DNA鑑定は、殺人や性犯罪の捜査だけに用いられる手法ではなくなった。捕鯨問題の行く末に注目が集まる中、違法な鯨肉が料理に出されていないかどうか“日本食レストランパトロール”の切り札として使われ出した。監視役を率いているのは、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の関係者と和歌山県太地町のイルカ追い込み漁を告発し、今年、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「ザ・コーブ」(入り江)の制作スタッフたち。独自調査の結果、絶滅危惧(きぐ)種の国際取引を禁じるワシントン条約に違反し、日本で獲れた鯨肉を海外に売りさばく密輸組織の存在が浮かび上がってきた。(佐々木 正明) 世界でも珍しいDNA鑑定によるクジラの個体識別を行っているのは、米オレゴン州立大学海洋哺(ほ)乳類研究所のスコット・べーカー副所長の研究班。副所長は国際捕鯨委員会(IWC)の会合にも出席することがあり、日本の捕鯨について批判的