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白水社の検索結果1 - 26 件 / 26件

  • 左利きの歴史 - 白水社

    第二版の序文 序論 第一部 正しい手と邪悪な手 第1章 なぜ人類は右利きなのか 第2章 右手主導の規則 第3章 左利きによる秩序の転覆 第二部 軽蔑された左利き 第4章 左利きという異常性 第5章 左利きという烙印 第6章 下等人間の特性 第7章 不寛容のはじまり 第8章 虐げられた左利き 第三部 容認された左利き 第9章 中世の黄金時代 第10章 近代の解放にいたる長い道のり 第11章 二つの右手の神話 第四部 称賛された左利き 第12章 左利きの卓越性 第13章 左利きの巨匠たち 結論 付録 訳者あとがき 参考文献 原注 偏見はいかにして生まれ、 解消されたか ヨーロッパの歴史において、左手は「邪悪な手」とされ、左利きは差別されてきた。ヨーロッパの諸言語には、右を「縁起の良いもの」、左を「不吉なもの」とした慣用表現が多く見られる。さらには、古代の呪術的信仰からキリスト教にいたるまで、右

      左利きの歴史 - 白水社
    • 品田悦一「万葉ポピュリズムを憂う」 - 白水社

      『万葉集』の作者層が「天皇から庶民まで」にわたるというのは、近代国家建設期に、国民的一体感の醸成という国家的課題に沿って作為された想像、幻想である。そのことを私はもう二十年も前に実証し、『分断された時代を生きる』(白水社、二〇一七年)にも寄稿した。 ところが、この古臭い幻想を早口でまくし立てた男がいる。耳を疑うそばから奉祝ムードが拡がり、次々に便乗本が刊行された。東歌は民謡であるなどと、とっくに潰(つい)えた説を蒸し返す輩(やから)まで現れたではないか。おいおい、改元したと思ったら、昭和に後戻りしたのかい? 東歌は巻十四に二三〇首が載る。あからさまな性愛表現など、『万葉集』中の異彩と評すべき歌群だが、すべて定型の短歌であって、字余りの様相までが都の貴族たちの作とまったく同一の法則に支配されている。短歌という貴族の詩形に、この詩形が許す限りで特異な内容を盛った歌々、それが東歌なのだ。 足(あ

        品田悦一「万葉ポピュリズムを憂う」 - 白水社
      • 白水社・語学書編集部 on Twitter: "『ふたりエッチ』は小社ではなく白泉社さんの本なのですが、小社は『白文攻略 漢文法ひとり学び』 https://t.co/N6G6qXuAaB や『ひとりでも学べるフランス語』 https://t.co/H5tqUThHY7 なら出… https://t.co/pAbXqw4xPM"

        『ふたりエッチ』は小社ではなく白泉社さんの本なのですが、小社は『白文攻略 漢文法ひとり学び』 https://t.co/N6G6qXuAaB や『ひとりでも学べるフランス語』 https://t.co/H5tqUThHY7 なら出… https://t.co/pAbXqw4xPM

          白水社・語学書編集部 on Twitter: "『ふたりエッチ』は小社ではなく白泉社さんの本なのですが、小社は『白文攻略 漢文法ひとり学び』 https://t.co/N6G6qXuAaB や『ひとりでも学べるフランス語』 https://t.co/H5tqUThHY7 なら出… https://t.co/pAbXqw4xPM"
        • ローマ帝国の崩壊[新装版] - 白水社

          史学・考古学双方の研究を駆使して描く実態 複雑に専門分化した社会を襲った危機 生産と流通の巨大ネットワークを持つ「文明」が崩壊したとき、人びとの暮らしに何が起きたか。複雑に専門分化した古代ローマ社会の脆弱さを探る。 ローマ帝国は衰亡したのか、独自の価値をもつ「古代末期」という新しいポジティヴな時代と捉えなおすべきなのか。本書は長年のこの議論をわかりやすく解説しつつ、「ゲルマン民族が侵入してきたとき、経済や社会に何が起き、人びとの暮らしはどう変化したのか」を、文献史料や陶器・家畜の骨・建築物(の跡)などを使い、史学・考古学双方の研究を駆使して描き出している。 ローマ帝国はさまざまな方法で経済的発展を促進し、税収による莫大な金銭を再分配した。ライン川とドナウ川に沿って駐屯していた職業的な軍が五世紀に崩壊すると、給料を得ていた何万もの兵士たちの購買力も失われ、彼らの装備を製作していたイタリア北部

            ローマ帝国の崩壊[新装版] - 白水社
          • 南川高志「ローマ帝国時代のパンデミック」 - 白水社

            新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、書店の店頭で疫病やその歴史に関する書物を見かけるようになった。現代を遠く離れた古代ローマ帝国の政治史をおもに研究している私でも、つい厳しい現実に影響されて、ローマ社会を襲った疫病に想いを馳せ、少し調べてみようという気になっている。 もう四〇年以上前だが、卒業論文や修士論文の研究で、『自省録』の著者でストア派哲学者として知られる皇帝マルクス・アウレリウスの治世を分析した。とくに、帝国の北に居住する諸部族が領内に侵入し、それを押し戻そうとマルクス帝指揮のローマ帝国軍が長期間戦ったマルコマンニ戦争を取り上げた。マルクス帝を含むローマ五賢帝の時代といえば、帝国の最盛期で政治は安定し、領内は平穏で繁栄していたと一般に考えられているが、マルクス帝治世では、諸部族の攻撃を受けて国は動揺し、皇帝は忙殺され、彼自身ドナウ河畔の最前線で世を去ったのであった。学生時代の私は

              南川高志「ローマ帝国時代のパンデミック」 - 白水社
            • 本屋が買い切った『中世への旅』 3部作が、実売でついに3万部を超えました。そして、新しいコラボ企画「白水社からの書泉」が始動します。

              本屋が買い切った『中世への旅』 3部作が、実売でついに3万部を超えました。そして、新しいコラボ企画「白水社からの書泉」が始動します。株式会社書泉/株式会社白水社 2023年3月から、出版・書店界隈を超えて話題となった『中世への旅 騎士と城』(白水社刊)。 300冊の買い切り重版からはじまり、多くのお客さまからの反響を得て、なんと12月7日(木)に『中世への旅 都市と庶民』『中世への旅 農民戦争と傭兵』の3部作をあわせて30,000冊の販売数を突破しました。販売数の内訳は以下のようになります。 中世への旅 騎士と城 (16,039冊) 中世への旅 都市と庶民 (7,129冊) 中世への旅 農民戦争と傭兵 (6,850冊) 合計で30,018冊です。現在も日々お買い求めいただいており、まだまだ多くのお客さまに読んでいただけるよう売場作りをしていきます。 また、6月以降、白水社より全国の書店で販

                本屋が買い切った『中世への旅』 3部作が、実売でついに3万部を超えました。そして、新しいコラボ企画「白水社からの書泉」が始動します。
              • 「ブックセラーズ・ダイアリー」 ショーン・バイセル著  矢倉尚子訳 白水社刊 - ururundoの雑記帳

                「スコットランド最大の古書店の一年」 イギリス スコットランドの小さな町ウィグタウン。 著者のショーン・バイセルが ブラリと立ち寄った 古書店「The Book Shop」。 30歳のバイセルが、当店の主から 「この店を買わないか?」 と 持ちかけられ 「そんな金はない」と答えた。 店主は言った。 「金なんていらないさ 銀行は何の為にあると思う?」 それから1ヶ月後 2001年のバイセルの31歳の誕生日 この店は彼のものになった。 バイセルが子供の頃 ウィグタウンは美しい風土の活気のある町だった。 経済を担っていた 乳製品製造所とウィスキー蒸溜所が 1989年、1993年に相次いで廃業。 街はすっかり寂れてしまった。 Google 画像より それから20年。 「ザ・ブックショプ」は10万冊の在庫を持つ スコットランド最大の古書店になった。 「本の町」として知られる様になったウィグタウン。

                  「ブックセラーズ・ダイアリー」 ショーン・バイセル著  矢倉尚子訳 白水社刊 - ururundoの雑記帳
                • 二十世紀のクラシック音楽を取り戻す - 白水社

                  指揮者が語る音楽史の裏側 二十世紀後半に作曲されたクラシック音楽の作品で、その後世界中のオーケストラや歌劇場のレパートリーに加わった作品はごく少ない。そして、現代の音楽であるはずの「現代音楽」は、一部の愛好家を除けば人気があるとは言いがたい。この状況を著者は、「現代のクラシック音楽というものが狭い範囲に限定されたからこそ、他のジャンルの音楽が大いに栄えているのに、オーケストラやオペラハウスがいわゆる『危機的状況』にある」と見る。現在もレパートリーの中心をなしているかつての大作曲家の系譜はどこへ行ってしまったのか? 映画『風と共に去りぬ』の作曲者でウィーン楽友協会音楽院に学んだマックス・スタイナーは、かつて「仮にワーグナーが今世紀に生きていたら、映画音楽でナンバーワンの作曲家になっていたでしょう」と語った。本書は二十世紀クラシック音楽の歴史を、この問題に大きな影響を与えた第一次・第二次世界大

                    二十世紀のクラシック音楽を取り戻す - 白水社
                  • 第65回岸田國士戯曲賞選評 - 白水社

                    該当作品なし 受賞作なし……。   岩松 了 小田尚稔『罪と愛』……いろんな意味で未熟さを感じたが、この作品には作者の“書かざるを得ない思い”がある。物語から遠く離れて、いわば悶々とした青年の状況が散乱している印象だが、それは未熟というよりそこにドラマを感じるという“そこ”が表立った事象にではなく“人がそうやって生きている”という一点に絞られてるからだと思われる。男を四つの人格に分けるのはいいが、途中母親の話に出てくる高校球児は男5として、四つの人格を見ている存在であるべきだ。そこに何らかの対決があるとすれば、それが物語というものではないだろうか。 根本宗子『もっとも大いなる愛へ』……「わかりたい」という情動から発して、それを阻む対話のズレに対する異常とも言える不安を極大化してみせるところに演劇としての挑戦を感じた。作者のこれまでのこだわりをその不安に絞っているという意味で自分の演劇に対す

                      第65回岸田國士戯曲賞選評 - 白水社
                    • 産業革命 - 白水社

                      なぜイギリスで最初に起きたのか? 「産業革命」をめぐっては、長い論争の歴史がある。 なぜ、産業革命は、1800年ごろまでは優勢だったアジアではなく、ヨーロッパ、なかでもイギリスで最初に起こったのか。産業革命が「革命」と言われるのはなぜか。産業革命によって人びとの生活はどのように変化したのか。 その歴史的な前提条件や影響を考察することは、グローバル化のなかでの格差や貧困の拡大、奴隷制の過去や人種差別の存続、そして気候変動や環境破壊といった現代の構造的問題を問うことにもつながる。 本書は、狭義の経済史的アプローチだけではなく、グローバル・ヒストリー、環境史、科学史、社会史・文化史など多様なアプローチを通じて、産業革命の歴史を概観している。 総じて、本書では、「産業革命はなかった」とされてきた修正主義的な見解に対して、新たな観点からの産業革命の意義を擁護している。 産業革命はもっとも重要なテーマ

                        産業革命 - 白水社
                      • 分離独立と国家創設 - 白水社

                        さまざまな国のかたち グローバル化の進展とともに、人びとは国境を容易に越えられるようになり、「国家の衰退」が一時さかんに論じられた。しかし、国家は国際関係論や国際法の中心的アクターであり続けており、現在でも国際社会から国家として独立の承認を求める領域がある。 どのような要素や条件が国家たらしめるのか? なぜある領域は分離独立後すぐに国際社会から承認を得られるのに、領域によっては長期間にわたって分離独立を追求しても叶わないのか? 中東では長らくパレスチナ問題があり、またトルコ、イラク、イラン、シリアなどにまたがって存在するクルド人たちは国家を持つことを約束されながら裏切られた悲劇の民としてよく論じられる。 あるいは、同じ中東に出現したイスラム国(IS)は、「国」と謳いながらも、現在国際社会に共有されている国家体系とは異なるかたちを実現しようとするなど、分離独立と国家創設にまつわる話題は尽きな

                          分離独立と国家創設 - 白水社
                        • 禁書目録の歴史 - 白水社

                          知識への迫害か、「フェイクニュース」の抑制か 本書は、悪名高いカトリックの「禁書目録」の歴史を総合的に扱った初めての書籍である。 禁書目録は16世紀の成立から400年にわたる、検閲の歴史上おそらく最も長い歴史を持つ。プロテスタントの著述家の脅威に対し各地で作られた禁書リストに始まり、バチカンに目録省が設立され、恒常的な検閲組織となった。「アートとゴミ」を区別し、「ジャンク」サイエンスやペテン師を暴き、「フェイクニュース」を抑制することを目的としたこの制度は、カトリック諸国の文化的、科学的、思想的発展を阻害したとされ、プロテスタントによる攻撃や侮蔑の対象ともなった。しかし一方で、作成に携わった多くの聖職者、当時の一流の神学者の深い学識と真摯な気持ちを反映したものであったのも事実である。 結果的にこの教会の試みは失敗したが、検閲の背景を検証し、失敗した理由を学ぶことは、近現代の国家による禁書や

                            禁書目録の歴史 - 白水社
                          • 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『「その他の外国文学」の翻訳者』=白水社編集部・編 | 毎日新聞

                            (白水社・2090円) 透明性と忠実性の両立の結晶 書店の外国文学の区分には、「その他の外国文学」に分類される“マイナー”な言語がある。本書はそんな翻訳者たちへの稀有(けう)なインタビュー集だ。登場する翻訳者は、ヘブライ語の鴨志田聡子、チベット語の星泉、ベンガル語の丹羽京子、マヤ語の吉田栄人(しげと)、ノルウェー語の青木順子、バスク語の金子奈美、タイ語の福冨渉(しょう)、ポルトガル語の木下眞穂、チェコ語の阿部賢一、そして序文で鋭い問題を提起している韓国語の斎藤真理子という錚々(そうそう)たる面々。 なにしろ、これらの言語の多くには、まず辞書がない、教材がない、先生がいない……。しかし吉田は動詞活用辞書と文法解説書を自分でつくってしまう。さらに、皆さんフットワークが軽い。鴨志田は日本に講座がなければ、リトアニアやニューヨークまで赴く。星は映画監督でもある著者の上映会やトークイベントも自分で開

                              今週の本棚:鴻巣友季子・評 『「その他の外国文学」の翻訳者』=白水社編集部・編 | 毎日新聞
                            • 品田悦一「万葉ポピュリズムを憂う」 - 白水社

                              『万葉集』の作者層が「天皇から庶民まで」にわたるというのは、近代国家建設期に、国民的一体感の醸成という国家的課題に沿って作為された想像、幻想である。そのことを私はもう二十年も前に実証し、『分断された時代を生きる』(白水社、二〇一七年)にも寄稿した。 ところが、この古臭い幻想を早口でまくし立てた男がいる。耳を疑うそばから奉祝ムードが拡がり、次々に便乗本が刊行された。東歌は民謡であるなどと、とっくに潰(つい)えた説を蒸し返す輩(やから)まで現れたではないか。おいおい、改元したと思ったら、昭和に後戻りしたのかい? 東歌は巻十四に二三〇首が載る。あからさまな性愛表現など、『万葉集』中の異彩と評すべき歌群だが、すべて定型の短歌であって、字余りの様相までが都の貴族たちの作とまったく同一の法則に支配されている。短歌という貴族の詩形に、この詩形が許す限りで特異な内容を盛った歌々、それが東歌なのだ。 足(あ

                                品田悦一「万葉ポピュリズムを憂う」 - 白水社
                              • 中国・アメリカ 謎SF - 白水社

                                21世紀を照らす、内なる遠い世界へDIVE! 〈謎SF〉の世界へようこそ! 謎マシン、謎世界コンタクト…、中・米の現代文学最前線から、インスピレーションによって紡がれた偏愛の7篇の競演! 謎マシン、謎世界コンタクト、謎の眠り―。朗読劇『銀河鉄道の夜』で十年にわたって共演し、文学的感性が共鳴しあう柴田元幸と小島敬太が贈る魅惑の〈謎SF〉アンソロジー。 中国・広州に活動拠点を移した小島は、SFブームに沸く中国に滞在中に買いあさり読みあさってきた中から、柴田はアメリカの現代文学最前線をさらに掘り進め、選りすぐりの面白いSF作品を披露しあう。 知性が閃き、弾けるユーモア、謎めいた想像力が漂い出る、本邦初の書籍化・全七作品の共演! 現実世界では、政治的には手を繫ぐ関係ではない中国とアメリカだが、〈謎SF〉のもとでは呼応しあうと同時に、明確な違いも見えてくる。 現代中国とアメリカの作家たちが描く未来像

                                  中国・アメリカ 謎SF - 白水社
                                • J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 - 野谷 文昭による作家論/作家紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                  J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 思考の笑い ボルヘス生誕百年によせて十九世紀末、一八九九年生れのボルヘスは一時期、自らの生年を一九〇〇年と公言していたという。古典志向という印象が強い作家だが、二十代の初めには新奇さを求める前衛詩の運動に参加していたことを考慮すれば、新時代を感じさせる年号にこだわったとしても必ずしも不思議ではない。 そのボルヘスが生れて今年は百周年にあたるため、彼の遺品を展示する巡回展や記念行事がヨーロッパを中心に開催され、八月二十六日の誕生日にブエノスアイレスで催される一連のイベントでクライマックスを迎えるようだ(ALL REVIEWS事務局注:本論考執筆時期は1999年)。 同じく今年生誕百年を迎えるヘミングウエイ、ナボコフ、川端康成にはそれぞれ『老人と海

                                    J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 - 野谷 文昭による作家論/作家紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                  • 『歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品』(白水社) - 著者:井上 浩一 - 本村 凌二による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                    著者:井上 浩一出版社:白水社装丁:単行本(330ページ)発売日:2020-07-16 ISBN-10:4560097763 ISBN-13:978-4560097762 帝位を諦めきれない皇女の執念11世紀末から12世紀前半といえば、わが国では源氏・平氏の武士団が勢力をもたげ、西ヨーロッパでは十字軍の活動が目立ってきたころだ。東ヨーロッパのビザンツ帝国では、大豪族コムネノス家のアレクシオス(一世)が王朝を開いたが、皇帝の母、妻、娘・息子たちの愛憎の人間関係はなにやら物々しかった。本書は、なかでも長女アンナ・コムネナを焦点とする物語と解説である。アンナは古代・中世を通じて唯一の女性歴史家と言われており、父帝の伝記『アレクシアス』を残したことで名高い。 アンナは生まれてまもなく婚約した。相手は元皇帝の血をひく少年コンスタンティノス。弟さえいなければ、未来の夫は皇帝になるはずだった。だが、弟ヨ

                                      『歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品』(白水社) - 著者:井上 浩一 - 本村 凌二による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                    • ヒトかサルかと問われても[増補新版] - 白水社

                                      夢を叶える明快な妄想と馬鹿げた努力 動物の仲間になりたかった少年が、超人と呼ばれる学者になるまでの波瀾万丈の半生をみずから語る。犬や猫、虫や小魚の身のこなしに驚愕し、縁の下を這い、屋根から屋根を跳びまわり、電柱をかけ登りたいと日夜修業に明け暮れた少年時代。スズメの鳴き声を一羽一羽聞き分けようと観察を繰り返し、一定の場所を一定の高さで飛ぶアゲハ蝶の交通地図を作る。それらはすべて自分自身がスズメや蝶になった時のためという「明快な妄想」と、それを支えるための「馬鹿げた努力」であった。このような練習の積み重ねが高校時代の器械体操で大きく開花するも、著者は別の道を選ぶ。その後、大学でのインドネシア語やハンガリー語、アラビア語、中国語などのさまざまな外国語の学習、サークルでの新しい仲間との出会いなどが未知の世界への欲求をさらに大きなものにしていく。そんなときに、見知らぬ学生から声をかけられた「アフリカ

                                        ヒトかサルかと問われても[増補新版] - 白水社
                                      • 沖縄語をさかのぼる - 白水社

                                        「しま」がちがえばことばが変わる 琉球の豊かなことばのルーツをたどる ルーツは日本語と同じながら、独自の変化をした沖縄のことば。奄美から与那国まで、バリエーション豊かなことばの海を見渡します。 「しまくとぅば」を愛する人に 「おきなわ」が「うちなー」に、「ひとり」が「ちゅい」など、日本語と似ているようで似ていない沖縄のことば。それは日本語と同じ祖先をもちながら、独自の変化を遂げたためです。しかも、那覇と首里ほどの距離でも異なるほど、豊かなバリエーションがあります。沖縄本島で話される沖縄語をはじめ、奄美から与那国までの一帯に広がる琉球諸語を見渡し、その歴史をさかのぼります。日本語の親戚ともいえる、このことばの成り立ちと変遷が見えてきます。 [目次] はじめに >試し読み 琉球諸語の分布 1章 日本語と沖縄語 >試し読み 1 日本語と沖縄語のちがい 2 日本語と沖縄語の共通点 3 言語に「親族

                                          沖縄語をさかのぼる - 白水社
                                        • Q1042 アーカイヴズ - 白水社

                                          粘土板からデジタル媒体まで フランスを中心とした記録の保存管理の実践 起源、歴史、使命、機関、収蔵資料、教育制度、業務内容、現代の課題など、アーカイヴズを理解するための格好の入門書。 アーカイヴズは、人びとの活動にともなって作成されたさまざまな記録資料を保存する営みであり、社会の記憶装置として、また後世のための歴史資料として重要な役割を果たしてきた。「そうした文書はそもそも歴史物語を記すために作られたものではないため、(中略)より正確かつ事実に即していると見なすことができる。ただし、この仮定を裏づけるためには、注意深い資料批判が必要であり、それによって文書の真正性を立証できなくてはならず、さらに文書の出所をたどって元の文脈の中に位置づけることができなければならない」(本書「序」より)。 本書は、ローヌ県立リヨン・メトロポール文書館長である著者が、その起源、歴史、使命、機関、所蔵資料、教育制

                                            Q1042 アーカイヴズ - 白水社
                                          • フランス革命史 - 白水社

                                            世界的権威による空前絶後のフランス革命史 革命史研究をすべてカバーした決定版 なぜ革命は起きたのか? また革命は誰にとってのものだったのか? そして革命が残した遺産とは? 世界的権威が描き切った「全史」 革命は終わったのか? 一七八九年以降、フランスの革命家たちは人民主権、国民統合、そして市民的平等の諸原理に基づいて自分たちの世界を再建しようと努めた。それは、絶対王政と身分特権、地方特権に彩られた王国において、途轍もない挑戦だった。 本書は、なぜ革命が起きたのか? また革命は誰にとってのものだったのか? そして革命が残した遺産はなにか? 世界的権威が描き切った「全史」である。 これまでの革命史は、革命は純粋にパリのものであり、それに反抗し、敵対心を募らせる農村に押し付けられたものであるかのように描かれてきた。パリが革命を起こし、地方がそれに反応した、というわけだ。 本書は、対照的に、パリ対

                                              フランス革命史 - 白水社
                                            • 第65回岸田國士戯曲賞選評 - 白水社

                                              該当作品なし 受賞作なし……。   岩松 了 小田尚稔『罪と愛』……いろんな意味で未熟さを感じたが、この作品には作者の“書かざるを得ない思い”がある。物語から遠く離れて、いわば悶々とした青年の状況が散乱している印象だが、それは未熟というよりそこにドラマを感じるという“そこ”が表立った事象にではなく“人がそうやって生きている”という一点に絞られてるからだと思われる。男を四つの人格に分けるのはいいが、途中母親の話に出てくる高校球児は男5として、四つの人格を見ている存在であるべきだ。そこに何らかの対決があるとすれば、それが物語というものではないだろうか。 根本宗子『もっとも大いなる愛へ』……「わかりたい」という情動から発して、それを阻む対話のズレに対する異常とも言える不安を極大化してみせるところに演劇としての挑戦を感じた。作者のこれまでのこだわりをその不安に絞っているという意味で自分の演劇に対す

                                                第65回岸田國士戯曲賞選評 - 白水社
                                              • Amazon.co.jp: 「その他の外国文学」の翻訳者: 白水社編集部: 本

                                                  Amazon.co.jp: 「その他の外国文学」の翻訳者: 白水社編集部: 本
                                                • 市民的抵抗 - 白水社

                                                  斎藤幸平さん推薦! 3.5%が動けば社会は変わる! 暴力より非暴力の方が革命は成功する! 世界中で話題をさらったハーバード大教授による現代革命論 革命をもたらす3.5%の力 「ある国の人口の3・5%が非暴力で立ち上がれば、社会は変わる」。 この「3.5%ルール」で一躍有名になったのが本書の著者で、ハーバード大学ケネディ行政大学院教授のエリカ・チェノウェスだ。 本書は、この「3.5%ルール」をはじめ、市民的抵抗の歴史とその可能性を探る試みである。どこか弱々しく、悲壮なイメージがつきまとう非暴力抵抗だが、実証的にアプローチしてみると、その印象は一変する。 過去120年間に発生した627の革命運動の成功率を見てみよう。暴力革命と非暴力革命とではどちらが成功したのだろうか? 1900年から2019年の間、非暴力革命は50%以上が成功した一方で、暴力革命はわずか26%の成功にとどまる。 これは驚くべ

                                                    市民的抵抗 - 白水社
                                                  • 翻訳書を上梓します(エドワード・J・ワッツ、中西恭子訳『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(白水社、2021年)) - ホッキョクウサギ日誌

                                                    このたび白水社から翻訳書を上梓いたします エドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』 中西恭子訳、白水社、2021年 著者、エドワード・J・ワッツ氏はカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授、現在最も精力的に活動する古代末期地中海世界史研究者のひとりです。 『ヒュパティア』は、政界や宗教界の要人を輩出する名教師として知られつつも5世紀初頭のアレクサンドリアの政争に巻き込まれて非業の死を遂げた女性数学者・新プラトン主義者ヒュパティアの生涯と、同時代の宗教者と知識人の命運を明晰な分析とともに描き出す著作です。 古代末期のアレクサンドリアの状況を俯瞰する視点にはじまり、古代末期のアテナイとアレクサンドリアの学芸文化や、380年代から410年代のアレクサンドリアの諸宗教と政治の相克に加え、ヒュパティアの学問の背景にある3世紀から6世紀の数学史や新プラトン主義史も伝える好著です

                                                      翻訳書を上梓します(エドワード・J・ワッツ、中西恭子訳『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(白水社、2021年)) - ホッキョクウサギ日誌
                                                    • 「その他の外国文学」の翻訳者 白水社編集部(編集) - 白水社

                                                      紹介 「その他」の側から世界を見る 翻訳大国日本。多くの外国文学が翻訳され、読まれている。その中には日本では学習者が少なく、「その他」とくくられる言語によるものも含まれる。 しかし、「その他」だといって存在感が小さいわけではない。インディペンデントな文学賞として知られる「日本翻訳大賞」の第1回大賞の2作品は、韓国語とチェコ語による作品だった。いずれも「その他」に分類される作品が、読者からも、翻訳者からも多くの評価を得たこと自体が、このカテゴリーの奥深さのあらわれではないだろうか。 では、「その他」を生み出しているのはどのような翻訳者たちなのか? 日本では馴染みの薄い言語による文学を、熱意をもって紹介してきた9人の翻訳者が、その言語との出会いや学習方法、翻訳の工夫、そして文学観を語るインタビュー集。 序文・斎藤真理子 鴨志田聡子(ヘブライ語) 星泉(チベット語) 丹羽京子(ベンガル語) 吉田

                                                        「その他の外国文学」の翻訳者 白水社編集部(編集) - 白水社
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