誰のためのリハビリテーションなのか?――障害という経験を哲学する 稲垣諭 現象学、システム論、リハビリテーションの科学哲学 福祉 #リハビリテーションの科学哲学#現象学#臨床 「障害」とは、それを抱えて生きる本人にとって最も見通しがわるく、その実感を容易にもてないものである。それなのに、そうした人の多くは、自分が障害をもつということに、社会や他者からの対応や言葉によって無理やり気づかされてしまうところがある。 それによって彼らが生きる不自由のなかった世界に、半ば暴力的に気づきと否定と負荷とがもたらされる。障害という経験は、当人のあずかり知らぬところからいつでも遅れてやってくる。その意味では、一次障害がすっぽりと抜け落ちた二次障害としてでしか障害は成立しないのかもしれない。 重度脳性麻痺を患う小児患者の中には、言葉を発することはもちろん、首が座ることも、物を視線で追いかけることも困難な人たち
北九州市は4月以降の新年度から、全身に重い障害がある大学生や専門学校生が、通学や学内での移動のためにヘルパーを雇う費用を全額補助する。15日発表した一般会計当初予算案に600万円の費用を計上した。厚生労働省によると、通学にかかる全ての移動を対象とし、上限額を設けない補助制度は珍しい。 市によると、対象は四肢まひなどの全身性障害があり、人工呼吸器などの生命維持装置をつけている大学生や専門学校生。高等部まである特別支援学校では通常、送迎バスや教諭らによる支援があるが、大学や専門学校では公的サービスが乏しいことから導入する。新年度は2人を対象にそれぞれ年間300万円を想定している。 介助が必要な障害者が外出する時は、障害者総合支援法に基づいてヘルパーの費用を自治体が負担する移動支援の制度があるが、多くの自治体は通学を対象に含めていない。認めている自治体でも、学内での移動は対象外だったり、補助対象
昨年4月の熊本地震が原因で体に重い後遺症が残り、「災害障害見舞金」(最大250万円)を支給された人が、4人(昨年12月時点)にとどまっている。支給要件が厳しく、申請が通らないケースが多い。過去の大きな震災でも受給者は少なく、専門家は支給要件の緩和や「震災障害者」の実態調査の必要性を訴えている。 災害障害見舞金の支給の条件としては、両腕や両足の切断など1級障害者と同等の重度障害が残った場合や、常に介護が必要となった場合などが、災害弔慰金法の「別表」に定められている。 熊本県内の自治体への取材によると、昨年末までに支給が決まったのは、熊本、八代両市と益城、大津両町の計4人。身を寄せていた避難所で脳塞栓(のうそくせん)症となった80代の男性(熊本市)や、家屋の下敷きになって7時間後に救出され、現在も入院している80代の男性(益城町)らだ。 熊本地震での重軽傷者は2600人以上。熊本市には2月3日
発達障害などのある子どもらが通常学級に在籍しながら、授業の一部を別室で学ぶ「通級指導」。2015年度に県内で通級指導を受けた子どもは703人となり、05年度の1・8倍に増えている。一方、市町村によって取り組みに差があるなど課題も浮上している。 「いまはむかし、たけとりのおきなというものありけり」。青森市立浦町中に昨年度できた通級指導教室。他中に在籍する1年の男子生徒(13)がモニターに映し出される古文の教科書を見ながら、読み上げソフトの音声に合わせて「竹取物語」を音読していた。つかえるたびに、傍らで土崎(とざき)純子教諭(43)が画面の背景色やスピードを調節し、何度も挑戦する。 男子生徒は小学生のころ、カタカナや漢字の読み書きが極端に苦手だった。一文を読み通すことができず、いらだって教室を歩き回り先生に怒られた。「文字がわけわかんなくて、とにかく疲れた」 2年前、弟とともに、注意欠陥…
【マチ弁は元労働Gメン(上)】赤字の責任を社員に押しつけ、障害年金を横領…働き手を使い捨てる日本社会の劣化 労働Gメンと呼ばれる「労働基準監督官」だった土井裕明さんは二十数年前、地域住民の相談をくみ取る町の弁護士「マチ弁」に転じた。過酷な労働環境を苦にして若者が自殺に至るケースが相次いでいるいま、異色の経歴を持つ弁護士の目には、現状がどう映っているのか。(聞き手 今村義丈) 即戦力でなければ「使えない」…深刻でひどい状況 --若い女性社員の自殺問題を契機に大手広告代理店「電通」に11月、違法な長時間労働の疑いで家宅捜索が入りました。 土井 私が監督官だった約20年前と比べ、働く人がまるで使い捨てできる「安物の商品」のごとく扱われるようになってしまった、と感じます。実は私が最近、弁護士として担当した自殺問題も、電通の事案とかなり似ていました。 --どんな点ですか 土井 新人社員が追い詰められ
障害者の「逸失利益」認定を=両親が賠償求め提訴へ-東京地裁 亡くなった松沢和真さんの逸失利益を求める訴訟を起こす両親=10日午後、東京都中央区 障害者施設から行方不明となり、死亡した知的障害を持つ少年の損害賠償をめぐり、将来の収入に当たる「逸失利益」をゼロと算定するのは不当だとして、両親が施設側に対し、一般的な逸失利益額を含む約8800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に14日起こす。都内で10日、取材に応じた両親は「命に値段を付けて差別する現在の仕組みはおかしい」と訴えた。 亡くなったのは、東京都八王子市の障害者施設に入所していた松沢和真さん=当時(15)=。2015年9月、無施錠の扉から外へ出て行方不明となり、同11月に高尾山麓の沢で遺体で見つかった。 施設側は安全管理上の過失を認め、慰謝料2000万円を提示したが、逸失利益はゼロと算定した。このため、両親は男性の平均賃金を基に得
大阪・ミナミの繁華街。男性は出所するとこの街に現れ、金が尽きると盗みをはたらき、また刑務所に戻る人生を送ってきた=大阪市中央区で、貝塚太一撮影 55歳無職男性の判決が15日、奈良地裁葛城支部で 奈良県内の工場でビスケットなど菓子(400円相当)を盗んだとして窃盗罪などに問われた無職男性(55)の判決が15日、奈良地裁葛城支部(五十嵐常之裁判官)で言い渡される。男性は知的障害の可能性が高い。前科10犯で、服役は通算約30年間に及ぶ。社会経験がほとんどなく、親族や知人もいない。検察側は懲役4年6月を求刑したが、弁護側は再犯防止の観点から男性が福祉的支援を受けられるよう求めている。 公判記録などによると、男性は徳島県出身。中学卒業後、大阪府八尾市内の工場でプレス工として働いたが、20歳の時に窃盗容疑で逮捕された。20代に4回、30代に3回、40代に2回、50代に1回、窃盗などの罪で有罪判決を受け
外見からは障害があると分かりにくい人が周囲に援助を求めやすいよう東京都が作った「ヘルプマーク」が、七月にも日本工業規格(JIS)に加わる見通しになった。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向け、国内の統一マークとして普及に弾みがつきそうだ。 三十一日の経済産業省の有識者委員会で、JIS改正案に盛り込むことが決まった。今春開かれる国の審議会やパブリックコメントの手続きを経て正式決定され、早ければ七月にJISに加えられる。 ヘルプマークは義足を利用する人や内臓の機能障害がある人らが必要な援助を得やすくなるよう、一二年十月に都が作った。車両の優先席付近に説明を掲示し、マークをかたどった赤い樹脂製のひも付きカードを都営地下鉄やバスの営業所で無料で配布し、昨年末までに十六万人が受け取った。
第193通常国会が1月20日に召集された。安倍晋三首相は「未来を拓く国会」と位置付け、将来にわたり持続可能な社会保障制度を構築する考えを強調した。薬価制度の抜本改革などで国民負担を軽減する一方、児童養護施設出身の学生向けに返還不要の奨学金制度を今年から始めるなど「子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り」を打ち出した。会期は6月18日までの150日間。 安倍首相が、同日の施政方針演説で提出予定の法案などについて意気込みを語った。 神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で昨年7月に発生した殺傷事件については、再発防止策として精神保健福祉法を改正する考えを表明した。措置入院患者に対し、退院した後も支援を継続する仕組みを設けるとした。 河川の氾濫で浸水想定区域にある高齢者、障害者、乳幼児が利用する施設に避難計画の作成・訓練の実施を義務付けるため、水防法を抜本改正することも明言し
なぜ障害者が殺されなければならないのか。なぜ人里離れた施設で生涯を送らなければならないのか。今から50年近くも前に神奈川で、社会に鋭く問いかけた人たちがいた。脳性まひで重い障害を抱えた当事者で作る「青い芝の会神奈川県連合会」。彼らの問いは今もなお、生きている。 根深い差別意識を告発 「なぜ、障害者児は街で生きてはいけないのだろう。ナゼ、私が生きてはいけないのだろう。社会の人々は障害者児の存在がそれほど邪魔なのだろうか」 「はっきり言おう。障害者児は生きてはいけないのである。障害者児は殺されなければならないのである」 中心メンバーの1人で横浜在住だった横田弘氏(故人)が、1970年代に書いた文章だ。 横浜市金沢区で70年、脳性まひの女の子(当時2歳)が母親に殺害される事件が起きた。施設入所を申し込んだが満員で断られ、悲観しての犯行だったとされた。 福祉が乏しい時代。追い詰められた親による障害
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