前回,イメージシティ事件判決の考え方について検討しました。今回のこの判決については,IT業界の関係者からはかなり批判的な意見が多かったようです。裁判長のことを,ともすればおかしな判決を出す傾向があるかのような批判もありました。 当然ながら,判決自体を批判することは自由であるべきだと思います。しかし,今回の判断が一裁判長の個性に基づく判断であるというのは少し的はずれです。IT業界の関係者が本判決の結論に違和感を感じることはよく分かるのですが,この判決で採用されている考え方は本判決で突然発生したものではありません。いままでの判例法理,あるいは最近の下級審判決の流れに沿ったものです。ある意味,オーソドックスな判決といっていいでしょう。 ここでいう判例法理とは,いわゆる「カラオケ法理」と呼ばれるものです。この理論ですが,もともと,キャバレー,スナック等においての無許諾での演奏・上映について,スナッ