ある日突然、会社の電話が鳴り止まなくなった。ネット上にひぼう・中傷が多数書き込まれるネット炎上が、深刻なバッシング、「ネットリンチ」に。 どのように起きて、どう広がったのか。 のどかな田園風景が広がる北九州市八幡西区。 従業員およそ10人の小さな建設会社で異変が起きたのは、10月11日のことでした。 事務所の電話が鳴り止まなくなったのです。 「おやじをだせ」「なめるな」いきなり罵声を浴びせるもの。無言。 電話は、その日だけで100件近くに上り、その状態が数日間続きました。 社長の石橋秀文さんは当時のことを次のように振り返ります。 「夜中の2時とか3時とか朝方まで着信がありました。会社の業務のことかもしれないので、電話に出ないわけにはいかないんですが、対応しきれず、従業員に電話に出ないでいいと指示せざるをえませんでした」 突然、始まった会社への嫌がらせ。ほどなく、その理由がわかりました。 き
経済成長とは統計的にみればGDP(国内総生産)の拡大にすぎない。今回の総選挙で安倍晋三首相が自らの政策で過去最大になったと喧伝した名目GDPの「かさ上げ疑惑」については、佐々木実氏が本誌(10月20日号)で指摘した通りだが、いくらかさ上げしてもそれだけで人々の実感する豊かさや幸福感は高まらない。経済学者の小宮隆太郎が47年前に喝破したように「そんなことは経済学の常識」(『週刊エコノミスト』1970年11月10日号)である。 だが、戦後の日本では経済学の常識を超えて、経済成長は日本経済の「シンボル」のように捉えられてきた。安倍政権が実質2%、名目3%の持続的成長を日本経済再生の目標に掲げる理由もここにある。 確かに机上の計算では成長の効果は絶大だ。名目3%で成長すれば現在約540兆円の名目GDPは10年後に約726兆円となり、税収のGDP弾性値を1と仮定しても自然増収だけで国の税収は約20兆
戦時下の広島・呉を舞台にしたアニメーション映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)のプロデューサー、真木太郎さんが12日、同映画のロングバージョンを制作することを明らかにした。詳細は明らかにしていないが、映画化する際に原作からカットされたエピソードなどを盛り込むとしている。 東京都新宿区の「テアトル新宿」で同日、公開1周年記念の舞台挨拶があり、片渕監督や主役の「すず」を演じた俳優・のんさんらが登壇。その中で真木さんが、「時期は確定していないが、ロングバージョンを皆さんにお見せすることになりました」と明らかにすると、会場からは拍手が湧いた。 発売中のブルーレイなどに収録されている本編は129分。ロングバージョンの作画や声の録音などは、今後行うという。公開時期などは現段階では未定。真木さんは取材に、「今の作品とは、また違うすずさんの世界をお見せできると思います。期待してください」と語った。 「
2017年9月2日、下北沢B&Bにて「大学教育への幻想〜大学を変えたら社会も変わるか?」『「大学改革」という病』刊行記念のトークイベントが開催されました。イベントには、著者で徳島大学総合科学部、准教授の山口裕之氏と、千葉商科大学国際教養学部、専任講師の常見陽平氏が登場し、日本の大学が抱えるさまざまな問題について語り尽くします。改革の旗印のもとで多様な取り組みが行われる日本の大学。社会から“要請”と向き合う大学教員の苦悩と、あるべき大学の姿について語ります。 「競争的資金」を獲得するための仕事も大変 山口裕之氏(以下、山口):あとは「競争的資金を獲得しろ」という圧力ですよね。これの書類関係はけっこう大変なので、事務方も巻き込んで、もう膨大な書類を書いて出す。 常見陽平氏(以下、常見):ありますね。これから「『科研費取るぞ』学内説明会」とか。余談ですけれど、大学関係者はもちろんご存じですけれど
2017年9月2日、下北沢B&Bにて「大学教育への幻想〜大学を変えたら社会も変わるか?」『「大学改革」という病』刊行記念のトークイベントが開催されました。イベントには、著者で徳島大学総合科学部、准教授の山口裕之氏と、千葉商科大学国際教養学部、専任講師の常見陽平氏が登場し、日本の大学が抱えるさまざまな問題について語り尽くします。改革の旗印のもとで多様な取り組みが行われる日本の大学。社会から“要請”と向き合う大学教員の苦悩と、あるべき大学の姿について語ります。 20年来、吹き荒れる「大学改革」 常見陽平氏(以下、常見):というわけで、この本で言いたかったことを山口先生にご紹介いただけますでしょうか? 山口裕之氏(以下、山口):『「大学改革」という病』という書名は、実は私が考えたんじゃなくて編集のほうで考えていただきました。 僕が書くとどうしてもくどくどしい論文のタイトル調になってしまうので、編
2017年9月2日、下北沢B&Bにて「大学教育への幻想〜大学を変えたら社会も変わるか?」『「大学改革」という病』刊行記念のトークイベントが開催されました。イベントには、著者で徳島大学総合科学部、准教授の山口裕之氏と、千葉商科大学国際教養学部、専任講師の常見陽平氏が登場し、日本の大学が抱えるさまざまな問題について語り尽くします。改革の旗印のもとで多様な取り組みが行われる日本の大学。社会から“要請”と向き合う大学教員の苦悩と、あるべき大学の姿について語ります。 『「大学改革」という病』を執筆しようと思ったわけ 常見陽平氏(以下、常見):みなさん、こんばんは。お休みのところ、たくさんの方に来ていただきましてありがとうございます。 山口裕之先生の『「大学改革」という病』という最新作を、もう手に取ったという方はどれくらいいらっしゃいますか? (会場挙手) お! ありがとうございます。3~4割くらい。
《私は親として、娘を守ってやる事が出来ませんでした。最後の親のつとめとして、娘をこれ以上、世間のさらし者にしたくはありません。ただ、ただ、出来るだけ静かに見送ってやりたいのです》 福島県の17歳高校3年生の母親が、この文章を書いたのは11月9日、神奈川県座間市「9人惨殺」事件の白石隆宏容疑者(27)が逮捕された9日後。殺された娘の顔写真や実名を報じることをやめてほしいと、訴えるための書面だった。しかしほとんどの報道機関が、この嘆願を黙殺したのだった。 11月10日未明、座間市のアパートで切断された9人の遺体が見つかった事件で、警視庁は新たに8人の身元を確認したと発表した。これを機に、大手テレビ局、新聞社はこぞって被害者たちの実名報道に踏み切った。だが、全国紙の社会部記者は次のように語った。 「いちはやく身元が特定された東京都の23歳女性については、11月6日の時点で、遺族が警視庁を通じて、
現代日本に生きる若者たちはどのような問題に直面しているのか。大規模な追跡調査を実施し、学校での経験や就労、家族や地域のありかた、社会意識や人間関係など、さまざまな角度からその現状と課題を浮き彫りにする。若者問題を考えるために基本となる一冊。 第I部 調査の目的と概要 1章 若者の「移行」をいかにしてとらえるか――YCSJの目的・方法・概要(中村高康) 2章 若者たちの5年間(乾 彰夫) コラム1 学校を離れてから正規職に就くまでの「移行期間」(中村高康) 第II部 労働 3章 若年労働市場の格差と若者の包摂・統合(佐野正彦) コラム2 日本の若年層雇用政策は利用されているのか(樋口明彦) 4章 若者は「働くこと」をどのように経験しているのか(木戸口正宏) コラム3 高校中退者の移行(片山悠樹) 5章 若者の社会的リスクに対する社会保障制度の射程(樋口明彦) 第III部 家族 6章 若者の移
スーパーマーケットや百貨店など流通業界で働く人の70%が客から暴言や説教といった悪質なクレームなどを受けた経験があると回答したことが労働組合が初めて行った実態調査でわかりました。組合側は「ここまで大変な思いをしているのかと驚いた。度を超えたクレームに対しては毅然(きぜん)とした対応を取るよう求めていきたい」としています。 それによりますと、仕事中に客から悪質なクレームなどの迷惑行為を受けたことがあると回答した人は3万6000人と全体の70%に上りました。 迷惑行為の内容について複数回答で尋ねたところ、回答した人のうち、「暴言」が49%の2万4100人、「同じ内容を繰り返す」が29%の1万4200人、「説教など権威的態度」が27%の1万3300人で、「セクシュアルハラスメントを受けた」という人もおよそ10%の4900人いました。 また、心身への影響について尋ねたところ、回答した人のうち90%
ちょうど、1年前の今日「シン・ゴジラ」が公開されました。 私も話題になっていったので見に行ったのですが、ドはまりしまして、劇場で3回見たほどです。 「シン・ゴジラ」の特徴は、メインの描写が、一般的な怪獣映画のようなドンパチではなく、主人公・矢口を中心とした日本政府(行政機構)の動きであることです。 しかも、その描写はフィクションの作品にありがちな、行政の勝手なイメージに基づくものではなく、緻密な取材に基づく描写となっており、実際の行政組織のイメージをつかむにはよい題材だと思います。 そこで、今回からは、この「シン・ゴジラ」を題材にして、行政学を学ぼうと思います。 第1回の今日は、主人公である矢口蘭堂の所属する内閣官房を通して、日本の内閣とその補佐機能を見ていきます。 総理大臣の弱いリーダーシップ 日本国憲法65条では「行政権は内閣に属する」と規定され、内閣はいわば日本の行政権の総元締めです
出典:http://www.sankeibiz.jp/macro/photos/160318/mca1603181823013-p1.htm 最近のワイドショーは、松居一代か、加計学園くらいしかやっていない感じですね。 松居一代は本当にどうでもいいんですが、加計学園はどうでしょう? 最近の内閣支持率は低下傾向にあり、加計学園が影響しているとも見ることができます。 加計疑惑をどう扱えるかで、今後の安倍内閣の政権運営も変わってきそうです。 昨日、今日との2日間わたって行われた閉会中審査での安倍首相の説明を世論がどう受け止めるのか?注目すべきポイントです。 このように、政局の観点から見れば加計疑惑は重要です。 しかし、この疑惑は「問題」といえるのでしょうか? 今回は加計疑惑を通じて、そもそも「問題」とは何かを考えていきます。 問題とは? 早速ですが「問題」を定義してください。 こう言われると、少
ちょっとタイトルと中身に齟齬があります。コミンテルンの影響そして偽装転向者の暗躍についてはいくつもの類書があります。 日本人が知らない最先端の「世界史」 や 中川 八洋 がその代表的な作品です。ただ、いうまでもなくここにはどうしても決定的な歴史的な証拠(つまり文書)が欠落せざるを得ないのです。というよりも陰謀を跡付ける証拠へのアクセスが不可能なのです。したがって本書でもコミンテルンの一般的な戦略や戦術そしてテーゼは詳しくたどられますが、コミンテルンの謀略に戦前の日本の具体的な政策選択を直接的な因果関係の下で関連付けることは慎重にも避けられています。できるのは状況証拠の呈示とそこにあったであろうコミンテルンの影響の示唆だけなのです。さまざまな第五列の人物たちは(その代表が尾崎でしょうが)本書でも取り上げられますが、その批判のトーンは限りなく抑えられたものです。 むしろ本書の核は戦前の日本の政
むとう・まさとし 1948年生まれ、1972年横浜国立大学経済学部卒業。同年、外務省入省。在ホノルル総領事(2002年)、在クウェート特命全権大使(07年)を経て10年より在大韓民国特命全権大使。12年に退任。著書に「日韓対立の真相」「韓国の大誤算」「韓国人に生まれなくてよかった」(いずれも悟空出版)「真っ赤な韓国」(宝島社、辺真一との共著)など多数。 元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」 冷え込んだままの日韓関係。だが両国の国民は、互いの実像をよく知らないまま、悪感情を募らせているのが実態だ。今後どのような関係を築くにせよ、重要なのは冷静で客観的な視点である。韓国をよく知る筆者が、外交から政治、経済、社会まで、その内側を考察する。 バックナンバー一覧 11月5日から、日本、韓国、中国を相次いで訪問、APECやASEAN首脳会議にも出席した米トランプ大統領。アジア歴訪の最大の狙いは、中国
日本経済新聞は国内を代表する経済誌だ。その電子版はwebでの継続課金を大成功させ、いまや50万以上の有料会員を擁するモンスターサイトだ。 その日経電子版が11月6日に全面リニューアルしたのだが、公開後、web業界がにわかにざわついた。表示速度が爆速だったのだ。日経公式もモバイルで2倍の表示速度を達成したと堂々と宣言していた。 webサービスは継続率こそ神KPIで、その継続率には速度が大きく影響する。 これはチェキらないとヤバイと感じ、友人のkitakさんとスピードの秘密を調査してみた。 Fastlyをコンテンツキャッシュに使う殆どのデータはFastlyを経由して取得されていた。Fastlyは最近注目を集めているCDN(世界中にエッジサーバーを配置し、高速にコンテンツを配信するサービス)で、非常に高機能でユニークなサービスだ。 一般に、CDNはいったん世界中にコンテンツをばらまくと、それを無
『週刊ダイヤモンド』11月18日号の第1特集は「右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学」です。右派と左派。そう聞けば自分とは関係ない世界の話だと思う人が多いでしょう。ただ現在の日本をこの両極から読み解くと、これまでとは異なる社会、経済、政治の断面を見ることができます。企業・経営者の保守人脈から「自称リベラル」の真実まで、左右にまつわる事象を硬軟織り交ぜてお届けします。 11月13日、皇居を望む東京・大手町のKKRホテル東京11階の「丹頂の間」で、安倍政権と密接に結び付いた最強の右派団体、日本会議会長の田久保忠衛氏や読売新聞グループ本社取締役最高顧問の老川祥一氏らを招いた講演会が開かれる。 主催するのは、財団法人の「国策研究会」。聞き慣れないこの研究会は、日本が国際連盟から脱退した1933年に創設され、かつて首相の安倍晋三氏も理事を務めたことがある知る人ぞ知る保守系団体である。
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