ガザへの攻撃や入植地の強行拡大など、近年のイスラエルの振る舞いは国際社会にとって「傲慢」とも映りかねない。ホロコーストの記憶は、いかにして現在の軍事行動を正当化する道具へと変質したのか。イスラエルの構造的欠陥とは何か。この問いに、イスラエル出身のジェノサイド研究の権威、オメル・バルトフ教授が答える。 そこからは見えない景色 かつてイスラエルのアリエル・シャロン元首相は、それまでの強硬な姿勢を翻し、ガザ地区からの一方的撤退を推し進めた。態度を豹変させた理由を問われると、彼はイスラエル国民に愛されているポップバラードの一節を引用して、こう答えた。 「あちらから見える景色は、こちらからは見えない」 それは政権発足後に彼が経験したであろう、認識の変化を示していた。2005年のガザ撤退は、後に上級顧問が認めたように、実際には心変わりというより戦略的な判断だったのかもしれない。 しかしこの歌詞は、イス

