社会学の研究者として、サブカルチャー(サブカル)から日本の将来まで独自の視点から発信を続けている宮台真司教授(首都大学東京)。宮台教授の大学院時代や現在の研究について話を聞いた。 (取材・分部麻里 撮影・小原寛士) 非凡な仮説を立てる ――大学院に進学したきっかけは 恋人がうつ病で寝込み、看病で就職活動を諦めた。「世直し」への思いが強かったから院ではそのための思考を学ぶことにした。 ――「世直し」とは具体的に何を指すのでしょうか 「法化への抗(あらが)い」だ。冗談じゃなく法は破るためにある。人類学の教養だ。祝祭や性愛を含め、法外のシンクロで仲間や絆を確かめる。昨今は法外にビビるヘタレが、法外を一斉にバッシングして疑似仲間を醸成する。あいつは仲間じゃないと指さすヘイト現象だ。法外を恐れ、祭りで踊れず、性的に退却する。法を守れば幸せになると妄信する。カール・シュミットが言ったように仲間や絆あっ