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  • 「ソウルマンの死~追悼・志村けん」 輪島裕介|本がひらく

    志村が死んだ。という言い方は、常識的には不謹慎で敬意を欠くものだろう。しかし、毎週「志村、うしろ、うしろ」と真顔で叫んでいた1974年生まれ(そう、彼がドリフに加入した年だ)の私にとって、「コメディアン・志村けんさんが亡くなりました」といった「正しい」言い方はどうしても馴染めない。舞台や画面上の演者と、客席やお茶の間の観衆を明確に区別したうえで、観衆を興奮の渦に巻き込んでゆく芸能者に対して、あたかも個人的な知り合いのように馴れ馴れしく敬称をつけて呼ぶことはむしろ失礼であるように思える。 舞台と客席の、そして舞台上と舞台裏の区別は、ちょうど楽屋落ちや私生活ネタ満載の「オレたちひょうきん族」が「8時だョ! 全員集合」にかわって土曜8時の覇権を奪うあたりから本格的に崩れてゆくことになる。安直に「素顔」や「舞台裏」を見せないプロの喜劇人として、ほとんど最後の世代に属する彼に対する、お茶の間から画面

      「ソウルマンの死~追悼・志村けん」 輪島裕介|本がひらく
    • 第1回 俺がやらなきゃ誰がやる | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

      著者: 輪島裕介 2022年にデビュー60周年を迎えた北島三郎。日本の演歌界をリードしてきた不世出の歌手の名前と、「函館の女」「与作」「まつり」といった代表曲を知らぬ人はいないでしょう。しかし、そのキャリアや音楽的功績について、どれだけの人が正しく認識しているでしょうか――。著書『創られた「日本の心」神話』で、演歌というジャンルの“起源”に鋭く斬り込んだ音楽学者が、「北島三郎とは何者か」という壮大な問いに挑みます。 音楽学者、北島三郎に挑む これから北島三郎について論じる。 いうまでもなく北島三郎は、現在日本で活動する演歌歌手のなかでおそらく最も有名な、そして圧倒的に「大御所」感が漂う歌手といえる。レコードデビューは1962年なので、今年2022年に60周年を迎える。1960年代の「なみだ船」「兄弟仁義」「帰ろかな」「函館の女」、さらに70年代後半の「与作」など多くの有名曲を持ち、東映の任

        第1回 俺がやらなきゃ誰がやる | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
      • 第5回 「流行歌」の誕生――浪曲からロカビリーまで | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

        録音と実演の分裂――「はやり唄」から「はやらせ唄」へ 今回は、昭和初期における外資系レコード産業の日本市場参入と、「声はすれども姿は見えず」を特徴とする「流行歌」の成立について概観したうえで、そこから逸脱する雑多な実演に由来する要素が、戦後、部分的に取り入れられてゆく過程についてみてゆく。そのうえで、1962年の北島三郎のデビューを、そうした巷の芸態の流入と、レコード会社専属制度の動揺という文脈のなかに位置づけてみたい。つまり、サブちゃんの個人史ではなく、文化史および産業史に注目して、北島三郎登場の背景とその意義を探る、ということになる。 北島三郎の代表曲のレコードジャケット(著者私物、撮影・新潮社) 大正時代、関東大震災前後には、異種混淆的な実演に基づく音と声の表現の文化が形成されていた。浪花節、安来節(やすきぶし)、女剣劇、書生節、映画説明と和洋合奏、小唄映画、といった、在来の芸態に近

          第5回 「流行歌」の誕生――浪曲からロカビリーまで | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
        • 第7回 分裂――機械屋vs.レコード屋 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

          1963年、日本クラウンへ移籍 前回から間が空いてしまった。前回は、デビューから1963年の紅白初出場までを駆け足で辿ってきた。勢いがつきすぎて、きわめて重要なトピックに言及していなかったことに後から気づいた。 1963年の紅白初出場時には、北島三郎はすでに日本コロムビアの専属歌手から、新たに設立されたばかりの新会社・日本クラウンに移籍していたのだ。その経緯は後に詳述するが、レコード事業部長として常務取締役だった社歴40年の伊藤正憲(1900-1992)が、元大蔵事務次官の著名な財界人で、株主の意向でコロムビアに送り込まれた会長・長沼弘毅(1906-1977)と対立し、「勇退」させられたことにはじまる。伊藤を慕う有力な社員ディレクターたちは、彼の辞職を不服とし、彼らが担当する専属作家・歌手を引き連れて新会社・日本クラウンを設立した。そのなかに、五月みどりや守屋浩と並んで北島も含まれていた、

            第7回 分裂――機械屋vs.レコード屋 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
          • 「東京ブギウギ」へと至る「近代音曲史」──書評 : 輪島裕介著『昭和ブギウギ: 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』

            オトトイ読んだ Vol.18 文 : imdkm 今回のお題 『昭和ブギウギ: 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』 輪島裕介 : 著 NHK出版 : 刊 出版社サイト OTOTOYの書籍コーナー“オトトイ読んだ”。今回は輪島裕介による『昭和ブギウギ: 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』。現在放送中のNHK、連続テレビ小説『ブギウギ』、その主人公のモデルで、第二次世界大戦前後に爆発的な人気を博した「ブギの女王」笠置シヅ子、そして戦後復興期を象徴するヒット曲なった彼女の代表曲「東京ブギウギ」の作曲など、楽曲面でその活躍に寄与した服部良一。このふたりの活動をメインに、戦前の西洋音楽〜ジャズの大衆芸能としての受容にはじまり、いわゆる歌舞音曲の融合の様、そして戦後に「東京ブギウギ」を生んだ、その背景に迫る一冊。戦前・戦後の日本のポピュラー音楽史、特にレコードのみならず、実際の「舞台芸能」をひとつ視点

              「東京ブギウギ」へと至る「近代音曲史」──書評 : 輪島裕介著『昭和ブギウギ: 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』
            • 第3回 在地音楽への道――「アメリカにはジャズ、フランスにはシャンソン、そして日本には艶歌がある」 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

              考える人 > 連載一覧 > 北島三郎論 艶歌を生きた男 > 第3回 在地音楽への道――「アメリカにはジャズ、フランスにはシャンソン、そして日本には艶歌がある」 なぜ北島三郎なのか 前回私は、1960年代後半以降の新左翼的な思潮を背景に五木寛之が定式化した、「日本人の、弱さや、貧しさや、哀しさや、おろかさ」の表現としての艶歌という図式を逆転させて、「日本に限らず世界中の庶民の、強さと、豊かさと、陽気さと、賢さ」の表現として北島三郎の歌を捉える、と述べた。さらに、そこに暗示される「ありえたかもしれない艶歌」の姿を通じて、近代日本大衆音楽史の通念的な見方自体に挑戦したい、と宣言した。 今回は、その無謀な試みに着手するにあたって、私の立場と問題関心を示し、そこに我らが北島三郎を位置付けてみたい。北島三郎という個人の天才を崇拝する、ということではなく、「巷の歌」を歌う流し出身のレコード歌手が1960

                第3回 在地音楽への道――「アメリカにはジャズ、フランスにはシャンソン、そして日本には艶歌がある」 | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
              • 第2回 ひとりぐらいはこういう馬鹿が | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

                第1回はこちら 承前:連載の意図 本連載で私が試みるのは、演歌(というよりここはあえて「艶歌」と表記したい)を、「北島三郎的なもの」として再想像、もっといえば再創造する、ということだ。 北島三郎が演歌歌手なのは当たり前だ、何をいまさら、と思われるかもしれない。そうではなく、北島三郎を論じることを通じて、私がかつて明らかにした演歌ジャンルの枠組を、かなり根底的に修正し、あるいは転覆させようという大それた野望を持っているのだ。 つまり、演歌ジャンル確立期のいわば原義である夜の巷の流し、つまり艶歌師とその歌を体現する存在として北島三郎をとらえ、それを、1970年代以降の演歌ジャンル(のみならずアイドルを含む日本の大衆歌謡のかなりの部分)において強い規範、または呪縛となってきた「五木寛之=藤圭子的な演歌(艶歌、怨歌)像」に対するオルタナティヴとして提示する、というのが本連載における私の目論見だ。

                  第2回 ひとりぐらいはこういう馬鹿が | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
                • 第4回 「音盤=音楽」からこぼれてしまうもの | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

                  「西洋とそれ以外」の再生産 前回は勢いまかせにかなり大きな話をしてしまったので、端折ったところも多く、われながら説明不足の感は否めない。先行研究と学説史の迷宮に入り込まない程度に文脈を補足したうえで、日本におけるレコード会社製流行歌の具体的な形成過程を参照しながら、「在地音楽としての艶歌」という本連載の主題の可能性と困難について考えてみたい。 北島三郎の代表曲のレコードジャケット(著者私物、撮影・新潮社) 前回の結論として私は次のように記した。 サブちゃんの決まり文句、「アメリカにはジャズ、フランスにはシャンソン、そして日本には艶歌」を、「韓国にはトロット、タイにはモーラム、インドネシアにはダンドゥット、ナイジェリアにはアフロビート、モロッコにはグナワ、コロンビアにはクンビア、マルティニークにはズーク(以下略)、そして日本には艶歌」のように拡張し、その音楽と実演の魅力を、欧米に留まらず世界

                    第4回 「音盤=音楽」からこぼれてしまうもの | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
                  • 民謡トレンド、本格化か 震災、コロナ乗り越えて 大阪大大学院教授・輪島裕介【2024未来予測】:時事ドットコム

                    愛知県豊田市で開催された「橋の下大盆踊 SOUL BEAT ASIA 2023=2023年8月(photo by Kanji Furukawa、同実行委員会提供) 2024年の大衆音楽における未来予測、というより願望といったほうがよいのだが、それは「民謡」の再解釈と復興だ。もちろんそれは、歌と踊りが演じられ楽しまれる場、つまり盆踊りや祭りの再編成とも関わっている。保存の対象として固定的に捉えられていた「日本的伝統」という通念を揺さぶって、より柔軟でさまざまに活用可能な資源として「民謡」や「盆踊り」を捉えるさまざまな実践が生まれている。2024年はそうした動きがより活発になることを期待している。 象徴的な“民クル”の存在 東京・福生発の民謡クルセイダーズ=映画『ブリング・ミンヨー・バック!』より(C)Yuji Moriwaki All rights reserved とはいえ、民謡と盆踊りの

                      民謡トレンド、本格化か 震災、コロナ乗り越えて 大阪大大学院教授・輪島裕介【2024未来予測】:時事ドットコム
                    • 『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介さん×『落語に花咲く仏教』釈 徹宗さん対談―”大阪音曲巡礼”【後編】|本がひらく

                      『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介さん×『落語に花咲く仏教』釈 徹宗さん対談―”大阪音曲巡礼”【後編】 近世以来、庶民の娯楽や祈りのバックボーンを支えてきた大阪の音曲。「地」に根づいた音楽・笑い・語りの歴史と可能性について、『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』を上梓した輪島裕介さんと、上方の芸能にも詳しい宗教学者の釈徹宗さんが縦横無尽に語りました。後編も、西洋と日本の音楽観の違いから始まり、日本のアイドルのあり方の特殊性や、後年の笠置シヅ子とロックスターのエピソード、大阪人のコミュニケーションまで話題は広がって……。 ■街に花咲く音楽輪島 釈先生が『落語に花咲く仏教』の中で、日本の音曲は三層構造になっていると書かれていました。非常にメロディアスに音楽的に歌う部分と、言葉で語る部分と、最後の最後にある種の社交があって事が収まると。これは、なるほどと思いま

                        『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介さん×『落語に花咲く仏教』釈 徹宗さん対談―”大阪音曲巡礼”【後編】|本がひらく
                      • <書評>『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介 著:東京新聞 TOKYO Web

                        戦後まもなく「ブギの女王」と呼ばれて大活躍した笠置シヅ子と、その楽曲を書いた服部良一を、才気あふれる音楽学者が語る。笠置がモデルのNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の放送に合わせた出版だが、内容はかなり学術的だ。 大阪育ちの両人の経歴をたどりつつ、戦前の「ラッパと娘」、戦後「東京ブギウギ」「買物ブギー」などの傑作が論じられている。日本の伝統的な音曲の要素と新しいアメリカ音楽を混ぜ合わせる服部の卓越した技法と、笠置の圧倒的な身体の躍動が見事な「リズム音曲」を生んだこと、その背景に大阪の庶民芸能文化と関西系興行資本の力があったことが、豊富な資料を使って示される。 ただし、米国文化の大量流入や日本人の対米感情などがブギウギ・ブームにどう影響したか、といった社会~文化状況に関する議論は欠けている。そこが少々残念だが、大阪の実演文化に注目する著者の観点は、東京で作られるレコードを中心に語られがちな日本

                          <書評>『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』輪島裕介 著:東京新聞 TOKYO Web
                        • 第6回 上京・流し・デビュー | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社

                          美空ひばりに憧れて 北島三郎は1936年10月4日に北海道上磯郡知内(しりうち)村(現在は知内町)で、7人きょうだいの長男として生まれた。知内は函館から50kmほど西の津軽海峡沿いの漁村で、生家は祖父の代には網元としてかなり豊かだったが、父の代には半農半漁の厳しい生活だったという。歌自慢の祖父が子守唄がわりに歌う江差(えさし)追分(おいわけ)をおぶられて背中で聞いたことを、自身の歌手になる原点としている。 北島三郎の代表曲のレコードジャケット(著者私物、撮影・新潮社) 参考までに近い年代の有名人を挙げておこう。石原裕次郎が1934年、エルヴィス・プレスリー、寺山修司、美輪明宏が1935年、長嶋茂雄が1936年の早生まれ。北島と同学年になる1937年の早生まれでは阿久悠、江利チエミ、雪村いづみ。島倉千代子とこまどり姉妹が1938年早生まれ、小林旭、なかにし礼が1938年。ちなみに五木寛之は1

                            第6回 上京・流し・デビュー | 北島三郎論 艶歌を生きた男 | 輪島裕介 | 連載 | 考える人 | 新潮社
                          • Amazon.co.jp: ポップ・ミュージックを語る10の視点 (〈music is music〉レクチャー・シリーズ): 大和田俊之(編著) (著), 柳樂光隆 (著), 南田勝也 (著), 冨田ラボ(冨田恵一) (著), 渡辺志保 (著), 挾間美帆 (著), 増田聡 (著), 細馬宏通 (著), 永冨真梨 (著), 輪島裕介 (著), マスヤマコム&牧村憲一(プロデュース) (その他): 本

                              Amazon.co.jp: ポップ・ミュージックを語る10の視点 (〈music is music〉レクチャー・シリーズ): 大和田俊之(編著) (著), 柳樂光隆 (著), 南田勝也 (著), 冨田ラボ(冨田恵一) (著), 渡辺志保 (著), 挾間美帆 (著), 増田聡 (著), 細馬宏通 (著), 永冨真梨 (著), 輪島裕介 (著), マスヤマコム&牧村憲一(プロデュース) (その他): 本
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