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ブックマーク / www.anlyznews.com (20)

  • 山岡重行が批判する北田暁大『社会にとって趣味とは何か』の標準得点の問題点について

    社会心理学者の山岡重行氏が、社会学者の北田暁大氏が『社会にとって趣味とは何か』*1で行った、「夫は外で働き、は家庭を守るほうがよいと思う」*2などの質問に、あてはまる(4点)/ややあてはまる(3点)/あまりあてはまらない(2点)/あてはまらない(1点)の4択で答えてもらったアンケート結果の集計方法について、批判を通り越した非難を展開している*3。分析手法はすべて公開されているのだから、不適切な分析であっても捏造とは言えないと思うのだが、それはさておき標準得点は使わない方が良かった。 北田氏は著作で標準得点のグラフ(図8-4;p.291)を参照しつつ、「二次創作好きの女性オタクと、男性二次創作好きオタクとで正負が逆」(p.292)としているのだが、標準得点なのでここでのゼロは平均値でしかない。標準化前の数字であれば、回答の文面から2.5点を基準にジェンダー規範は逆と解釈することができるのだ

    山岡重行が批判する北田暁大『社会にとって趣味とは何か』の標準得点の問題点について
  • 稲葉振一郎『社会学入門・中級編』の計量経済学に関する説明はデタラメなことを社会学徒に知って欲しい

    第1章の内容で全体がどうこうと言う話ではないのだが、社会学者の稲葉振一郎氏の『社会学入門・中級編』の第1章にある計量経済学に関する説明はデタラメなので、他の社会学徒の皆様は騙されないように注意して欲しい。ネット界隈の印象に過ぎないが、社会学者の集団はサークルをつくって思い込みを共有しだすので、由々しき事態である。ミクロやマクロの計量分析をしている経済学者たちに草稿をチェックしてもらうなりすれば、ここまで露骨に変なことにはならなかったと思うのだが。 1. 構造推定への誤解 「実証社会科学への影響—計量経済学の場合」(pp.27–30)に「二〇世紀末」に「(「昔ふうの法則定立を目指しての構造推定」(p.43)とされる)理論モデルから得られた経済法則を表す方程式を、直接回帰分析にかけて検証する、といったやり方は社会経済データには通用しない、ということがわかってきた」(p.28)とあり*1、「大雑

    稲葉振一郎『社会学入門・中級編』の計量経済学に関する説明はデタラメなことを社会学徒に知って欲しい
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2019/07/07
    「二重盲検」についてはおっしゃる通りで反省しかないが、あとは「強引」「不正確」とのお叱りはともかく「でたらめ」とまでは思わない。事前に見てくれた計量経済学者にはハーマン&クルカルニの存在を教わった。
  • 山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと

    杉田水脈衆院議員が、政治学者の山口二郎氏が過去に10名を超えるグループの研究代表者として10年で累計6億円の科学研究費を取っていた事を示唆し、ちょっとした騒動になっている。杉田氏はこの金額が妥当ではないと言いたいようだが、その弁に煽られるのは問題だ。金額だけで是非を判断する事はできないし、科研費は研究計画書に基づいて文科省が採択し、その支出は厳しく管理され研究に関係の無いことへの支出は許してくれない。研究に関係ある事にも支出させてくれないと言う愚痴すらある。 1. 科研費の使途は厳しく管理されている 科研費は文科省が出している研究資金で、文科省の規約にしたがって大学事務等の研究者の所属機関が使途を管理している。過去に色々と不正があったために年々と利用ルールが厳しくなっており、今ではもっとも扱いづらい研究資金の一つとさえ言えるであろう。飛行機の半券や物品の領収書を取る事は勿論、出張先での宿泊

    山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2018/05/08
    “杉田議員は言い出したのだから、その議員としての権限を行使して国会で問題の有無を明らかにすべきだ。それが出来ないのであれば、単なる学者への威圧行為として非難されるべきである。”
  • 森友学園問題の事件の構図を断定する前に

    昨年末の会計検査院の報告と、ここ一週間の決裁文書改竄の顕在化で、理財局の官僚が森友学園に国有地を根拠の弱い価格で売却し、しかも関連文書を積極的に廃棄するばかりではなく、文書改竄でその事実を誤魔化そうとしていた事が明らかになった。麻生財務相の責任を問う声や、安倍総理などの関与を疑う声が上がっているのだが、事件の構図を描くにはまだ早いことに注意しよう。 一年ぐらいアレコレやっているわけだが、事件の核心には大きく迫れていない*1。政府が何か隠している気がするので、政治家に不正があったと言いたくなるのは分かるのだが、まずは以下の外堀を埋めないといけない。 1. ゴミ処分費用の見積もりを行なった職員の事情 会計検査院が国有地の売却金額は不適切だと結論している*2が、なぜいい加減な仕事をしたのかは分かっていない。ポイントはゴミ処分費用の見積もりなのだが、それを行なった国土交通省大阪航空局職員を国会に呼

    森友学園問題の事件の構図を断定する前に
  • 子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析の問題点

    速報が名古屋市のウェブサイトから消された事で話題になった子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析が、Papillomavirus Researchと言う学術雑誌に掲載された(Suzuki and Hosono (2018))。 論文掲載だけでは確定とは言えず、論文の粗を探し出し、他の研究とつき合わせて初めて科学的な結論が出てくるのだが、副作用が無いことが明らかにされたと調子にのっている人がそこそこいるので、この論文の粗を指摘しておきたい。 この手の疫学調査で常に悩ましいのは、比較対象が狙った処置以外の点において均質にならない事だ。ワクチン接種の場合だと、健康状態の良い人々がワクチン接種を行ない、健康状態の悪い人々が接種しないような可能性が入る。所謂、内生性の問題。 Suzuki and Hosono (2018)は、内生性のコントロールに失敗している蓋然性が高い。年

    子宮頸がん/HPVワクチン副作用に関する名古屋スタディの統計分析の問題点
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2018/03/02
    “Suzuki and Hosono (2018)は、内生性のコントロールに失敗している蓋然性が高い。”
  • ポストモダンはその修辞法と共に消えるべき

    物理学者のアラン・ソーカルがフランス現代思想における数学・科学用語の濫用を荒っぽい方法で批判した後、ポストモダン界隈の仲正昌樹氏がソーカルの批判は枝葉末節で質的ではないと、ソーカル事件からポストモダン批判をする人々を批判しているそうだ。これに関して批評家の山川賢一氏が、仲正氏のポストモダン擁護を批判している*1。 このやり取りに関してツイートはしたものの、このブログではスルーするつもりだったのだが、仲正氏からメールを貰い、その中で「あなたは前にも山川に同調して、私を攻撃するようなツイートしていませんでしたか?私に個人的怨みでもあるのですか」と、批判を個人攻撃に捉えるアカデミアにあるまじきメッセージを貰ったので、改めて批判しておきたい。 1. ラカンの文章の説明について ソーカルの著作『「知」の欺瞞』に、著名ポストモダン作家ラカンの『私が「無理数=不合理」と言うとき、何も私はある種の測り知

    ポストモダンはその修辞法と共に消えるべき
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2017/05/31
    飛び火
  • リフレ派が書いた学説史「不平等との闘い」

    明治学院大学の稲葉振一郎氏の『不平等との闘い』をざっと読んだので、紹介と言うか難癖つけて行きたい。 書は、どちらかと言うとマルクスなど思想史の方に親しんでいてマクロ経済学を専門としていない著者が、資所有における不平等の解消の必要性と方法を考えた意欲作。どちらかと言うと実証的な議論が多く紹介されていて、規範的な議論は薄い。経済学史なので、統計的な話もほぼ無い。資の初期分布がマクロの生産に影響すると言うアイディアが、(1)古典派経済学、(2)マルクス経済学、(3)新古典派経済学、(4)不平等ルネサンス(1990年代ぐらいからの新古典派経済学)、(5)最近のピケティでどのように扱われてきたかを、資市場の有無と技術進歩を鍵として見ていく部分が主だと思う。そして、どさくさに紛れてインフレーションによる物的資の格差の解消を主張している。 1. パレート効率はどこへ行った? ところどころで「不

    リフレ派が書いた学説史「不平等との闘い」
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2016/08/31
    ピンポイントでここをたたく、という風にはなってない……。
  • 富の偏在はなぜ生じるのか?

    明治学院大学の稲葉振一郎氏が『不平等との闘い』と言う新書の数学注を出していた。献が来ない*1ので当の内容は分からないが、その数学注と出版社の作品紹介を見る限りは、一時期のマクロ経済学で不平等の話が低調になった理由が7章あたりで指摘されているようだ。数学注にあるような教科書的なモデルを少しいじった程度では、なかなか格差が温存される世界は説明できない*2。さて、教科書を超えたところで発展はないのか気になるのだが、Mariacristina De Nardiと言うマクロ経済学者*3が不平等に関して簡単なサーベイ記事を書いていたので読んでみた。一時は下火になっていたようだが、能力や選好の偏在に起因するとするには大きすぎる格差を説明しようと言う取り組みは行われてきているようだ。要約と言うか、目に付いた部分を紹介したい。 この記事の著者を含めたマクロ経済学者が動的で量的なマクロ経済モデルで富の偏在

    富の偏在はなぜ生じるのか?
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2016/05/15
    身元を明かしていただければお送りできますよ(にっこり)
  • うわぁ、ノビーがまたやっちゃってるー

    と、経済評論家の池田信夫氏の「アベノミクスの挫折で深まる安倍政権の危機」と言う記事がつっ込まれていた。いつも通りミスの多い記述で、少なくとも四箇所、おかしいところがある。 まず、用語定義。「財政・金融政策で需要を追加しても、供給不足が悪化してコストプッシュ・インフレになるだけだ」とあるのだが、こういう場合は普通はディマンド・プル・インフレーションと言う。池田氏が普通かは存じないが。 次に、会計知識。「日銀は20兆円以上の評価損をこうむる。日銀は86兆円の紙幣をもっているので、それを発行すればいくらでも債務を埋めることができる」は、既存の債務(発行済み日銀券)で損失(評価損)を埋められると言う事になっていて、意味不明。 次に、マクロ金融の知識。「今のうちなら日銀がテーパリングの計画を示しても、すぐ金利が上昇するとは考えにくい」とあるのだが、一般に量的緩和を辞めたらインフレ懸念が下がるので、均

    うわぁ、ノビーがまたやっちゃってるー
  • 稲葉氏が「まだ詰められんかなあ。と思うんですが」と言うのでスウェーデンのマクロ金融政策小史を確認してみた

    前のエントリーで松尾氏とは十分に意見交換をしたと思うものの、稲葉振一郎氏がスウェーデンのマクロ金融政策で何かもやもやしているようなので、蛇足(右写真参照)的にちょっと材料を探してみた。ついでに紀要論文の再校までに届くかも知れない。 さて、BISのスウェーデンに関する資料を引っ張ってこよう。"Karolina Ekholm: Why Swedish monetary policy needs to be more expansionary"と言うタイトルで、スウェーデンの中央銀行になるリクスバンクの副総裁のスピーチ。大営発表にはなるが、事実関係に誤解は無いはず。しかも個人的にと前置きして、拡張的金融政策に理解を示しているから、現状追認をしたがっている人ではないようだ。 確認したいのは、スウェーデン社会民主労働党がマクロ金融政策で雇用拡大を狙って来たか否かの一点だ。2ページ目のWhy an

    稲葉氏が「まだ詰められんかなあ。と思うんですが」と言うのでスウェーデンのマクロ金融政策小史を確認してみた
  • りふれ派はスウェーデンに触れてはいけない

    松尾匡 さんのコメント... ご指摘は、後続の人が事実を究明するために役立つよう、建設的に活かしたいと思いますので、ご指摘になっていないところでまだわかっていない部分も含めてご説明します。 私の示したデータから確実に言えそうなことは、社民党政権期の就業者数の拡大には、輸出と設備投資の増加が最も影響しているということです。(貿易収支よりは輸出そのものの方が就業者数と合っていそうです。これは国内生産物に輸入品との競合品が少ないときには言えることです。輸入等の増加と同時に、国内総支出項目の消費なども増加するので。) うち、設備投資の増大と「実質利子率」の逆相関関係を示した図表3のデータについては、世界銀行のWorld Development Indicatorsに"Real interest rate "というのがあったので、それをそのまま使ったのですが、後の調べでは、どうやらこれを作るときのイ

    りふれ派はスウェーデンに触れてはいけない
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2014/10/06
    コメ欄無残
  • ミクロ計量分析の常識が身につく『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』

    各章のサブタイトルがアニメや時事ネタのパロディーになっていると話題の『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』だが、法学セミナー連載「法律家のための実証分析入門」をまとめたもので、連載時の原稿が著者の森田果氏のページに微妙な形(dvi形式)で公開されていたので幾つかの章を拝読してみた。面白いし、ミクロ計量分析の常識が身につきそうで、分野外の人や学部生が読むと丁度よさそうな感じになっている。 常識と言うのは、専門用語と分析上の注意点のことだ。ミクロ計量分析をする人々は専門用語をそうではないように気軽に使うし、分析上の注意点も大雑把には共有している。この共有レベルが高いので、計量分析者の中には「クロスセクションではなくパネルでやってみたら・・・」「弱相関テストの結果・・・」「同時性が考えられるため・・・」のような事を、一般人にも容赦なく言うコミュニケーション障害者がよく稀に存在する

    ミクロ計量分析の常識が身につく『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2014/06/08
    "微妙な形(dvi形式)"
  • 失業率低下と名目賃金上昇を前にした池田信夫

    経済評論家の池田信夫氏が「人手不足が示すアベノミクスの終わり」で、「日銀は有害無益な量的緩和をやめる出口戦略を示すべきだ」と主張している。黒田日銀を批判したいのは分かるのだが、文全体に混乱が見られる。“有害無益な”とあるののに、何に有害で、何に無益なのかが明示されていない。 「円安とエネルギー価格の上昇で輸入インフレになり、実質賃金が下がった」事が問題なのであろうか。現象としては円相場が購買力平価(PPP)為替レートの前後で推移しているのは確かだ。しかし、池田信夫氏は黒田日銀が原因とは主張できないように思える。 1. 量的緩和で円安にならないなら、有害とは言えない 以前、池田信夫氏は『「日銀の量的緩和が足りないから円高になった」という話だが、何度も書いたようにこれは明白な嘘』と主張していた。池田信夫氏の議論では円安の原因は日銀ではなく、エネルギー価格の上昇も日銀のせいでは無かったはずだ。す

    失業率低下と名目賃金上昇を前にした池田信夫
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2014/05/27
    “池田信夫氏はマルクス経済学がベースなので”あっ言っちゃった
  • 西成特区構想のシンポジウムの基調講演の提案は現在の住民には意味がない

    週刊ポストの『西成特区構想のシンポジウムで「意味ないやろ」とヤジ怒号飛ぶ』と言う記事に、労働政策学者の濱口桂一郎氏が学習院大学経済学経済学科教授の鈴木亘氏を非現実的と批判している。 西成特区構想を考えるシンポジウムは、橋下氏ら大阪維新の会が固めている西成特区構想を、同地区の住民に説明した上で意見を聞くと言う会だ。 しかし、動画がアップロードされていたので視聴したのだが、質的な問題はプランの現実性とは別にあるように思える。何が問題かと言うと、鈴木氏の提案が現在の西成住民の利益を考えたものでは無いと言うことだ。36分15秒以降が題だと思うので見て欲しい。 叩き台で固まった方向性では無いと言う言い訳(10m38s~)があるが、次のような主張を行っている。 目先の問題だけではなく、20年後、30年後の将来設計が必要 西成地区は、人口動態予測で過疎化・高齢化が進む 日雇い労働の減少で、生活保護

    西成特区構想のシンポジウムの基調講演の提案は現在の住民には意味がない
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2012/09/05
    スラムクリアランス以外の何物でもなかった……と。
  • 週刊ポストは捏造記事か? ─ 動画で確認できる事実もありますよ

    週刊ポストの『西成特区構想のシンポジウムで「意味ないやろ」とヤジ怒号飛ぶ』と言う記事に、学習院大学の鈴木亘氏が『全くひどい「ねつ造記事」である』と言っている。週刊誌が捏造記事を出していても驚かないが、動画が一般公開されていたので検証してみよう。 まずは鈴木氏の主張の確認から。 タイトルの「意味ないやろ」も含め、住民からあったとされる下記の発言は、この間、ずっと壇上にいた私は、住民のマイクを通した発言として、全く聞いていない。 なるほど。質問で全く聞いていないと言う事ですね。では動画と、捏造されたと言う発言を見ていこう。鈴木氏の抗議エントリーにある「(→・・・)」の説明は、週刊誌が捏造したか否かについては何の情報にもならないし。 「意味ないやろ」 37m24sに質問者「・・・意味ないんですよ!」、鈴木亘氏「分かりました」と言う会話がある。ヤジでは無いが、同じと見なせる質問者の発言がある。 「

    週刊ポストは捏造記事か? ─ 動画で確認できる事実もありますよ
  • 厚生労働白書が隠している経済学の知見

    平成24年版厚生労働白書は、社会保障の教科書的内容になっているが、(最近の)経済学の知見が反映されていないと感想がある。それに対して、ケインズ、ポランニー、アダム・スミス、セン、フリードマンなどの大御所経済学者の名前が散見されるのに、反映されていない「経済学の知見」とは何かと言う疑問があがっている(EU労働法政策雑記帳の後半部分)。 確かに大御所の名前はあるのだが、恐らく意識的に、理論モデルや実証研究の知見が紹介されていない。つまり社会保障の必要性を訴える一方で、社会保障の適正水準を巡る議論は極力排除している。厚生労働白書で経済学の知見をどこまで紹介すべきかは議論があると思うが、陰謀論的に分析してみよう。 1. 効率と公正の細部に踏み込まない 第2章で社会保障の理念や哲学を紹介していて、効率と公正と言う評価基準を紹介している。しかし、なぜ効率が改善するのか、なぜ公正になるのかの議論が薄い。

    厚生労働白書が隠している経済学の知見
  • 社会学者・古市憲寿氏の経済成長論をフォローする

    起業家の増加が経済成長をもたらすと言う社会学者・古市憲寿氏の主張(*1)に対して、『自分でアップルみたいな会社作って経済を回したらいい』という言い方が悪いのだと思うが、否定的なコメントが多くされている(togetter)。古市氏の主張のフォローを試みてみよう。 まずは「経済成長」に関して、一般的な話を整理してみる。 経済成長は、一般には生産量の増加として議論される。生産量が多ければ、消費が増えて、幸せになると言う論理で肯定される。 経済成長と言うとき、一般には配分や余暇は考えていない。議論の契機となった雑誌を発行している、社会的弱者のサポートを目的としたNPO法人POSSEの活動には直接関係がない(*2)。 歴史的には経済成長にともない、貧乏人も消費が増えているし、労働者の余暇や労働環境も改善している。分配するパイが増えれば、貧乏人も得。 経済成長を起こすには、技術革新か資・労働投入量の

    社会学者・古市憲寿氏の経済成長論をフォローする
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2012/06/25
    あんこらさん
  • ブラック企業の存在をゲーム理論で考察する

    待遇の悪いブラック企業とは言え、そこで労働者が働いている限りは、社会的意義があると主張したところ、労働問題の専門家の濱口氏から「社会ゲーム上の非対称性が問題」だとツッコミが入った。なるほど。 完全情報で完備契約、そして摩擦無しを想定したが、例えば不完全情報を仮定するだけで、不幸にもブラック企業で労働する人々が現れる。教科書的なゲーム理論で考察してみよう。 1. ブラック企業が存在する採用・就職ゲーム まず、ゲーム木を描いてみる(ゲーム理論の詳しい説明は岡田(2011)などを参照)。 プレイヤーは企業と労働者だ。まず、企業が確率αで優良企業、1-αでブラック企業になる。次に、労働者が確率βで就職をし、1-βで就職をしないと決める。企業はα、労働者はβの値を決め、さらにαとβは相互に周知されている。しかし、実際に優良企業なのかブラック企業なのかの情報は、労働者は知る事ができない。濱口氏の言葉を

    ブラック企業の存在をゲーム理論で考察する
  • 世代重複モデルで見る少子高齢化と利子率

    経済学を多少学んだ事のある人には、常識的で当たり前な事を紹介したい。少子高齢化が自然利子率を低くする理由だ。 代表的な世代重複モデル(OLG)のDiamond(1965)を引用して終了なのだが、どうも経済評論家の人々には明白ではないようだ。そんなに難しい話でもないので、簡単にOLGを紹介をしてみたい。 1. IS-LMやDSGEとOLGの違い 古典的モデルなわけだが、さらに古典的なIS-LMモデルと流行りのDSGEとの違いに触れておこう。 永久に生きる代表的な個人がいない 家計/企業の効用/利潤最大化問題が組み込まれておりミクロ経済学的な基礎がある 完全雇用状態で、供給サイドで全てが決定される 名目利子率と実質利子率の違いが無い 長期分析には向いているが、短期分析には向いていないかも知れない。 なお、伝統的ケインズモデル(IS-LM)とDSGEの違いは江口允崇氏が日経済新聞「やさしい経済

    世代重複モデルで見る少子高齢化と利子率
    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2012/05/14
    わかりやすい
  • クルッグマンの英語が理解できない池田信夫

    ノーベル賞経済学者のクルッグマンがNew York TimesのコラムでModern Monetary Theory(以下、MMT)を批判しているのだが、それを経済学者を自称する池田信夫氏が「クルーグマン対リフレ派」で激しく誤解しているので、間違いを指摘しておきたい。 MMT派は現代では政府が貨幣の裏づけになっているので、幾ら財政赤字を出しても貨幣を発行してもインフレーションにはならないとし、拡張的な財政政策や通貨供給量の拡大を主張している。しかしクルッグマンは、流動性の罠にはまっている現在では拡張的財政政策と通貨供給量は支持できるものの、通常の経済ではハイパーインフレーションになるとMMT派の論理を批判している。なお大半のリフレ派は流動性の罠にある事を前提にリフレ政策を主張しており、MMT派とは異なる。 池田信夫氏は「クルーグマンは最近、毎日のようにリフレ派(MMT)を攻撃している」と延

    クルッグマンの英語が理解できない池田信夫
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