1.日高山系・福岡大ワンゲル事故の検証 2.苫前事件(三毛別事件) 3.「史上最悪のヒグマ事件」を読み解く 4.苫小牧のクマ騒動 1.日高山系福岡大事故の検証 1970年7月、日高山系カムイエクウチカウシ山(標高1979メートル)で起きた福岡大学ワンダーフォーゲル部のヒグマ事故は、若い学生3人が死亡する結果となり、登山者や一般市民に大きな衝撃を与えた。 ヒグマの事故の中で、実は登山者の死亡例はごく少なく、全体の1割にも満たない。最も多いのは狩猟中で、釣りや山菜採り、森林作業中などがこれに次ぐ。 ヤブの中を夢中で採取する山菜採りや、音が伝わりにくい渓流釣りなどに比べ、登山者は「いきなり遭遇」型の事故は少ない。だが、今回のように執拗につけ回す、異常なタイプは人間に大きな恐怖を与える。どうしてこの加害ヒグマは、「異常なクマ」になったのか。 若い岳人の死は痛ましい。いくら反省の言葉を並べても彼らは