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ブックマーク / takekuma.cocolog-nifty.com (73)

  • 電子出版ははたして儲かるのか?(1): たけくまメモ

    結論から書けば、今後よほどのことがない限りは儲からないと思います。「トントンにする」だけなら、不可能ではないと考えますが、投下資金と回収のバランスを取るまでには、しばらく時間がかかるでしょう。しかしそれでも、出版界は、電子出版に活路を見いだすしかないというのが俺の考えです。 電子出版といえば、今、俺の周囲では多くの会社や個人作家が参入機会をうかがっていますが、そちらのほうが儲かるから、参入したがっているというわけでもないようです。「紙の」はジリ貧の一途なので、このまま座して死を待つくらいなら、いっそ電子出版に進出して、儲かるかどうかは後で考えたい、というのが実情に近いのではないでしょうか。溺れる者藁をもつかむ、です。 「紙マンガ」の現状はいよいよすごいことになっております。多くのマンガ雑誌は、かりに単行がそこそこ出ていても、雑誌の赤字が単行の利益を大幅に上回っているという状態がもう数

  • 「やりたいことと」と「やれること」: たけくまメモ

    以下は、6月26日のエントリ「大学で『教授編集者』をやるということ」のコメント欄で、「微老なお年頃」さんが書かれたコメント(30日)に対する俺のレスです。長くなったので、独立したエントリにしました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ >微老なお年頃さん 学生にとって、確かに将来の予測がつかない不安は大きいです。しかし一番の問題は、自分があこがれている「将来なりたい自分」と「自分が実際にできること(自分の能力・向き不向き)」が一致することは滅多にないのに、そこが見えてないことだと思うんです。 もちろん「やりたいこと」と「やれること」が一致すればこれほど幸せなことはないのだけれど、一致しないから多くの人が苦しんでいる。しかも「努力」することで「やりたいこと」に近づくことができる

  • 学生にお金を払う大学: たけくまメモ

    先日Twitterで、現代美術家の村上隆氏が、大学准教授でマンガ評論家の伊藤剛氏と、「最近の大学生」をめぐって議論していました。ちょっとタイムラインの彼方に消えてしまっていて引用するのが大変なのでしませんが、俺の記憶で書かせてもらうと、村上氏が「最近の大学生は自主性がなく、社会常識が乏しくて、仕事を頼もうとしても使い物にならない」みたいなことを言ってて、伊藤くんが「自分の学生時代を振り返ってもこんなものだった。」と反論(?)をされていたところに、俺が横から割り込んで、しばらく俺と村上さんとで議論になったことがありました。その部分の俺のツィートを、少しだけ引用してみます。 ◆ ●@takashipom @goito 村上隆氏のツィートに伊藤剛君が返信する形で教育論議が続いている。村上さんは「今の大学生は社会常識がなっていない」と嘆き、伊藤君は「自分の若い頃を思い返せばこんなものだ」と返すのだ

    shadow-toon
    shadow-toon 2010/06/22
    徒弟制度の復活?
  • iPadにマンガを入れてみた: たけくまメモ

    インターネット上に著作権の切れた書籍(主に小説)をすべてテキスト化して無料公開している「青空文庫」という有名サイトがありますが、これをiPhoneiPadで読むための「i文庫」というアプリがあります(iPad用はi文庫HD)。アプリ自体は有料(iPhone用が300円、iPad用が700円)なんですが、一度入れてしまえば、夏目漱石や芥川龍之介など、青空文庫に登録されている死後50年を経て著作権(著作財産権)が消滅した小説データを、何冊でも無料ダウンロードして読むことができます。 実はこのソフト、自分でpdfファイルを登録して読むこともでき、当然マンガ閲覧にも対応しています。iPad上で、まるで紙のをめくるようにしてマンガを読むことができるのです。 上の写真のように指の腹でパネル上を軽く撫でるだけで、ページをめくることが可能です。iPadの場合、デバイスを縦にすれば雑誌サイズとほぼ同じ大

  • 「電脳マヴォ」についてのつぶやき(6/4): たけくまメモ

    11:21  しかしフリーソフトは充実しているなあ。「ネットは無料経済」という言葉を実感します。「無料」を謳って実は金をとる詐欺まがいもネットには多いので気をつけたい。が、俺も「電脳マヴォ」は当面無料にしたいんだよなあ。 11:25  要はどこまで運営をガラス張りにできるかだと思う。もちろんアイデア段階には暖め期間が必要なので完全ガラス張りは不可能だが、透明性を確保する以外にネットで信用を得る手段はない。 11:33  @DiceKatKobe 課金というのは厄介で、人間カスミをっては生きられないのでいつかはお金にする方策も考えるべきでしょう。しかし生活手段を別に確保できるなら、ネット活動は純粋に表現に特価させることも可能かと。ネットの利点は大規模サーバーを運営しない限り金がかからない所です。  [in reply to DiceKatKobe] 11:59  @magewappa198

  • 「電脳マヴォ」この秋創刊予定・その他(@kentaro666 6/1~6/2): たけくまメモ

    21:32  この秋から電子雑誌「電脳マヴォ」を創刊します。できれば9月中に。はっきりしたことはまだ何も決まっていませんが、やります。詳細は後日。 21:36 もし、今のタイミングで「電脳マヴォ」を無料配信していたら注目集めたかも。なにせiPadで読める日語のが何もないから。9月にはきっとたくさん出ているだろう。でも、始めないよりはましかも。 21:39  俺の電子雑誌は、当面無料配信を原則にします。アップルの配信システムにさえ乗らなければ検閲はスルーだと思いますが、意外な縛りがあるかもしれない。よくわからない。 21:53  @dankogai なるほど。ところで「電脳マヴォ」はePub形式で配信しますが、ファイアフォックスだとプラグインでePub読めるそうですね。他のブラウザもePubに対応するといいですよね。  [in reply to dankogai] 08:54  早くiP

  • 今後はTwitterに力を入れることにします。: たけくまメモ

    いつも「たけくまメモ」をご愛読いただきましてありがとうございます。日は読者の皆様に報告があります。日以降、俺はTwitterにネット活動の主軸を移すつもりです。もちろん「たけくまメモ」を止めるつもりはありません。ただブログの更新頻度が週1~2度程度に落ちるかもしれないということです。ネタがあるときはこの限りではありません。 2004年12月に「たけくまメモ」を開設して以来5年半、ほぼ2日に一回のペースで更新してきました。昨年11月にTwitterを始めましたが、長文派の俺としては140字制限になかなか馴染むことができず、「やはり俺はブログがいい」ということを公言していました。しかし、2つの理由で、今後はTwitterをベースにしたほうがよいと考えるに至りました。 (理由1) ネットの主流がブログやSNSからTwitterに移行している。 これは、昨年からの「たけくまメモ」のアクセス解析

  • やっぱりTwitterはスゴイかもしれない: たけくまメモ

    俺、以前ここで「Twitterよりもブログの方が性に合っている」ということを書いたと思います。短文よりも長文派だということもあるんですが、今も基的にはそう思っています。短いつぶやきをポツポツと発信するというスタイルには、どうも俺は物足りなさがつきまとうんですね。まあそれでも、仕事で忙しい日々が続くとTwitterの気楽なスタイルが魅力的に思えるのは確かです。でもいざ書くとなると、140字では圧倒的に足りなくて、推敲が大変です。あるいはいくつものツィートを連続して書きたくなる。そうなるとブログ書いた方がいいですよね。 まあTwitterは“論じるメディアとは違う”とわかってはいるんですけど。Twitterを始めてそろそろ半年になりますが、俺が書いたツィートはまだ390個とかそんなものですよ。400行ってない。でも俺がフォローしている人の中には、俺よりツィート歴が少ないのに数千ツィートとか1

  • まどの一哉は紹介の難しいマンガ家だ: たけくまメモ

    まどの一哉さんのマンガ単行「洞窟ゲーム」(青林工藝舎)が届きました。アックス編集長の手塚能理子さんから頼まれてオビ文を書いたからです。上の図版にあるのがそうですが、いいオビ文がなかなか書けず、冷や汗をかきながらなんとかデッチあげて送ったものです。まどのさん、手塚さん、どうもすみませんでした。 ↑「ひよこ銃を持つ男」 まどの一哉さんのことは、俺が高校生の頃(76~78年)の「ガロ」に入選作品が載ったのを見てから大ファンでしたが、俺の知る限り、単行化は今回が初めてのはずです。 それにしても、俺のオビ文の隣に載っている北野勇作さんの解説タイトルが「当にあった嘘」というのには驚きました。俺がまどの作品を評して「物みたいな夢」としたのと、妙にカブるからです。ああ、北野さんもまどの作品を読んでそう感じたのか、あのマンガを言い表すとなると、やっぱりそうなるのだろうなあと思いました。 俺のオビにあ

  • ヴィレッジヴァンガードで「マヴォ」と小池桂一が並んでいた: たけくまメモ

    日は夜の7時に大学を出て、叡山電鉄から京阪電車で淀屋橋で乗り換え、心斎橋からヴィレッジヴァンガード・アメリカ村店に行って「マヴォ」の在庫を確認し、さきほど京都の部屋に帰ってきました。疲れた。 ヴィレッジヴァンガードでは「マヴォ」のバックナンバーが並んでいる隣に小池桂一のマンガ「ウルトラヘヴン」が平積みになっていて壮観でした。以前、下北沢のヴィレッジヴァンガードにも小池桂一の「かたじけない」が平積みになっていて度肝を抜かれましたが、アメリカ村店のコミック売り場主任サイさんに聞いてみたら、「小池さんのは死ぬほど売れるんですよ~」と返事が来て改めてびっくり。おそらくヴィレッジヴァンガードは、小池桂一のマンガが日一売れるお店ではないでしょうか。 そうサイさんに言ったら、「あ。もちろんマヴォも売れてますよ~」とありがたいお言葉が。 「すると、もしも小池桂一のマンガがマヴォに載ることがあったら、も

  • ふくしま政美先生の新作麻雀劇画一挙74ページ!: たけくまメモ

    えー、日発売の「近代麻雀」(竹書房)にて、なんとあの、ふくしま政美先生の新作描き下ろし『明日の宙(ソラ)』が74ページ一気に掲載されます。原作は朽葉狂介氏。 60年代までは、マンガの描き下ろしが週刊誌に一挙50ページ掲載されたり、「無用ノ介100ページ!」みたいに100ページ掲載されるようなことが、たまにありました。70年代に入ってからも、萩尾望都先生の新作が月刊誌に一回50ページで前後編連載されるなんてこともあったわけですが最近そういう話はあまり聞きませんですね。 それが、「ふくしま政美74ページ描きおろし!」だというのですから、我が目を疑います。だってあのふくしま先生ですよ? 原作を無視して梶原一騎を激怒させても豪快にガハハハと笑って我が道を貫いたふくしま先生ですよ? 「〆切」という概念は136億年に及ぶ悠久の宇宙の歴史の前にはものの数ではないわい! と叫んで今日も今日とて川口の小料

  • 「紙の本」の将来: たけくまメモ

    先日の「それでも出版社が『生き残る』としたら」は結構な反響を呼びました。前回は電子出版時代における出版社(および編集者)は、どのような形で残るだろうかということを考えましたが、今回は「紙のの将来」について考えたいと思います。 先日のエントリにはいくつかの疑問やご批判も寄せられていましたが、今回の「補足」エントリの反応とあわせて、後日まとめて「総括」エントリを書きたいと思います。 ●可能性1 紙のは「美術工芸品」として生き残るのではないか 電子出版は今後大発展を遂げると思うのですが、物理的存在としての紙のが完全に消滅するということは、さすがにないと思います。紙のは長い歴史の中で、形態として完成したコンテナー(コンテンツの容器)だと思いますので、その視認性のよさや再生装置が不要であることなど、電子出版に比しての優位性はまだあります。 また、電子出版ではどうしても画面の大きさに制約があり

  • それでも出版社が「生き残る」としたら: たけくまメモ

    http://www.apple.com/jp/ipad/ ↑appleiPad」公式 ついに噂のiPadの全貌が公開されて、ネットもマスコミも上を下への大騒ぎであります。ここに来て、すでに報道されているアマゾンのKindleをはじめ「電子出版」を普及させるための役者(インフラとデバイス)が出揃った感があります。日ではまだ普及以前の段階ですが、昨今の出版不況を脱出するための突破口は、もはや電子出版しかないというのは、衆目の一致するところではないでしょうか。 さて、かねてから電子出版による「個人出版支援」に力を入れているアマゾンやアップル、ソニー(の米国法人)といった企業は、自社と出版契約を結んだ著者に対して、「印税35%を支払うぞ、いやうちは50%支払う、それならうちは70%だ」という具合に、「印税率競争」をヒートアップさせて著者を引き込もうとしています。日では印税率は通常8~10%

  • 書きたいことはいろいろあるのですが: たけくまメモ

    なかなか書く時間が作れません。大学のほうは、多摩美も精華大もすでに春休み体制に突入しておるのですが、先生の仕事は全然終わらない。学生の成績付けとか、入試の立ち会いとかですね。学生さんにとっては入試というのは人生のほんの一時の通過儀礼ですが、先生にとっては毎年続くわけで。 そんなわけで、入試が完全に終了するまではまとまった更新ができそうもなく、それはそれでストレスであります。特に今年に入ってから怒濤のように押し寄せている「キンドルによる自主出版の印税が(条件つきながら)70パーセント」であるとか、 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100122-00000005-jct-sci 昨年12月に公開されたタブレットPCによる電子雑誌のデモムービーが、日の大手出版社に強烈なインパクトを与えていて、某大手では暮れから新年にかけて、重役の皆さんがyoutubeの

  • アバターと女子大生: たけくまメモ

    昨日川崎アイマックスシアターで、多摩美の女子大生3人と『アバター』を見てきました。写真は左から河野玲奈さん・ミナミ監督・ぬQさん。上映終了後に撮影したものです。 女子大生と映画を見るのだったら、ここはひとつ気の利いたギャグを仕込んでおこうと、「アバターもえくぼ」というのを考えまして、念のためググッてみましたところ、16万件もヒットしてしまい、やむなく断念しました。……ということを昨日Twitterで書きましたら、「竹熊さん、そりゃオヤジギャグだよ」「自分も考えたが、使わなくてよかった」という声が続々とあがりました(Twitterでは14万と書きましたが、16万件の間違いでした)。 やはり俺はオヤジなんだな……と少し落ち込んだんですが、女子大生の一人・ぬQさんが「私も思いついたんですが、検索したら膨大にヒットしたので断念しました」と言ってくれたので、多少救われました。 それで調子にのって「♪

  • タイガー・ウッズに見る“モテの魔”の恐怖: たけくまメモ

    http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1260934192/l50 ↑【ゴルフ】タイガー・ウッズ、人気急落! 支持率85%→33%と大幅に落ち込み、特に女性の評価が厳しく http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1260780127/l50 ↑【ゴルフ】愛人14人のタイガー・ウッズ、エロメール全開!「君の好きなところでF○○K」「あっという間にイカせてみせる」★2 http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1260599754/l50 ↑【ゴルフ】タイガー・ウッズに新愛人?今度は40代の熟女で長年にわたり関係 http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1260628934/l50

  • 夏目ブログ「手塚先生、締め切り過ぎてます!」へのトラックバック: たけくまメモ

    ちょっと亀トラバですが、夏目房之介氏の11月20日のエントリ「福元一義『手塚先生、締め切り過ぎてます!』」へのトラックバックを書きます。 http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/11/post-dc99.html ↑夏目房之介の「で?」 夏目さんのこのエントリは、福元一義氏の著書『手塚先生、締め切り過ぎてます!』(集英社新書)への感想を書かれたものです。福元一義氏は、昭和20年代にまず手塚治虫の担当編集者として仕事を始めました。ところが日大芸術学部出身だったこともあって「手塚アシスタント第一号」にもなり、のち自分もマンガ家になりましたが、70年代初頭に手塚のアシスタントに舞い戻り、それから手塚が亡くなるまでチーフアシスタントを続けた人物であります。 いわば担当編集者・同業者・チーフアシスタントとして手塚治虫が昭和20年代から晩年までの裏も表も知る人物

  • 就職相談に不向きな先生: たけくまメモ

    大学の先生などをやっていると、よく学生から就職相談を受けるのですが、たぶん俺くらい就職相談に向かない先生というのも多くはないでしょう。それというのも、俺は48歳で大学に「就職」するまで、正社員というものをやったことがなく、一度も「就職しよう」と考えたことがなかったからです。今回の大学への「就職」にしたところで、先方から舞い込んだお話に乗っただけですので、やはり就職したという意識が希薄です。 そもそも俺は20歳のときに学校を辞めて家出した人間ですので、最終学歴は高卒ですし、なんの資格もないし、これほど就職に向かない人間もいないというものです。よく、生きてこられたものだと思いますが、人間、死にさえしなければ生きていられるものです。 こういう話を、先日、特任教授の六田登先生としていましたところ、六田先生も「俺も大学行ってないし、就職もしてない」というので、仲間がいたと思わず嬉しくなってしまいまし

  • 忙しい。が、張り合いはある: たけくまメモ

    この春から「忙しい、忙しい」とばかりブログに書いている竹熊です。不景気の折、ヒマよりははるかにマシなんでしょうが、ヒマなときには「将来に対する不安」が心をさいなむものの、肉体的にはラクだったりします。その点「忙しい時期」は物理的肉体的に忙しかったりするので、これはこれで大変です。 多忙になったのは、もちろん春から大学の教授になってしまったからです。正規教員になると、非常勤では絶対やらなかったような仕事が押し寄せて来て大変だという話は聞いていたので、ある程度は覚悟していたんですが、しかし今の状態には参っています。 一番困るのは、大学教員来の職務である通常講義を行うための準備の時間がとれないことで、そのため講義前日になってあわててレジュメを作るはめに陥っていることです。これでは学生の試験前の一夜漬けと大差がありません。 普通、教授になるには講師、助教、准教授、教授と段階を経ることになっており

  • 『忍者武芸帳・影丸伝』復刻!: たけくまメモ

    小クリと言うと、この春にあの『新寶島』(手塚治虫)を完全復刻して業界をあっと驚かせましたが、この『忍者武芸帳』も、マンガ史的には『新寶島』と同じくらい重要な作品だと言えます。 その昔「貸マンガ」という、今は絶滅した分野がありました。『忍者武芸帳』は、貸マンガ史上最大のベストセラーと言われていて、白土三平の名前を一気に有名にした代表作にして出世作であります。この作品の担当編集者で、版元(三洋社)の社長だったのが長井勝一。 長井は後に青林堂を創業し「ガロ」を創刊します。「ガロ」は白土の『カムイ伝』を連載させるために作った雑誌でありまして、これも白土の代表作になりました。これはつまり、『忍者武芸帳』の成功なくしては「ガロ」も『カムイ伝』もなかった、ということであります。 『忍者武芸帳』には『影丸伝』というサブタイトルがつけられていますけれども、これは作者の白土が最初につけたタイトルだとか。し