高度成長期にさかんに行われた管理職を特訓するST(センシティビティ・トレーニング)と、飽食の時代に入り横行した宗教的な手法を駆使する自己開発セミナー。これらがどのような時代背景の中で誕生し、如何なる社会問題へと至ったのか。あるトレーナーの半生を軸に描いたノン・フィクションである。 ユダヤ人によって考案されたキリスト教指導者養成のノウハウ。これが企業の管理者教育を求める風潮とマッチした。あるキリスト教指導者研修が信者以外を対象にし始める。カウンセリング理論に裏づけられた効果的な手法が、徐々に脚光を浴び出す。その時、一人の男が禅の要素を加えることによって、より一層効果のある方法を編み出した。男は短期間で激烈な変化を望むあまり、暴力を駆使するようになる。遂に、出るべくして自殺者が出る。 STは、一種の「踏み絵」であった。企業側には、この特訓を難無く通り抜けてこそ管理者の資格がある、といった認識が
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