ある方のお葬式に行って参りました。 その方の好きな曲が流れて、どこか心温まる式でありました。 享年72歳でありました。 わたくしと全く同じ年に生まれ、全く同じに歳を取り、 そして来年からはわたくしばかりが歳を取るなんて、とても いじわる。 今年頂いた年賀状に、体調が悪く病院での療養を繰り返している旨が書かれておりまして、 わたくしは、あの方に出してしまった年賀状をずっと悔いておりました。 いつも猛々しく明瞭に笑っていたあの方がご病気なんて、わたくしには考えもつかずに、 あの方に当ててしまった思慮のない手紙など、誰かどうか破り捨てて届けずにいてほしいとまで願いました。 ただ、わたくしはもう、そんな浅はかな手紙のやり取りしかできないほどに、 あの方のことを、何も知らなくなっていたのです。 去年交わした年賀状では、山登りに励むあの方の近況が綴られていたから、 今年もそのように過ごされていると思い