Ia型超新星の観測データからハッブル定数を算出したところ、観測する距離によって異なる値となった。宇宙の膨張に関わる物理法則を見直す必要があるかもしれない。 【2021年5月21日 国立天文台】 宇宙が誕生した138億年前から現在に至るまで宇宙空間は膨張し続けている。その膨張率は、宇宙に存在する物質やダークマターによる重力と、未知の作用であるダークエネルギーによって、時間の経過と共に変化してきた。現在の宇宙における膨張率を表す「ハッブル定数」は、宇宙論における重要なパラメーターだ。 宇宙膨張の歴史のイメージ(提供:国立天文台) ハッブル定数の決定は年々精密になってきているが、導出に使う手段によって異なる値が出てしまうという問題が近年浮かび上がっている。代表的な2つの手段は、近傍の銀河の移動速度を調べる方法、そしてビッグバンの残光である宇宙マイクロ波背景放射を元に導出する方法だ。2つの手段で得