/大学を、日本の音楽シーンを良くする気概はないのか、という山口氏の言い分もわからないではないが、もともと大阪音大は、音楽を通じて良識、感性、信頼を培う、という穏やかな教養主義で、卒業生をギラギラした業界人として活躍させようなんていう話は、最初から大学の伝統と気風に対する調和とレスペクトを欠いた独奏だったのではないか。/ 漏れ聞いてはいたが、ひどい結末だ。芸術大学としては、アーティスト育成と並んで、世界的にアートプロデューサーの養成が数十年前から急務とされ、自分もまた、もともと芸術家一族に育ち、大学で経営学を学び、テレビ局にいた経験もあって、経営系とアート系の兼ね合いについて研究し、また、アートプランニングの講義を担当してきたので、大阪音大の一件は、深く思うところがある。 問題を整理しておこう。アートプロデュースに関して、美術館の学芸員キュレーターという存在があり、そのおかげで美術系が先行。