「男脳・女脳という概念は、長年にわたり脳科学を間違った方向に進めていた」 2019年2月末に発行した著書「ザ・ジェンダード・ブレイン(The Gendered Brain)」の中でそう語るのは、イギリスのアストン大学で認知神経科学を教えるジーナ・リッポン教授だ。 18世紀ごろから長年語られてきた「男性は話が聞けなくて、女性は地図が読めない」「男が優れているのは、男性の脳の方が大きいから」などといった男脳・女脳を巡る論争や迷信に、科学研究の側面からメスを入れている。 リッポン教授は2019年4月に実施した講演会で、脳のマクロイメージやホルモンレベル、遺伝的要因などの調査の結論として「すべての脳は異なる」と強調。「XXとXYの違いではなく、この世界にさらされていること自体が違いを生んでいる」と話す。 また、過去の科学者は現状に注視し、確証を得るための間違い探しを続けていたと指摘する。その結果、