衆院選も終盤に向かう中、株式の売却益などに課される「金融所得課税」の見直しを巡る論議が低調だ。税の負担率が軽い「富裕層」の不公平感を正し、格差是正にもつなげる狙いがある。富裕層への課税強化は国際的な流れで、野党の多くも訴える。しかし、株安を招きかねないとして反対論は根強く、自民党などは及び腰だ。なぜ課税論議は進まないのか。改めて考えた。(太田理英子、森本智之)
宅配最大手ヤマト運輸の兵庫県尼崎市内の倉庫で勤務している男性従業員(55)が19日、熱中症対策が不十分だとしてストライキを行い、東京都港区の同社本社前で街宣活動した。勤務中には、倉庫内の気温計の針が40度を超えて振り切れた日もあったという。男性は加入する労働組合「総合サポートユニオン」とともに同日会見し、労働環境の改善や、ファン付き作業服の支給などを求めた。 男性と労組によると、倉庫内に空調設備はあるが、外気と区切るドアが全開の上、配達車は倉庫内でエンジンをかけたままのため、室温35度を上回る日がほとんど。6月には、あるドライバーが熱中症の疑いで倒れたが、適切な応急処置がされず、社側は原因を「本人の不摂生」と説明したという。男性も8月に熱中症の疑いと診断され、頭痛を抑えるために解熱鎮痛剤を飲みながら働いている。
日本人女性の9人に1人がかかる乳がん。治癒の鍵は、早期発見だ。乳がんを見つける代表的な検査に、マンモグラフィー(マンモ)と超音波(エコー)があるが、加えて近年、「痛くない乳がん検査」が注目されているという。どんな検査なのか、実際に受けてみた。(長田真由美)
今年開示された企業の女性管理職比率で、複数の地方銀行の比率が昨年より大幅に下がったことが本紙の調べで分かった。昨年は厚生労働省の定義で管理職ではない「課長代理」などを含めて算出していたが、今年は同省が示す管理職の範囲に絞って割合を出したのが理由。女性比率の開示は昨年から上場企業に求められるようになったが、金融庁は、一部の地銀が見せかけの比率を上げるため厚労省の定義で算出していないことを問題視していた。(桐山純平) 女性管理職比率は、上場企業の財務諸表である有価証券報告書(有報)への記載が求められている。本紙が、昨年の女性比率が10%以上だった地銀65行(持ち株会社含む)について今年の有報(6月提出分)と比較したところ、87%の57行は比率の変化が5ポイント未満だった。一方、残り8行は比率の下げ幅が5ポイントを超えており、理由を聞いた。 女性比率を22ポイント下げた京葉銀行(千葉市)は「女性
長引く物価高は、企業による必要以上の値上げが要因との見方が出ている。企業がコスト増加分を上回る値上げで収益を拡大させた一方、賃金に十分還元していないとして、欧米で「強欲インフレ」と呼ばれた現象だ。物価上昇の内容を分析した専門家によると、日本も同様の状況に陥りつつある。(大島宏一郎) 5月末の金曜日、スーツ姿の人が行き交うJR新橋駅前のSL広場。「食品は値上がりしたが、給料は上がっていない。景気は悪いと感じる」(東京都千代田区の30代会社員女性)、「スーパーで買うお菓子の容量や個数が減った」(港区の60代会社員男性)。働く人たちは物価高の厳しさに口をそろえた。連合総研の4月調査で、賃金が物価より上がったと答えた働き手はわずか6%台だ。
東京・多摩地域の水道水源の井戸で発がん性の疑われる有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が高濃度で検出されている問題で、汚染源の可能性がある米軍横田基地(福生市など)が、米国の飲用水の新規制値を満たさないとして、基地内の飲用井戸の運用停止を検討していることが、政府関係者への取材で分かった。厳しくなった新規制で、米軍が地下水の除染や汚染源の特定に取り組む可能性があるが、その機会が失われかねない。(松島京太) 多摩地域のPFAS汚染 米軍横田基地で2010〜23年、PFASを含む泡消火剤などの漏出事故が計8回発生。12年発覚の事故では泡消火剤の原液約3000リットルが土壌に漏出したが、米軍は基地外への影響を否定している。都の地下水調査では、基地南東の約1キロ地点で、強制力のない日本の暫定指針値(PFOSとPFOAの合計値で1リットル当たり50ナノグラム)の27倍を検出。これは都内最高値。基地
人気漫画「セクシー田中さん」の原作者芦原妃名子(ひなこ)さん=1月に死去=は、漫画をテレビドラマ化した日本テレビに「自身の意図とは異なる脚本を示された」と繰り返し訴えていたことをブログで告白していた。制作の過程に問題はなかったのか。映画やドラマ化で原作者の権利は十分守られてきたのか―。「海月姫(くらげひめ)」「東京タラレバ娘」など数々の漫画がドラマ・映画化されてきた漫画家の東村アキコさん(48)に聞いた。(望月衣塑子) セクシー田中さん 漫画家の芦原妃名子さんが小学館の雑誌「姉系プチコミック」で連載していたラブコメディー漫画。アラフォーの独身女性「田中京子」を主人公に、同僚の派遣社員の女性たちとの友情を描いた。 芦原さんはブログに「一見奇抜なタイトルのふざけたラブコメ漫画に見えますが…。自己肯定感の低さ故生きづらさを抱える人達に、優しく強く寄り添える作品にしたい」と狙いを記していた。 日本
なぜ女性は「昇進」できないのか。 川崎市職員の佐藤直子さん(50)は長年、自治体職員として働きながら感じてきたモヤモヤの正体を解明しようと、自治体の女性職員のキャリア形成などについて大学院で研究に取り組んでいます。女性は昇進したがらない? 女性管理職が就く部署は決まっている? 現状の背景には何があるのか、変えていくことはできるのか、話を聞きました。(小林由比、北條香子) 佐藤直子(さとう・なおこ) 川崎市こども未来局青少年支援室子どもの権利担当課長。1998年入庁後、児童館での青少年健全育成業務、公務災害・通勤災害事務、区役所での市民協働まちづくり業務、総合計画などの庁内調整事務、市長への手紙、コールセンターなどの公聴担当、幼児教育担当などを担当してきた。自身を含めた女性職員のキャリアパスに関心を持ち、2018年から研究を開始。22年4月から埼玉大経済経営系大学院博士後期課程。専攻は労働経
2015年7月、群馬県桐生市に住む黒田正美さん=仮名=の携帯電話が鳴った。声の主は同市福祉課の職員だった。 当時、黒田さんは30代後半。父の杉本賢三さん=仮名、当時(61)=と市営住宅で同居していたが、結婚で独立し、杉本さんは単身生活を送っていた。駆け付けると、ライフラインは全て止められ、石油ストーブの燃焼筒に外で拾い集めた木くずを入れてマッチで着火し、わずかに残ったコメを煮炊きしていた。窮状を見かけた近所の住民が市へ通報したのだという。 杉本さんは料理人として働いていたが、心臓疾患などによる体調悪化で就労困難な状態が続いていた。黒田さんは市福祉課に相談したが、「家族で支え合って」「実家に戻りなさい」と相手にしてもらえなかった。同年8月、杉本さんはやむを得ず市内の実家で暮らす妹、黒田さんにとっては叔母の家に身を寄せる。
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