中露スパイ活動に対する注意事項からの引用を続ける。まずは、両国諜報機関が篭絡(ろうらく)を試みる「ターゲット」に対するアプローチの違いから見てみよう。 (ロシア用注意事項から引用) 入国直後から、訪問者は政府職員、取引先、観光ガイド、ホテル従業員など多くの人々によりモニターされている。訪問者自身の意思で訪れた場所で、偶然英語を喋るロシアの一般人に運良く出会えたと思っても、それは決して偶然ではないかもしれない。 ロシア公安当局(FSB)は高性能の監視機器を駆使する。主要ホテルの一部の部屋では電話盗聴や赤外線カメラを含む写真撮影が可能だが、FSBは訪問者をその部屋に宿泊させることができる。また、必要に応じレストラン内や自動車内で盗聴を行うこともある。 (中国用注意事項から引用) 「中国の友人」というエージェントを獲得する手法は実に巧妙かつ長期的である。中国人は訪問者の中国の歴史と文化に対する興