相模原市の障害者施設殺傷事件をめぐり、厚生労働省の有識者検討チームは検証や再発防止策について、議論を重ねてきた。しかし、現状の措置入院制度や触法精神障害者の処遇に、どのように司法が関わっていくか、という観点での議論が深まった形跡はない。精神障害者らの人権と社会の安全を両立させるためには、司法の関与を慎重に検討する必要があり、識者からは、刑事司法の枠組みでの対策を求める声も上がっている。 非公開で行われているチームの会合では、初回の論点整理で、「警察などの関係機関との情報共有のあり方について」という項目が設けられた。 第6回会合でも「医療と司法のいずれの制度で対応するのか判断に迷う、いわゆるグレーゾーンへの対応については、自治体、医療機関、警察などの関係機関が相互に対話し、理解を深めることが重要」との意見も出された。 事件をめぐっては、措置入院中に容疑者から大麻の陽性反応が出ていたことが関係
熊本地震の前震から7カ月となる14日、被災者のために熊本県内で建設が予定されていたすべての応急仮設住宅が完成した。同県益城町と御船町でこの日新たに計48戸が完成し、16市町村に4303戸が整備された。 益城町の福富仮設団地にはバリアフリー対応の仮設住宅が全6戸整備された。2DK(37・3平方メートル)で、玄関やトイレ、浴室の段差を解消。出入り口の幅は80センチ以上で、車いすで楽に通ることができる。町によると、車いす利用者や視覚障害者など4世帯10人が入居予定という。 19歳の時に屋根から転落して頸椎(けいつい)を損傷し、車いすを使っている作本誠一さん(50)は町の避難所が閉鎖された後、町が役場近くに開いた「待機所」でバリアフリー対応の仮設住宅の完成を待っていた。作本さんは「これまでは自分の居場所がないような気がしていた。まずは入居してから、使い勝手を確かめたい」と話した。(大森浩志郎)
車いす利用者のためにかさ上げされた都営大江戸線のプラットホーム。ホームと車両の間にほとんど段差がなく、隙間も少ない=東京都新宿区の都営大江戸線都庁前駅で ホームかさ上げ、介助不要 最近、車いす利用者の鉄道利用はどの路線でも当たり前になった。だが、大部分の駅で、利用者は駅員の介助を受け、プラットホームと電車に渡し板を渡してもらって乗降している。いちいち駅員に頼むのは面倒だし、気持ちの上でも負担だろう。そんな中で障害者から「地下鉄大江戸線はいいですよ。介助なしで乗り降りできる」と聞いた。なぜ大江戸線は介助が不要? 駅で確かめてみた。【西尾英之】 JR山手線と並び、東京都心部をぐるっとひと回りする環状部と、練馬区へ延びる“ひげ線”部から構成される都営地下鉄大江戸線。経営する都交通局がある都庁のお膝元、都庁前駅で、お願いして車いすでの利用を体験した。
障害者政策を検討するために厚生労働省が11日に開いた会合に、委員として招かれた障害のある男性1人が参加できなかった。男性は車いす利用者で、会場に入るのに必要な階段の上り下りができないため出席を断念。厚労省は不手際を認め、男性に謝罪した。 会合は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の障害者部会で、東京都千代田区内の民間の貸し会議場で開かれた。会場は中2階で、玄関から階段を40段上がる必要があり、エレベーターで2階まで上がると15段下がらないと入れない。 男性の介助人が先に会場に到着して会議場までのルートを確認。男性が利用している電動車いすの重さは100キロほどあり、誰かに手伝ってもらって持ち上げることは危険だと判断した。介助人は男性に事情を連絡し、会場に向かう途中だった男性が出席を断念して引き返したという。 厚労省の担当者は「同じビルの別の部屋で会合を開いたこともあり、まさかバリアフリーになっ
「大阪最後の一等地」と呼ばれるJR大阪駅北側の「うめきた2期区域」再開発の陰で、自力で歩くのが困難な人たちが途方に暮れている。障害者施設の利用者らが使ってきたJRの線路下の通路が、再開発に伴う線路の地下化でなくなる。市は代わりにスロープ式の歩道橋を設ける計画だが、遠回りすることになるため、施設利用者らは市に再考を求めている。 JR大阪駅の約1キロ北にある障害者の医療施設「大阪整肢(せいし)学院」(大阪市北区)は、子どもたちを中心に約90人が暮らし、約40人が治療やリハビリで通院する。 整肢学院の利用者は重い身体障害や知的障害があり、自力で歩けない人が多い。近くに住む小川雅永(まさえ)さん(28)もその一人。出生時に酸欠状態になり、脳に障害が残った。話すことも立つこともできず、首が不安定でいすに座れないため、寝た姿勢で乗るタイプの車いすを利用する。介護ヘルパーに押してもらい、週に1回通院して
東京メトロは11月4日、銀座線・東西線・半蔵門線のホームドア設置計画の工程を変更すると発表した。障害者の転落事故やベビーカー引きずり事故を受け、障害者の利用が多い駅を中心に設置時期を前倒しする。 発表によると、銀座線では青山一丁目・外苑前両駅の設置完了時期を2017年12月に変更。赤坂見附駅は2018年2月の設置完了に変更する。表参道・溜池山王・虎ノ門・新橋(浅草方面ホーム)・銀座・京橋・日本橋・三越前の各駅は2018年上期に設置を完了する計画に変える。これにより当初計画より4~10カ月程度前倒しされる。 これ以外の駅は当初の計画通り、2017年の6月から11月にかけて設置される予定だが、大規模改良工事が行われている渋谷駅と新橋駅(渋谷方面ホーム)は、工事の終了後に設置される予定だ。上野駅の渋谷方面ホームは既にホームドアが設置されている。 東西線では、障害者の利用が多い高田馬場・早稲田・神
認知症や知的障害などのため判断能力にハンディのある人の財産や権利を守るのが成年後見制度である。この制度の利用を促進する法律が通常国会で成立し、内閣府の委員会で具体的な方策が議論されている。 認知症の人が増加し財産侵害などの被害は多発している。制度の重要性を国民が理解し、後見人の担い手を増やすことは必要だ。不正防止のため家庭裁判所を補完する機能の強化、親族や市民後見人を支援する仕組みの導入など、委員会では大事な改善策が検討されている。 しかし、現行制度が抱える根本的問題については議論が足りない。後見人には認知症や知的障害のある被後見人の意思を尊重する義務が法律で定められているが、判断能力にハンディがある人の意思をどうやって尊重するかが現行制度には何も定められていないのだ。 たとえ後見人が認知症や知的障害の特性を理解しておらず、本人の意思に反する判断をしたとしても、誰もチェックできていない。財
【ニューヨーク=上塚真由】昨年新たに制定された5日の「世界津波の日」を前に、ニューヨークの国連本部で3日、防災への理解を深める討論会が行われた。津波の甚大な被害を経験した日本、チリ、インドネシア、モルディブの4カ国が共催。国連大使らが自国の防災対策などについて意見を交わした。 討論会には自民党の福井照衆院議員が出席し、東日本大震災で多くの子供が犠牲になったことに、「高い場所に避難すべきだと知っていれば助かったかもしれない」と防災教育の重要性を強調。また、日本の別所浩郎国連大使は福島県などの復興状況に説明し、「地域を孤立させないようにすることが重要」と述べた。 インドネシアのジャニ国連大使は警戒を呼びかけるため、教会の鐘やモスクのスピーカーなどを利用していると紹介。会場からは、災害時に障害者をどう避難させるかが課題だとの意見も出された。
2018年4月施行予定の精神障がい者の雇用義務化を前に、精神障がい者の就職件数が急上昇している。15年度には精神障がい者の就職件数は前年度比11.2%増の38,396件となった。一方、精神障がい者の約半数が1年以内に離職している現状があり、ほかの障がいに比べて職場定着率の低迷が課題となっている。また、身体障がい者の新規求職申込件数に関しては15年度では3年連続減少となる前年度比2.9%減と、減少傾向にあることから、法定雇用率の維持のためには精神障がい者の職場定着率を上げることが企業にとってもカギとなる。 こうした中、障がい者専門の就職・転職支援を行うゼネラルパートナーズは、企業の障がい者採用担当者(113名)を対象に「精神障がい者の入社後の相談体制に関するアンケート調査」を実施した。調査結果からは、「相談しやすい雰囲気がある」と回答している企業ほど人事や上司との面談を定期的に実施しているこ
バリアフリー法に基づくバリアフリー化の進捗状況について (公共交通事業者等からの公共交通移動等円滑化実績等報告書の集計結果概要(平成27年度末) 平成28年11月1日 国土交通省ではこの度「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)に基づく公共交通事業者等からの移動等円滑化実績等報告書の集計結果(平成27年度末時点)をとりまとめましたのでお知らせいたします。 平成27年度末時点の進捗状況については、旅客施設においては段差の解消が昨年度より約1.3ポイント増加、車両等においては鉄軌 車両が約3.2ポイント増加するなど着実にバリアフリー化は進んでいます。 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則」第23条に基づいて公共交通機関等は国土交通大臣に対し、旅客施設及び車両等のバリアフリー化の状況を報告することとされています。この度、公共交通機関等から提
国土交通省は、バリアフリー法に基づくバリアフリー化の進捗状況を公表した。 2015年度末時点で、バリアフリー法に基づく公共交通事業者からの移動等円滑化実績等報告書の集計結果をとりまとめたもの。 2015年度末時点の進捗状況によると、車両では鉄軌道車両が前年度末より1.3ポイントアップの86.1%となった。ノンステップバスは3.2ポイントアップの50.1%、リフト付バスが0.3ポイントアップの5.9%だった。 福祉タクシーは382台増えて1万5026台となった。 旅客船のバリアフリー率は4.4ポイントアップの36.6%、航空機が1.7ポイントアップの96.3%と、車両は着実にバリアフリー化が進んだ。 旅客施設は段差の解消が前年度より約1.3ポイントアップして86.1%となった。 《レスポンス編集部》
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く