『月刊CIRCUS・2007年8月号』のインタビュー記事「荒俣宏〜博覧強記の巨人が語る、現代『意地っ張り男』のススメ」より。 【今の20代、30代の男たちって、「将来に対する漠たる不安」に悩んでるの? 我々の世代から見ると、今の日本人は何でもあって、何でもできて、うらやましい限りと思うけどねえ(笑) まあ、「漠たる不安」というのはいつの時代にもあることですよ。でも貧乏な人じゃなく、ぜいたくな人に縁がある。「ぜいたく病」ですね。かつて作家の芥川龍之介は「ぼんやりとした不安」という言葉を遺して自殺しましたが、それくらい高級です。「漠たる不安」、つまり究極のメランコリーと中性脂肪と、このふたつは心と体のぜいたく病です。 もともと日本人というのは、なるべくそういう「漠たる不安」がないよう、「負けたふりして勝つ」とか、「裏と表」、「本音と建前」。あるいは「陰陽」、「ハレとケ」といった二重構造をうまく