有線放送最大手「USEN」(東京)に大量の従業員を引き抜かれ、顧客も不正に奪われたとして、業界2位の「キャンシステム」(同)が、USENに約113億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。 畠山稔裁判長は「USENは不公正な従業員の引き抜きと違法な営業行為でキャン社の営業上の利益を侵害した」と述べ、約20億5000万円の賠償を命じた。USENは控訴する方針。 判決によると、USENとその関係会社は2003年7月、約1か月間でキャン社の全従業員の約3割にあたる約500人を引き抜いて関係会社に移籍させた。さらにUSEN側は、キャン社の顧客に限り、放送料を安くするなどのキャンペーンを行い、約4万8000の契約者を奪った。 判決は、キャンペーンの前後でUSENの市場占有率が67%から72%に高まっていることから、「引き抜きは単なる転職の勧誘を超えており、キャンペーンも独占禁止法が