先日ご紹介した『プルーストとイカ』に関して「少し難しい」という声をいくつかいただきましたので,一般の方にもおすすめできる文字の本として,最近読んだ本の中からもう一冊ご紹介させていただきます。 今回ご紹介するのは『文字の骨組み』という本で,書道家であり,ブックデザイナーであり,印刷史にも通じる多才な著者,大熊肇氏が文字の「字体」を多面的に考察した内容となっています。 職業で文字に関わる人の間でも難しいと言われることがある「字体」について,噛み砕いた言葉で丁寧に説明されており,さらに,図版を豊富に用い,重要語句は太字や色を着け,巻末にはよく引用される資料を収録するなどの工夫を凝らして積極的に説明されています。特に後半は,エッセイのような50ものトピックが掲載されていますので,テンポよく,雑学本のように楽しく読んでいただけると思います。 私の場合は,仕事ではもちろん,小二の息子に文字の書き方を教