生まれて初めて出会う同性の人生の先輩、父。男である私にとって、父親とはそんな風に言い表すこともできる。 時に一緒に遊び、時に厳しく叱る。頼もしくも恐ろしくもある存在だった父だが、子供の頃からずっとうっすらと感じていたのは、「その服どうなの?」ということだった。 悪さをして怒られながらも、「なんか変な服だな…」と心の中で思っていたあの頃。言われたことはわかっても、服については釈然としなかった。 そんな私も父親の年齢の半分を超えるようになった。こちらから歩み寄るべく、父の服を着こなしてみた。 (小野法師丸) ●迷いを脱ぎ捨て、父の服を着る 家族を養うため、当人たちの知らないところで仕事に精を出す。休日にはさまざまな家族サービスも厭わない。良い面ばかり言ってしまってる気もするが、世の中で言われる父親像というのを端的に言えば、そんな風にもなるだろうか。 思い起こすに、私の父もそれなりに例外ではなか