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ゲンロン戦記の検索結果1 - 17 件 / 17件

  • 新著『ゲンロン戦記』が異例のヒット…東浩紀氏に聞く「インターネットの失われた10年間」

    哲学者の東浩紀氏の新著『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』が、世代を超えて話題を呼んでいる。 学会や文壇の常識には囚われない「知のプラットフォーム」を志し「ゲンロン」を東さんが創業したのが2010年のこと。これまでの葛藤を赤裸々につづった奮闘記は、起業家やビジネスパーソンのみならず、コロナ禍で不安を抱えながらも自分の道を切り拓こうともがく若者にも支持されている。 『ゲンロン戦記』には東さんとゲンロンが、混乱の中を戦い続けた「2010年代」が描かれている。SNSが影響力をもち、個人が自由に情報を発信できるようになったことは「アラブの春」に象徴されるような“革命”にも影響を与えた。その一方、分断やメディアビジネスにまつわる歪な構造をも生んだ負の側面もある。 「インターネットの力を信じられなくなった」と失望を語りつつ、それでもネットや出版を通じて自らが信じる哲学を試行錯誤してきた東さん。201

      新著『ゲンロン戦記』が異例のヒット…東浩紀氏に聞く「インターネットの失われた10年間」
    • 東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 - 基本読書

      ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ) 作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いたり配信したりして利益を出している小さな会社を経営していた東浩紀氏の自伝的奮闘記である。経営本であるというと基本的には大成功を収めた人がその華々しい経歴やその経営哲学を語るものだが、本作で描かれていくのは無残な失敗の連続だ。 それも、「それならしょうがねえよな」と同情してしまう失敗、というより理念や理想が先行してそのうえ行動力も伴っているがゆえに実態がまるで追いつかず、「そんなことやっているんですか……」と絶句してしまうような失敗が多。それを真摯に反省し、なんとかしようと奮闘し、また同じような失敗をして落ち込む……という繰り返しが

        東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 - 基本読書
      • 東浩紀『ゲンロン戦記』をつくりながら考えたネットメディアと私の戦い - 石戸諭 |論座アーカイブ

        東浩紀『ゲンロン戦記』をつくりながら考えたネットメディアと私の戦い ネットに夢を抱いた哲学者が立ち上げた「ゲンロン」の戦績と失敗の遍歴と重ね合わせて 石戸諭  ノンフィクションライター 『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)という本で、東浩紀さんの聞き手と構成を務めた。本書の概要は、公式ホームページにうまくまとまっている。 《難解な哲学を明快に論じ、ネット社会の未来を夢見た時代の寵児は、2010年、新たな知的空間の構築を目指して「ゲンロン」を立ち上げ、戦端を開く。ゲンロンカフェ開業、思想誌『ゲンロン』刊行、動画配信プラットフォーム開設……いっけん華々しい戦績の裏にあったのは、仲間の離反、資金のショート、組織の腐敗、計画の頓挫など、予期せぬ失敗の連続だった。10年の遍歴をへて哲学者が到達した「生き延び」の論理》 5回にわたるインタビューを読み返し、そして構成するなかで、私も

          東浩紀『ゲンロン戦記』をつくりながら考えたネットメディアと私の戦い - 石戸諭 |論座アーカイブ
        • ブルボン小林が語る「富田童子『BOYS OF THE DEAD』と東浩紀『ゲンロン戦記』」の話 : -

          TBSラジオ『たまむすび』 2021年03月03日放送「マンガ、ときどき本」 パーソナリティ : 赤江珠緒 パートナー : 博多大吉 ゲスト : ブルボン小林 TBSラジオの番組『たまむすび』内「マンガ、ときどき本」コーナーでブルボン小林さんが「富田童子『BOYS OF THE DEAD』と東浩紀『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』」について話されていました。 ■富田童子 『BOYS OF THE DEAD』 (プランタン出版 2020年) https://www.c-canna.jp/c/item/82960029086450000000.html ■東浩紀 『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』 (中公新書ラクレ 2020年) https://www.chuko.co.jp/laclef/2020/12/150709.html 赤江珠緒 さあ、では「マンガ、ときどき本」本題に入り

            ブルボン小林が語る「富田童子『BOYS OF THE DEAD』と東浩紀『ゲンロン戦記』」の話 : -
          • 宇野重規が、東浩紀の挑戦に見出した意義「当初の狙いとは異なる人や場所へ」 書評:『ゲンロン戦記』東浩紀・著|教養|婦人公論.jp

            『民主主義とは何か』などの著書のある宇野重規氏(東京大学教授)は、新たな思想の拠点をつくりあげようとする東浩紀氏をどう分析するのか。東氏の10年間の挑戦を綴った『ゲンロン戦記』から読み解くとーー ルソーの現代性を鮮やかに浮かび上がらせた はじめに書いておくが、筆者は東浩紀さんと親しいわけではない。たしかに東さんが運営するゲンロンカフェに参加したことはある。そのトークイベントの一部が、東さんの『一般意志2.0』の文庫版に収録されてもいる。スタジオを探せば、どこかに筆者のサインが残っているはずだ。とはいえ、東さんとちゃんと話したのはそれきりであり、その後は会う機会もない(お誘いは受けたが、こちらの事情で実現していない)。 ときどきTwitterで見る限り、必ずしも政治的意見が一致するわけでもない。というよりも、正面からぶつかることの方が多いかもしれない(上記のイベントでも、二人の違いが明らかに

              宇野重規が、東浩紀の挑戦に見出した意義「当初の狙いとは異なる人や場所へ」 書評:『ゲンロン戦記』東浩紀・著|教養|婦人公論.jp
            • クイズ王・徳久倫康「シンキングタイム」の使い方。ゲンロンで働く気はあるか、と問われて 『ゲンロン戦記』(東浩紀・著)に寄せて|教養|婦人公論.jp

              哲学者の東浩紀さんが会社をつくり、10年間の挑戦を綴った『ゲンロン戦記』が話題を呼んでいる。哲学の実践を目指すなか、その道のりは予期せぬ失敗やトラブルの連続だった。2018年末、社内の混乱が頂点に達し、会社を解散しようとした東さんに、「困ります。続けるべきだし、続けたい」と言った最古参社員がいた――。ゲンロンの激動の時代を見つめてきた徳久倫康さん(現取締役)に寄稿してもらった。 「押してから考える」スキル ぼくはクイズを趣味にしている。なかでも早押しクイズを中心とした、いわゆる「競技クイズ」のプレイヤーで、全国の大会に頻繁に足を運んでいる。「クイズ王」としてテレビ番組に呼ばれたこともある。 早押しはたんに多くのことを知っていれば勝てるというものではなく、得点状況の判断や問題傾向からの類推、相手の得意ジャンルや戦略の把握など、さまざまな要素を複合したうえでの判断が求められる。意外と重要なのは

                クイズ王・徳久倫康「シンキングタイム」の使い方。ゲンロンで働く気はあるか、と問われて 『ゲンロン戦記』(東浩紀・著)に寄せて|教養|婦人公論.jp
              • 『ゲンロン戦記』東浩紀が僕に語った大いなる「失敗」|文化|中央公論.jp

                『ゲンロン戦記』は、作家・思想家の東浩紀氏が哲学の実践を目指すなか、中小企業の経営者として遭遇した予期せぬ失敗やトラブルを記した奮闘記である。 難解な哲学研究から出発し、オタク文化やネット社会を縦横に論じた時代の寵児がなぜ、中小企業ゲンロンを創業することになったのか。ゲンロンで事件が起こり危機に陥ったとき、なにを考え、どんな行動をとってきたのか。本書の聞き手でもあるノンフィクションライターの石戸諭氏が、東氏から引き出した答えとは――。 「人間・東浩紀」と「法人・ゲンロン」 『ゲンロン戦記――「知の観客」をつくる』という本は、東浩紀さんも書いているように聞き手と構成を務めた僕の関心が強く反映されている。では、その関心とは何か。僕の関心は、一貫して「人間・東浩紀」と「法人・ゲンロン」に向いている。 1984年に生まれ、ゼロ年代に学生時代を過ごした僕にとって、東さんは存在を知った時からスターの一

                  『ゲンロン戦記』東浩紀が僕に語った大いなる「失敗」|文化|中央公論.jp
                • 東浩紀著『ゲンロン戦記』が売れているのはうれしい驚き まるで菊池寛のトラブル奮闘記

                  批評家による会社経営の記録 東浩紀さんの『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)を読んだ。まるで菊池寛の文藝春秋創業を思わせるような会社の滑り出しの手作り感や最先端感と、会社が実体を持ち始めていったときの大変さ。経営実務を任せていた人の使い込みあり、勤務の懈怠あり、トラブルずくめの奮闘記である。 カリスマ的人物の実力の上に乗っかって、当たり前のように自分の食い扶持があると考えるスタッフに対する違和感。一方で、自分と似た匂いがする人に対して、志を同じくしてくれると思って期待する東さんの甘さ。でも、それゆえに生まれる貴重な出会いもある。学びとしては、会社はみんなのものというのは欺瞞であるし、実際にみんなのものにはなっていないことだろう。オーナー経営者は孤独であり、そうでなければならないということかもしれない。 本書は事業を拡大していくときの教訓にも満ちている。手を広げることの問題点と、その間違いを含

                    東浩紀著『ゲンロン戦記』が売れているのはうれしい驚き まるで菊池寛のトラブル奮闘記
                  • 『ゲンロン戦記』とゲンロンは誰のためにあるのか──與那覇潤×東浩紀(司会=石戸諭) 「平成の鬱と新しい知性の実践」イベントレポート

                    12月19日、東浩紀の新著『ゲンロン戦記――「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)の刊行記念イベントが行なわれた。本書は、東がゲンロンを経営するなかでぶちあたった挫折の数々を赤裸々に語った本として話題沸騰中だ。失敗からこそ導き出されるその哲学に共感する読者の声も多く聞かれる。 イベントはお祝いムードのなか進んだが、たんなる「ゲンロン礼賛」だけでも終わらなかった。東の対談相手を務めた歴史学者の與那覇潤が、『ゲンロン戦記』を評価すると同時にいくつかの批判的な問いを投げかけたからだ。司会として、同書で聞き手・構成を務めた石戸諭がふたりの議論を橋渡しするかたちで議論は展開した。 さまざまな問題が縦横無尽に語られた充実の7時間のなかから、ここではゲンロンの観客や読者をめぐって議論が行われた場面を取り上げる。「ゲンロンって結局は東浩紀信者の集まりでしょ?」という見方が仮にあるとして、東はそれにどう返

                      『ゲンロン戦記』とゲンロンは誰のためにあるのか──與那覇潤×東浩紀(司会=石戸諭) 「平成の鬱と新しい知性の実践」イベントレポート
                    • ゲンロン戦記|特設ページ|中央公論新社

                      MEDIAメディア情報 『朝日新聞』 東氏インタビュー https://www.asahi.com/articles/DA3S14803742.html 『読売新聞』 東氏インタビュー(読者会員限定記事) https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210110-OYT8T50070/ 『毎日新聞』&『ALL REVIEWS』 鹿島茂氏書評 https://allreviews.jp/review/5345 『産経新聞』 東氏インタビュー https://www.sankei.com/life/news/201223/lif2012230001-n1.html 『共同通信』 森原龍介記者書評 『北海道新聞』 常見陽平氏書評 『新潮』 上田岳弘氏書評 『文学界』 入江哲朗氏書評 『群像』 石戸諭氏寄稿 『文藝春秋』 東氏インタビュー https://bungeis

                        ゲンロン戦記|特設ページ|中央公論新社
                      • 「あれは私が作った」と主張することの代償 東浩紀『ゲンロン戦記』|ふろむだ@分裂勘違い君劇場

                        2018年末、東浩紀氏は、株式会社ゲンロンの代表取締役を辞任した。 崩壊寸前だったゲンロンの劇的なV字回復が始まったのは、この時である。 一般に、会社経営のV字回復のドラマは、V字回復をさせた新社長を主人公として描かれる。 『ゲンロン戦記』がユニークなのは、V字回復の物語を、会社をダメにしてしまった旧社長を主人公として描いた点である。 Vという文字の、左半分を書いたのである。 本書では、ずさんな経営 --- 仕事内容も理解しないまま仕事を丸投げしたり、仲たがいしたり、社員に不満がたまったり、社員に逃げられたり、甘い見積もりと放漫経営で会社の資金が尽きて借金したり、といった、旧社長のダメっぷりが赤裸々に告白されているが、それでも創業してから8年も会社経営を続けられたことは、心からの尊敬に値する。 ゲンロンでは、出版事業、イベント開催、教育事業、オンライン動画配信事業などをやっているが、それら

                          「あれは私が作った」と主張することの代償 東浩紀『ゲンロン戦記』|ふろむだ@分裂勘違い君劇場
                        • 「ぼくみたいなやつ」とは一緒に働けない(東浩紀『ゲンロン戦記』について)

                          『ゲンロン戦記』は、哲学者・批評家・経営者の東浩紀が、会社を立ち上げて以降10年間を振り返った本だ。 アカデミックな世界出身の東が俗世に出て自ら会社を回すようになるうち、「事務」の重要性を認めるようになる過程は、日々書類仕事に明け暮れる自分にとって既視感のあるものだ。とくに彼が躓き続けた経理は、取引の流れや商慣習を理解しないうちに任されるとたしかに非常に混乱する。消費者として小売店にふらりと訪れ、商品を選び、お金を渡してレシートを受け取って帰るという行動とは全く違う手続きが企業同士の取引では発生するが、これは大学の中にいるだけでは理解できないし、理解する必要もないことだろう。 ほかにも、仕事の全体像が掴めていないと人に仕事を任せることもできないとか、文化は観客がいないと根付かないから観客を育てることが大切だとか、いくつか納得できた部分はある。しかし、私がもっとも心打たれたのは、東が自らの「

                            「ぼくみたいなやつ」とは一緒に働けない(東浩紀『ゲンロン戦記』について)
                          • 【読書感想】ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる ☆☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

                            ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ, 709) 作者:東 浩紀発売日: 2020/12/08メディア: 新書 Kindle版もあります。 ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ) 作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版 内容(「BOOK」データベースより) 「数」の論理と資本主義が支配するこの残酷な世界で、人間が自由であることは可能なのか?「観光」「誤配」という言葉で武装し、大資本の罠、ネット万能主義、敵/味方の分断にあらがう、東浩紀の渾身の思想。難解な哲学を明快に論じ、ネット社会の未来を夢見た時代の寵児は、2010年、新たな知的空間の構築を目指して「ゲンロン」を立ち上げ、戦端を開く。ゲンロンカフェ開業、思想誌『ゲンロン』刊行、動画配信プラットフォーム開設…いっけん華々しい戦績の裏にあったのは、仲間の離反、資金のショート、組織の

                              【読書感想】ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる ☆☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
                            • 成熟とは何か 『ゲンロン戦記』東浩紀 - こけし日記

                              東浩紀さんの『ゲンロン戦記』を読みました。 この本は、批評家で作家の東浩紀さんが2010年に立ち上げた 「株式会社ゲンロン」についての歩みを振り返った本です。 ノンフィクションライターの石戸論さんの聞き書きによるもので、 日常の言葉遣いで書かれており、 構成もすっきりとしていたのでとても読みやすかったです。 この本の読みどころは2つあります。 1つがビジネス本としての面白さです。 批評家として活躍していた東さんが新しい時代を作るメディアを作ろうと、 株式会社ゲンロンを立ち上げ、出版事業でヒットを飛ばし、 ツアー事業で話題を呼んで、さらにはカフェも始めて、 当時まだ革新的だった動画配信事業にも乗り出しと、 どんどん組織が大きくなっていきます。 一見順調に行きかけたと思うたびに、お金の使い込みがあったり、 信頼していた人に裏切られたり難局にぶつかります。 しかし、そのたびに協力してくれる人が登

                                成熟とは何か 『ゲンロン戦記』東浩紀 - こけし日記
                              • 『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』(中央公論新社) - 著者:東 浩紀 - 鹿島 茂による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                著者:東 浩紀出版社:中央公論新社装丁:新書(288ページ)発売日:2020-12-08 ISBN-10:4121507096 ISBN-13:978-4121507099 「誤配」から生まれる批評的観客一応はビジネス戦記に分類されるのだろうが、本質は哲学書という不思議に面白い本である。 デビュー作でサントリー学芸賞、初の長編小説で三島賞を受賞し、アカデミズムにも地歩を固めて「人生上り調子で、 収入も増えて」いた著者は、なぜかそうしたメインストリームに「強い居心地の悪さ」を感じて、SNSを活用した出版企業を同志たちと起業、メインストリームに代わるオルタナティブ出版社「ゲンロン」を立ち上げる。2010年のことである。「ゲンロン」から出した思想誌『思想地図β』は三万部を売り上げ、順風満帆に見えたが、経理担当者の使い込みという試練に出会う。これで甘さを反省して経営者として目覚めたかというと、そう

                                  『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』(中央公論新社) - 著者:東 浩紀 - 鹿島 茂による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                • 東浩紀『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

                                  1月11 東浩紀『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ) 8点 カテゴリ:思想・心理8点 批評家であり、思想家でもある東浩紀が立ち上げた株式会社ゲンロンのここ10年の歩みを自身が振り返ったもの。 本書は、まず起業の記録として読めると思います。事業計画の甘さ、会計処理の重要性など、企業を経営するときに降るかかる問題点を教えてくれます。さらに、もう少し広く、「組織論」としても読めます。能力のある仲間を集めても必ずしも組織としては機能しないということを教えてくれます。 そして、著者による現代社会論、特にネット論としても読めると思います。もともと、著者はネットの可能性に大いに期待していた人物ですが、どこが上手くいかなかったのか、今のネットのどこが問題なのかということが見えてきます。もちろん、この10年でネットはさらに影響力を高めており、このネットの問題は、現実の政治や経済ともつながっています。本書を読む

                                  • 批評という死んだ楽園 ー 東浩紀『ゲンロン戦記』(2020)のホモソーシャル性について | いびつなロケット13号

                                    コロナ下の状況は現在の日本において「文化」が危機的状況にあることを顕現化させてしまった。コロナが経済の基盤の脆弱さを表面化させ、演劇や音楽、映画といったジャンル自体が消滅の危機に瀕している。と同時に明らかになったのが、基盤の弱さと特殊な村社会故のハラスメントの問題であったことは記憶に新しい。 アップリンクやユジク阿佐ヶ谷といった有名なミニシアターで従業員に対するパワハラや労働問題が表面化したように「文化」に携わる仕事の諸々が、雇用が不安定で低賃金の中、重労働を強いる「やりがい搾取」となっている現状が伝えられている。他にもSTUDIO4℃の労働問題などもあったが、2020年は、人気の出やすくある種の宗教的な色合いを帯びやすい芸術産業が、華やかさの裏で大きな問題を抱えていたことが明らかになった年だった。ある種の人気やカリスマ性を持つ存在が「映画」や「芸術」といった旗印の下で暴君となり、その中で

                                      批評という死んだ楽園 ー 東浩紀『ゲンロン戦記』(2020)のホモソーシャル性について | いびつなロケット13号
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