強い影響を及ぼす。 また同
虐待を受けて新潟県内の施設に一時的に保護された子どもの歯を調べたところ、ほとんどの子どもに虫歯があったうえ、半数近くが、一度も治療を受けていないことが新潟大学の調査でわかりました。新潟大学は、育児放棄などによって歯磨きの習慣が不十分だったり、経済的な事情で治療を受けられていなかったりした可能性があるとしています。 その結果、保護された子どもの81%が虫歯になったことがあり、同年代の全国平均の54%を大幅に上回りました。さらに、このうち、適切に治療されていたのは4%だけで、一度も治療を受けていないものが41%と同年代の平均の7%の6倍近くにのぼっていました。 新潟大学によりますと背景には育児放棄などによって歯磨きの習慣が不十分なことや、経済的な事情から治療を受けられていない可能性があるとしています。 調査を行った新潟大学大学院の葭原明弘教授は「虐待の兆候を知るきっかけとして、実態を児童相談所
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 「子ど
「○○ちゃん、すごーいね。○○くん、すごーいね」 9月14日、東京都渋谷区にある民間の療育機関「チルドレン・センター」の教室。自閉症の子ども7人と、椅子を取り合う集団遊び「フルーツバスケット」を楽しみながら、セラピストの女性が手拍子とともに歌っていた。 2時間の集団指導。テーブルの上にあるB4判1枚の個人記録に、当日の子どもの様子がデータとして次々と書き込まれていく。ストップウオッチのタイマーが、頻繁に「ピピッ」と鳴り響く。壁に張られたカリキュラムには、チョコバナナ作りや工作などの予定が5〜15分おきに詰め込まれていた。 センターは東京と米ニューヨークを拠点にして、応用行動分析学(ABA)を基に自閉症児を療育している。臨床心理士や教師、保育士、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、さまざまなバックグラウンドがあるセラピストが20人体制で活動。2008年から年間約120人、延べ100
子どもの貧困対策法(「子どもの貧困対策の推進に関する法律」)の成立から3年が経ち、子どもの貧困問題がテレビ、新聞やネットで話題になることも増え、こども食堂といった草の根の活動も広がっているようにも見えます。その一方で、子どもの貧困問題について実感がない、という声も聞かれます。 子どもの貧困対策センター「公益財団法人あすのば」事務局長を務める村尾政樹さんは、そのような危機感からずっと地方自治体の対応を注視していました。そして、共同研究プロジェクト(首都大学東京子ども・若者貧困研究センターと日本大学、公益財団法人あすのばによる、子どもの貧困対策「見える化」プロジェクト)のメンバーとして参画し、全国的な調査を実施、2016年8月には、「都道府県の子どもの貧困対策事業調査2016」として結果が公表されました。
子宮 頸 ( けい ) がんワクチンの副作用で痛みや運動障害などの症状が出たとして、23都道府県に住む15~22歳の女性63人が27日、国と製薬企業2社を相手取り、1人1500万円の慰謝料などを求める訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁に起こした。 同ワクチンを巡る集団訴訟は初めて。訴訟では接種と症状との因果関係や、接種を勧めた国の責任の有無などが争点になるとみられる。 2009年に発売された同ワクチンは、国が10年から接種費用の補助事業を始め、13年4月に定期接種となった。女子中高生を中心に約340万人が接種を受けたが、接種後に痛みなどの症状を訴える女性が相次ぎ、国は同6月から接種の積極勧奨を中止している。 原告側は、〈1〉ワクチンの成分が免疫異常を起こして症状が出た〈2〉がん予防の効果は証明されていない――などと主張。国が製造販売を承認し、接種を勧めたことは違法だとして、製薬企業には
担当の黒川課長(左) 九州保健福祉大学などを運営する学校法人順正学園(加計美也子理事長)は昨秋から、子どものいる生活困窮世帯を支援する取り組みを宮崎県内で開始した。食品を届けるフードバンクと、学習支援が柱。自治体とも協定を結ぶなど、大学教育の枠を超え、活動の幅を広げている。 フードバンク事業の対象は、中学生以下の子どもがいる困窮世帯。宮崎県内の3市2町(延岡市、日向市、宮崎市、門川町、高鍋町)と協定を結び、役所に困窮の相談に訪れた人とつないでもらう。 食品は米や缶詰、レトルト製品などで、月2回のペースで最大3カ月、箱詰めして送るという。食品は、メーカーなどの企業、生協などの団体、個人から寄贈を募る。 一方、2015年12月から開始した学習支援は、16年2月までに5回開催した。大学のある延岡市と連携し、困窮世帯の小中学生10人が参加したという。 講師は同大学の学生がボランティアで勤め、会場は
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