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ブックマーク / www.hayakawabooks.com (12)

  • 不要不急でもない19篇――『ポストコロナのSF』総解説 文:飛浩隆|Hayakawa Books & Magazines(β)

    2021年春、いまこのときに向けた小説アンソロジー『ポストコロナのSF』が発売されました。寄稿者のひとりであるSF作家の飛浩隆さんがTwitter上で行った、収録作の総解説をお届けします。飛さんご自身の作品については樋口恭介さんにご紹介いただきました。 ―――――――――――――― こないだ「みんな、短篇についてもっと語ろうぜ」みたいなことをつぶやいた手前、収録作ぜんぶについてひとことずつ書いてみたいと思います。とりあえず前半まで。 ■最初は、小川哲「黄金の書物」。翻訳をなりわいとする「私」は、友人から紹介された人物とシュトゥットガルトの空港で遭い、二冊のを日に運んでほしいと頼まれる。これは晩餐の最初に出される、ミステリアスなひと匙のアミューズ。長い導入から題が進みはじめるまで、「この料理はどの味覚へ行きつくのだろう?」と想像しながら舌触りを楽しんでいると、予想外の芳香があふれだし読

    不要不急でもない19篇――『ポストコロナのSF』総解説 文:飛浩隆|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 意識が生成したフィクションとしての現実を生きるということ――伊藤計劃『ハーモニー』#闇のSF読書会②|Hayakawa Books & Magazines(β)

    闇の自己啓発会による#闇のSF読書会。今回は伊藤計劃『ハーモニー』を取り上げます。『闇の自己啓発』でも度々言及されてきた作品ですが、この作品を読んで自分に刺さった箇所、想起したこと、そして意識の消失について、各人が自身の感想を熱く語り合いました。その模様をご紹介していきます(ネタバレ全開ですので、未読の方はご注意ください)。 *前回はこちら ■ゼロ年代的「中二病」のモードが歴史化されている江永 それでは『ハーモニー』を。始めの章「<part:number=01:title=Miss.Selfdestruct/>」が、すごく印象に残っています。謎めいた少女ミァハと出会った13年ほど前の高校時代を回想しながら、その後の章のきっかけとなる大事件(旧友キアンが自分の目の前で亡くなる)までを語り手トァンが提示していく部分です。私の感覚で言えば、ゼロ年代的「中二病」のモードが、ここに歴史化されている感

    意識が生成したフィクションとしての現実を生きるということ――伊藤計劃『ハーモニー』#闇のSF読書会②|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 正常としての異常な世界を生きること、あるいは異常者=正常者のためのセルフヘルプ 樋口恭介|Hayakawa Books & Magazines(β)

    「『闇の自己啓発』とは、自己啓発の言葉を文字通りに実践することで、自己啓発の枠組みを、半ば自動的に破壊してしまった、過剰性の書物である」——SF作家の樋口恭介氏による書評=思想をお届けする。 正常としての異常な世界を生きること、 あるいは異常者=正常者のためのセルフヘルプ 樋口恭介 世界とはさまざまな症候の総体であり、その症候をもたらす病いが人間と混合される。文学とは、そうなってくると、一つの健康の企てであると映る。――ジル・ドゥルーズ『批評と臨床』 0 一つの巨大な健康ではなく、無数の小さな健康を。 あるいは想像可能なすべてのセルフヘルプを探索するために。 1 木澤佐登志の論考に、「生に抗って生きること : 断章と覚書」というものがある。そこに、「生はその来性において、どこまでも無根拠、すなわち無底である」という文がある。稿は『闇の自己啓発』の書評として書かれているが、ひとまずこの引

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  • 「これは "ハードSF作家・山本弘" の遺書だと考えてください。」『プロジェクトぴあの』著者あとがき全文公開|Hayakawa Books & Magazines(β)

    「これは "ハードSF作家・山弘" の遺書だと考えてください。」『プロジェクトぴあの』著者あとがき全文公開 ※書影は販売サイトとリンクしています アニメーション映画監督の片渕須直氏とSF作家の野尻抱介氏に推薦を頂き、ハヤカワ文庫JAより好評発売中の山弘『プロジェクトぴあの』上下巻。その下巻の収録されているあとがきを、全文公開します。作をできるだけ多くの方に読んで頂くため、担当編集から著者の山さんにお願いをいたしました。ぴあのとすばるの物語が、サイハテの更に先へ届きますように。 ** あとがき これは2014年にPHP研究所から出版された作品の文庫化です。 多くの方がすでにご存じでしょうが、僕は二年前に脳梗塞を患いました。当に突然の発病でした。現在、いくらかは回復してはいますが、依然として計算能力や論理的思考力は低いままです。 今の僕の状態をSFの登場人物に例えるなら、ダニエル・キ

    「これは "ハードSF作家・山本弘" の遺書だと考えてください。」『プロジェクトぴあの』著者あとがき全文公開|Hayakawa Books & Magazines(β)
    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2020/03/28
    「「これは自分の遺作/遺書です」的な物言いって鼻につくことが多いんだけど(もう書きたくないなら大仰に言い立てずに勝手にやめればいいじゃんと思ってしまう)、これは事情が別」というブコメで苦しくなった
  • SFの歴史を継いでいくこと。ベストSF第1位記念・伴名練インタビュー|Hayakawa Books & Magazines(β)

    2月発売の『SFが読みたい!』に掲載された、伴名練氏へのインタビューをWEB公開します。『なめらかな世界と、その敵』が国内篇ベスト1位を獲得したベストSFランキングの詳細はこちらをご覧ください。 ■伴名練、この10年 ──ベストSF2019[国内篇]の第1位、おめでとうございます。 伴名 ありがとうございます。『なめらかな世界と、その敵』はどの短篇も自分一人で書いたというイメージが薄くて、SFの歴史に力を借り、多くの書き手・読み手の方々が作ってきた流れのうえに乗せたと思っている作品ばかりです。そんなで1位をとれたことを非常に嬉しく思いますし、投票してくださった方々に心から感謝を申し上げたいです。最初のが出版されてからこのが出るまでの9年間に、筆を折りかけることが何度もありましたが、書き続けた結果こういった栄誉に預かることができて、報われたという思いで一杯です。 ──デビュー作『少女禁

    SFの歴史を継いでいくこと。ベストSF第1位記念・伴名練インタビュー|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」伴名練1万字メッセージ|Hayakawa Books & Magazines(β)

    8月20日に短篇集『なめらかな世界と、その敵』を上梓するSF作家・伴名練さん。発売後に公開予定だった「あとがきにかえて」ですが、届いた原稿の内容がまったく「あとがき」ではなく(書のネタバレになっておらず)、それでいて一刻も早く世に広げたい熱量だったため、緊急公開します。何はともあれ、読んでください。(編集部) ※原稿は書籍ではなく、SFマガジン10月号(8/24発売)に掲載されます。 伴名練『なめらかな世界と、その敵』 装画:赤坂アカ ーーーーーーーーーー あとがきにかえて 運が良かったのだと思う。 1988年生まれである私の小学生時代は、1994年の4月から2000年の3月だった。この時期、子ども向けのSF叢書が新刊で刊行されることはなかった。 なぜそんなことが分かるかと言うと、ネット上に、「少年少女SF小説全集の興亡」という題名の、国際子ども図書館資料情報課長(平成25年度当時)の

    「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」伴名練1万字メッセージ|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 『機忍兵零牙〔新装版〕』刊行! SFマガジン百合特集・月村了衛インタビュー|Hayakawa Books & Magazines(β)

    .「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」開催を記念して、SFマガジン2019年2月号百合特集からコラム企画を抜粋公開いたします。今回公開するのはこのたび『機忍兵零牙〔新装版〕』が刊行される、《機龍警察》シリーズなどでも知られる小説家・月村了衛氏へのインタビューです。(聞き手:青柳美帆子) 『機忍兵零牙〔新装版〕』 月村了衛/ハヤカワ文庫JA 6月20日(木)発売 -----以下文----- ──《機龍警察》シリーズをはじめとして、月村先生の作品では人間同士の感情や関係性が鮮やかに描かれています。ファンの中には月村作品の女性キャラ同士の関係性を「百合」ととらえている読者もいるのではと思い、今回お話を伺いに来ました。 月村 大前提として、私はいわゆる「百合」作品を書こうと思って書いたことは一度もありません。しかし作品をどう読むかは読者の自由ですので、そこにどんな喜びを見出していただいたとしても、大

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  • 2018年に花束を。SFマガジン「百合特集」内容紹介|Hayakawa Books & Magazines(β)

    予告していたSFマガジン2019年2月号(12/25発売)百合特集の全貌を公開します。合計114ページ、2018年最大ボリュームの全力特集となりました。ジャンルの愛好者はもちろん、物語とキャラクターが好きなすべての方々に読んでいただきたい1冊。年越しは百合SFで過ごしましょう。 ●表紙&巻頭イラスト <harmony/> 10th Anniversary シライシユウコ 2008年12月25日に刊行された、伊藤計劃『ハーモニー』の10周年記念イラスト。単行版のカバーを担当したシライシユウコさんにより、作中の主人公・霧慧トァンと御冷ミァハの子供時代が表紙に、その13年後の再会が巻頭カラーで描かれる、2枚1組の記念イラストです。 ●特集小説 「キミノスケープ」宮澤伊織 『裏世界ピクニック』の著者にして「百合が俺を人間にしてくれた」の記事も話題を呼んだ宮澤さん。そこで語られた「不在の百合」が

    2018年に花束を。SFマガジン「百合特集」内容紹介|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 実話怪談で、現代女子版の 『ストーカー』を書きたかった。『裏世界ピクニック』宮澤伊織インタビュー完全版|Hayakawa Books & Magazines(β)

    実話怪談で、現代女子版の 『ストーカー』を書きたかった。『裏世界ピクニック』宮澤伊織インタビュー完全版 2017年2月にハヤカワ文庫より刊行された、女子ふたり怪異探検サバイバル『裏世界ピクニック』。好評により同年6月より第2シーズンがスタートし、10月には第2巻が刊行されたほか、2018年2月からは〈月刊少年ガンガン〉で水野英多氏によるコミカライズが連載開始しました。 2月23日をもってシリーズ開始1周年となることを記念して、〈SFマガジン〉の2017年4月号に掲載された著者インタビューを全文公開! ウェブでは初公開となるデビュー以前のSFとの出会い・これまでの著作についてのお話や、『裏世界』への強いメッセージが語られます。 (インタビュアー&構成:鈴木力/イラスト:shirakaba) ■最初は父の蔵書から──まずはSFとの出会いから教えてください。 宮澤 小学校高学年か中学校に入るころ

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    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2018/09/23
    「完全に制空権を取った空域をAC‐130みたいなガンシップじみた百合の達人が旋回しているような状況」
  • 百合が俺を人間にしてくれた【2】――対談◆宮澤伊織×草野原々|Hayakawa Books & Magazines(β)

    新作『そいねドリーマー』の発売を記念して、2018年8月24日に書泉百合部で行われた対談イベント「平成最後の夏と百合 宮澤伊織×草野原々」採録を公開いたします。(前回はこちら) 宮澤伊織『そいねドリーマー』 (書影はKindle版にリンクしています) ■開幕業火宮澤 日はご足労いただきありがとうございます、宮澤伊織です。 草野 こんにちは、私の名前は草野原々です! 「げんげん」と呼んでください! SF作家の草野原々をどうぞよろしくお願いします! ――はい。ということで、SFセミナーの「百合との遭遇」という刺激的なインタビューで話題の宮澤さんと、『最後にして最初のアイドル』という、大変過激な百合SFを書いた原々さんが今日ここに並ぶことになりました。 草野 ドリームマッチです!! 宮澤 そうですね……。「人前で百合について話したくない」とさんざん言ったはずなんですけど、また引っ張り出していた

    百合が俺を人間にしてくれた【2】――対談◆宮澤伊織×草野原々|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 百合が俺を人間にしてくれた――宮澤伊織インタビューHayakawa Books & Magazines(β)

    新作『そいねドリーマー』の発売を記念して、2018年5月のSFセミナーにて行われた伝説のインタビュー「百合との遭遇2018」採録を公開いたします。 (9/13追記:続篇を公開しました) 宮澤伊織『そいねドリーマー』 (2021年追記:現在は文庫版が刊行されています) ■覚悟宮澤 こんにちは、宮澤伊織と申します。昨年にハヤカワ文庫から『裏世界ピクニック』を出したことで、日ここに呼んでいただきました。 ——『裏世界ピクニック』は、この世界の〈裏側〉に謎だらけの異世界が広がっていて、そこを女子ふたりが探検していくというSFサバイバルホラー小説です。SFやホラー要素はもちろん、この「女子ふたり」という部分も大変な好評をいただけて、シリーズ化して現在2巻まで刊行されています。 宮澤 百合好きの方々にも喜んでいただけて嬉しく思っています。 ——はい。ということで今回の「百合との遭遇」は、宮澤さんが小

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  • 現実がSF化していく時代の、SF作家のありかた。『BEATLESS』長谷敏司インタビュー|Hayakawa Books & Magazines(β)

    2月24日(土)発売のSFマガジン最新号より、現在TVアニメが好評放送中の『BEATLESS』原作者・長谷敏司氏へのインタビューを再録します。同誌には長谷氏による書き下ろしスピンオフ小説を含む『BEATLESS』特集を掲載! 記事と合わせてお楽しみください。 ■アニメのための物語──『BEATLESS』は〈月刊ニュータイプ〉での連載が始まったのが2011年4月号、およそ6年半後のアニメ化という一大プロジェクトとなったわけですが、あらためて企画の発端からの経緯を教えていただけますか。 長谷 発端は、フィギュアと連動した小説企画ですね。駆け足で14話やって、夏前に連載が終わったら10月にもうが出た(笑)。かなり大変な企画でした。 ──アニメ化の話はいつごろから出ていたのでしょうか? 長谷 最初からメディアミックス展開には積極的でしたが、紆余曲折あって、今の座組みが固まったのが2016年の夏

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