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ブックマーク / kanan5100.hatenadiary.org (22)

  • Llangres "Esnalar" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    ケルトというとアイルランドやイギリスを思い浮かべがちですが、スペインのガリシア地方とアストゥーリアス地方にはかつてケルト人が定住していて、いくつかの遺跡も残されています。また、今でも「ガイタ」と呼ばれるバグパイプが伝わっており、スコットランドのケルト文化との共通性を感じさせるものがあります。そしてガリシアの伝統音楽として、ケルト音楽を演奏するバンドも、いくつもあるのです。今回紹介するLlangresもそのひとつで、アストゥーリアス地方のケルト音楽バンドです。"Esnalar"は2ndアルバムになります。 ただ、当に彼らの演奏するケルト音楽がガリシア、アストゥーリアスの伝統なのかというと、これはかなり疑問があります。このアルバムを聴いても感じるのですが、あまりにもアイルランドやイギリスの音楽そっくりすぎるのです。ガリシア、アストゥーリアスのケルト人は2千年も前にローマ人と同化したのに、音楽

    Llangres "Esnalar" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Линда "Почти Близнецы" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    このへんあんまり詳しくないのでよくわからないのですが、民族音楽や古楽系の音楽の一部は、どうもゴシック・カルチャーと深い関わりがあるようで(デッド・カン・ダンスとかそのあたりからの流れ?)、たとえば以前紹介したFaunやEstanpieといったバンドは、ゴス系の人たちにもよく聴かれているようです。民族音楽の方面からそうした音楽に入っていった私などは、ちょっと違和感を覚えるんですが。 ロシアに、ダークな民族音楽風のロックを歌うリンダというカザフスタン出身の女性歌手がいるんですが、彼女もそうしたゴシックの流れを汲んだアーティスト。最近はそうでもないようですが、初期の頃は黒ずくめの衣装に白塗りなメイクというもろにゴス系の姿をしてました。"Марихуана"(マリフアナ)なんて曲も歌っているせいか、一時は薬物中毒で死んだとかいう噂もあったそうだけれど、今でも元気で活躍しています。 彼女の曲は、民族

    Линда "Почти Близнецы" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Mari Boine "Gávcci Jahkejuogu / Eight Seasons" (2002) - 世界音楽ぶらり旅

    スカンジナビア半島の北部、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ロシアの4カ国にまたがった地域には、サーミ語を話すサーミ人という北方少数民族が居住しています。この地方はかつてはラップランド(ニルスが旅した地方ですね)と言われ、サーミ人もラップ人と呼ばれてましたが、「ラップ」は辺境を意味する蔑称であり、今では使われなくなってます。 サーミ人にはシャーマニズムの伝統があり、自然界とコミュニケーションを取るために歌われる「ヨイク」という伝統歌謡があるのですが、このヨイクを現代的な形で甦らせたのが1956年生まれのマリ・ボイネです。 彼女の音楽は、力強いこぶしで歌われる非常に土俗的な旋律とエレクトロニック・サウンドが融合した独特の世界。その歌唱の強烈な個性から、北欧のビョークと言われることもあるとか。ストイックで慣れないとなかなか聴きづらいので、わりと民族音楽上級者向けな感じですね。リミックス版

    Mari Boine "Gávcci Jahkejuogu / Eight Seasons" (2002) - 世界音楽ぶらり旅
  • Värttinä "Miero" (2006) - 世界音楽ぶらり旅

    ヴァルティナはフィンランドを代表するスーパーバンド。結成は1983年なのでもう25年もの歴史があるんですが、最初の頃はカレリア地方の民謡を歌う少女合唱団といった感じで、メンバーも20人以上いて、現在とはかなり違う素朴なスタイルでした。ロックやポップスの要素を盛り込み、フィンランドの伝承音楽を現代的な味付けで歌う現在のスタイルが固まったのが1991年。その後もけっこう入れ替わりが激しくて、現在のメンバーは9人ですが、結成当初からのメンバーは2人しか残ってません。 バンドの顔は3人の女性ボーカルで、ブルガリアの民謡にも似た地声のハーモニーが実にエキサイティング。民族音楽という枠を超えた、非常に質の高い洗練された音楽です。ちょっと水平方向へチャレンジドな方もおられますが、まあそれは見ないことに。 "Miero"は2006年発表の11枚目のアルバム。すでに大御所の地位にあるグループですが、まだまだ

    Värttinä "Miero" (2006) - 世界音楽ぶらり旅
  • Sainkho Namchylak "Naked Spirit" (1998) - 世界音楽ぶらり旅

    天才というのはこういう人のことをいうんでしょう。 サインホ・ナムチュラクは、1957年トゥヴァ共和国生まれ。トゥヴァというのは、ロシア連邦の一部で、中央アジアのモンゴルの北にある国。かのリチャード・ファインマン博士が『ファインマンさん最後の冒険』で行きたがっていた国でもあります。 また、トゥヴァはホーメイ(モンゴルではホーミーという)という喉歌が伝わっていることでも有名で、もちろんサインホもホーメイの使い手であります。しかしそればかりではなく、透きとおるような天上の声、かすれた低音、さらには驚異のハイトーンヴォイスまで、その声はまるで何かが憑依したかのように変幻自在。まさに声の魔術師、希代のヴォイス・パフォーマーです。 彼女のアルバムの中には、やたらと前衛的になってとっつきにくいものもあるんですが、このアルバムは比較的聴きやすい感じ。民族音楽からポップス調までさまざまなタイプの曲が歌われて

    Sainkho Namchylak "Naked Spirit" (1998) - 世界音楽ぶらり旅
  • LAU "Lightweights And Gentlemen" (2006) - 世界音楽ぶらり旅

    LAUは、スコットランドのエジンバラで結成された3人組バンドで、このアルバムがデビュー作です。編成はフィドルのエイダン・オルーク、アコーディオンのマーティン・グリーン、ギター(歌も)のクリス・ドレヴァーの3人。わずか3人という少人数ながら、非常にテンションの高い演奏を聴かせてくれるスーパーバンドです。演奏がすごいというバンドなら、ほかにもLunasaやFlookなどもあるのだけれど、LAUが独特なのはそのワイルドな演奏スタイル。妙に背だったり激しく頭を振ったりと、見た目はあんまりかっこよくないのだけれど、いかにも男っぽいごつごつとしたところが魅力です。 さらに面白いのはインストゥルメンタルと同じように歌もこなしているところ。しかも、歌なしの曲はひたすらハイテンションでかっこよく、歌の入る曲になるとこてこてで情感たっぷりという、このギャップがなんともいえません。10月に来日するそうなのでラ

    LAU "Lightweights And Gentlemen" (2006) - 世界音楽ぶらり旅
  • Clann Lir "Clann Lir" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    Clann Lirはロシアのケルティック・バンド。ロシアでケルト音楽? と疑問を持たれるかもしれませんが、そういうバンドがあるのです。 Clann Lirというバンド名は、ゲール語で「リールの子供たち」という意味。継母に妬まれ魔法の力で白鳥の姿に変えられた4人の王子と王女たちが900年間川や湖を放浪するという、ケルト三大悲話のひとつに数えられる物語です。 バンドのリーダーでボーカルとギターを担当している女性は、ヘラヴィーサことNatalia O'Shea。以前紹介したことのあるロシアン・フォークロックバンドメーリニツァでも作詞作曲とボーカルを務めている才女であります。 そのヘラヴィーサのケルト音楽への深い傾倒を示すのがこのアルバム。メーリニツァの音楽は汎ヨーロッパ的なフォークロックだったけど、このバンドで演奏するのはオーソドックスで古典的なケルト音楽。使われている楽器はギターにアイリッシュ

    Clann Lir "Clann Lir" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Szalóki Ági "Cipity Lőrinc" (2006) - 世界音楽ぶらり旅

    サローキ・アーギはハンガリーの美人女性歌手。ボーカリストとして、ジプシーバンド"Besh o droM"やユダヤ音楽バンド"Oi Va Voi"などさまざまなグループのアルバムに参加している人気歌手なんですが、ソロでは、ハンガリーの伝統音楽を都会的なジャズやボサノバ風のアレンジで歌ってます。このCDは3枚目のソロアルバムで、ジャケットもかわいくおしゃれな一枚。 民族音楽っていうと不協和音だ変拍子だと、なんだか濃い音楽が多いけど、これはふっと力を抜いて聴けて、誰にでもお勧めしやすいアルバムです。2ndの"Hallgató/Lament"はジャズアレンジで大人っぽい夜の雰囲気だったけれど、この3rdは明るい陽の光がよく似合うイメージ。飲み物だったら、紅茶がよく合いそうですね。 動画はアルバム2曲目の"Mici"という曲。シンプルなメロディながら、歌声の微妙な音程の揺れが複雑な表情をかもし出して

    Szalóki Ági "Cipity Lőrinc" (2006) - 世界音楽ぶらり旅
  • Love Spirals Downwards "Ardor" (1994) - 世界音楽ぶらり旅

    ギターやシンセの奏でる美しい音に乗って、儚げな声のボーカルが歌うメロウなメロディ。浮遊感のあるたいへん心地よい音楽で、分類すればDream PopとかEthereal Darkwaveとかいうジャンルに入るらしいです。メンバーは、マルチ・プレイヤーのライアン・ラムとボーカルのスザンヌ・ペリー。 この種の耽美的な音楽だと、ケルト音楽であったり教会音楽であったりと民族的なルーツをたどれる音楽が多いんですが、このバンドの場合は民族的要素はまったくといっていいほど感じられず、地に足がついていないというか、空虚で無機質な印象があるのが特徴です。言葉が矛盾しているけれども、いわば「無宗教の天国の音楽」といった感じがします。あるいは、ユニット名の頭文字が象徴しているように、ケミカルで消毒済みの天国。かすかな死の香りといってもいいかもしれません。 最近、私は寝るときにこのアルバムをかすかな音量でよく聴いて

    Love Spirals Downwards "Ardor" (1994) - 世界音楽ぶらり旅
  • Fiddlers' Bid "Naked and Bare" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    スコットランドの北端からさらに北東の海の上、アバディーンからフェリーで14時間というイギリスの北の果てに浮かぶ離島がシェトランド諸島。距離的にはブリテン島よりむしろスカンジナビア半島の方に近く、古来から北欧の文化の影響を強く受けてきた島です。 Fiddlers' Bidはこのシェトランド諸島出身のバンドなんですが、編成がなんとも妙。フロントに男性フィドル奏者が4人、バックにはギター、エレクトリック・ギター、そして紅一点のハープ(orキーボード)という構成。普通そんな編成にしませんって。 しかもフィドルが4もあるからハーモニーを奏でるのかと思いきや、ほとんどユニゾンでぐいぐい押しまくる。なんだこりゃ。 フィドルってかっこいいよね。だったら4人にしたらもっとかっこいいんじゃね? とかいう、田舎の男子中学生の思いつきのような編成なのだけど、これが確かにかっこいいのだから困ってしまう。 何でもな

    Fiddlers' Bid "Naked and Bare" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Estampie "Fin Amor" (2002) - 世界音楽ぶらり旅

    エスタンピーは、ドイツの古楽バンド。演奏しているのはヨーロッパ中世の世俗曲や宗教曲なんですが、古楽そのままじゃなく、ビートの刻み方などを現代的にして聴きやすくしているのが特徴。日でいえばタブラトゥーラと同じようなコンセプトのバンドになります。エスタンピーの結成は1985年なので、これまたタブラトゥーラとほぼ同じ20年以上の歴史があります。バンド名のエスタンピーというのは、もともとは13〜14世紀に流行した舞曲の名前。 中心となっているメンバーは、Michael PoppとErnst Schwindl、そして澄みきった声が美しい女性ボーカルのSigrid Hausen。この3人は、エスタンピーのほかQntalというバンドも組んでいるんですが、エスタンピーがアコースティックなのに対し、Qntalの方は電子楽器を使って古楽を演奏しております。同じ古楽バンドなんですが、アプローチの違いで二つの名

    Estampie "Fin Amor" (2002) - 世界音楽ぶらり旅
  • Moon Far Away "Belovodie" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    北国ロシアのさらに極北の都市アルハンゲリスク。大天使(アルハンゲル=アークエンジェル)の名を戴くこの町を拠点に、天使のような美しい音楽を作り出しているバンドがMoon Far Away。ネオフォークとかゴシックフォークなどと分類されていますが、要はフォークソングに電子楽器など現代的な要素を取り入れて神秘性を高めた音楽です。 1stは未聴、2ndはちょっと演出過多であんまり好きじゃなかったんですが、この3rdアルバムはロシアンフォーク路線になって私好みの音になりました。ロシア北部の民謡に材をとった素朴なメロディを、ハイトーンの女性ボーカルがあくまで美しく歌っています。ロシア民謡のほか、中世・ルネサンス期の宗教音楽の要素も入っているよう。 アルバムタイトルのBelovodieとは、ロシア語で「白い湖の国」という意味。ロシアの民話に出てくる伝説の理想郷の名だそうです。 動画はアルバム4曲目の"Z

    Moon Far Away "Belovodie" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Noe Venable "Down Easy" (2000) - 世界音楽ぶらり旅

    Noe Venableは1976年生まれ、故郷サンフランシスコを拠点に音楽活動を繰り広げてきたフォークシンガーにしてソングライター。現在までに6枚のアルバムをリリースしており、2004年には永年過ごしたサンフランシスコを離れブルックリンに転居したとか。 2000年の"Down Easy"は自らギターを弾き語り、ヴァイオリンのAlan Lin、コントラバスのTodd Sickafooseとのトリオで演奏したアコースティック・ライヴアルバム。しっとりとしていて落ち着いたいいアルバムです。美しいメロディにちょっとハスキーぎみの声がまたいいんだ、これが。 いや、そんなことはいいから、いったいこのジャケットは何なのか、と聞きたい人もいるでしょうが、それは私にもわかりません。ディスコグラフィーをみても、この方のアルバムは曲のイメージ通り、モノトーンの写真を基調にした落ち着いたジャケットがほとんどなので

    Noe Venable "Down Easy" (2000) - 世界音楽ぶらり旅
  • Alasdair Fraser & Natalie Haas "In The Moment" (2007) - 世界音楽ぶらり旅

    Alasdair Fraserは1955年生まれで80年代初め頃から活躍しているスコティッシュ・フィドルの名手。スコットランド出身で、今はカリフォルニアに住み、自身のレーベルからケルト音楽のCDを出しています。最近はチェロのNatalie Haasと組んで何枚かのCDを出してるんですが、このアルバムもその中の一枚。 ケルト音楽のフィドル奏者というと、なんとなく若いお姉さまが颯爽と弾いているというイメージがあるんですが、この方は髭のおっさん。まあ見てくれは今ひとつなんですが、フィドルの腕は確かで、若いアイドル系フィドラーなど及びもつかないほど表現力豊かで素晴らしい演奏を聴かせてくれています。まさに達人の技。 むしろフィドラーっぽい容姿なのはチェロのNatalie Haasの方。見ての通りの美女であります。1984年カリフォルニア生まれだから、年齢はAlasdair Fraserの半分以下です

    Alasdair Fraser & Natalie Haas "In The Moment" (2007) - 世界音楽ぶらり旅
  • maléfices "Deux Demis" (1995) - 世界音楽ぶらり旅

    マレフィスを知っていますか? メンバーは、ボーカルと作詞を担当する北上リュンヌと、作曲、ギター、プログラミングを担当する鴨志田琢の2人。北上リュンヌは幼少期から日とフランスを行ったり来たりしながら育ち、鴨志田琢もまた東京、カイロ、パリと転々として育ったという経歴の持ち主。二人はパリの大学在学中に知り合って音楽活動を始めたとのこと。その音楽は日人離れしていて、エスニック風でもありフレンチポップ風でもある不思議なサウンド。さらにボーカルのリュンヌ嬢はフランス語、英語、日語を駆使して、ときには優しく、ときにはエキセントリックに、表現力豊かな歌声を聴かせてくれます。どの国の音楽ともいえないけれど、決して寄せ集めというのではなく、迷いのないしっかりとした芯のある音楽。タイプは全然違いますが、以前紹介したカーボベルデのマイラ・アンドラーデなどと同じような、漂泊者の音楽といっていいでしょう。当時も

    maléfices "Deux Demis" (1995) - 世界音楽ぶらり旅
  • Irfan "Seraphim" (2007) - 世界音楽ぶらり旅

    Ethereal waveとかdark waveとかいうジャンルに分類されるバンドらしいです。よくわからないんですが。公式サイトにも、Neoclassical / World Music / Sacred Music / Ethereal Music / Heavenly voicesといろいろ書いてあるので、人たちも分類しかねているんだと思います。 バンド名のイルファンとは、アラビア語、ペルシャ語で「知ること」を意味し、同じ意味のギリシャ語である「グノーシス」と同じく神秘主義的な意味合いがあるそう。ブルガリアやバルカン半島、中東に至るまでの民族音楽をベースにした楽曲を、神秘的でドラマチックな演奏で聴かせてくれます。 ボーカルで呪術的な歌声を聴かせてくれるのはDenitza Seraphimova(現在は産休のためお休み中で、Vladislava Todorovaというブルガリア民謡の歌

    Irfan "Seraphim" (2007) - 世界音楽ぶらり旅
  • Kroke "The Sounds Of The Vanishing World" (1999) - 世界音楽ぶらり旅

    ジャケットが怖いです(笑)。 Krokeはポーランドのクレズマー・バンド。クレズマー音楽というのは、東欧系ユダヤ人(アシュケナージ)の音楽で、ユダヤ民謡とトルコやギリシャの民謡、さらには東欧の民族音楽をも混ぜあわせてできあがった無国籍風な音楽。中近東風でもありヨーロッパ風でもある不思議な旋律の音楽です。ロマ(ジプシー)音楽ともかなり融合が進んでいて、はっきりいってどこが違うのか素人には区別つきません。 Krokeはポーランド南部の旧都クラクフで1992年に結成されたバンド。Krokeという名前は、クラクフのイディッシュ語での呼び方です。ヴァイオリン、アコーディオン、コントラバスの3人編成が基で、場合によってゲスト演奏者が参加する構成です。 Krokeが演奏するのは、クレズマー音楽をベースにジャズやロックなどの要素も取り入れた多彩な音楽。最近のアルバムでは、クラシック・ヴァイオリンの異端児

    Kroke "The Sounds Of The Vanishing World" (1999) - 世界音楽ぶらり旅
  • Flook "Haven" (2005) - 世界音楽ぶらり旅

    ケルト音楽といえばフィドルが主役になることが多いのだけれど(フィドル4をメインに据えた"Fiddlers' Bid"なんてグループもいるほど)、あえてフィドルをメンバーに加えず独自の道を行くのがこのバンド、フルックです。 笛2(フルートとティン・ホイッスル)にギターにバウロンという編成から繰り出されるのは、グルーヴ感あふれる超絶技巧のアイリッシュ・チューン。フルートというと柔らかくて暖かいという印象があるけれど、このバンドの演奏を聴けばそのイメージは覆されるはず。こんなに攻撃的なフルートは初めて聴きましたよ! 聴いたことがない人はぜひ一度聴いてみてほしいバンドのひとつです。フルートでこんなことができるんだ! とたぶんびっくりするはず。 "Haven"は、"Flatfish"、"Rubai"に続く3rdアルバム。アップテンポな曲の技巧も素晴らしいけれど、スローな曲でも見事に情感豊かに息の

    Flook "Haven" (2005) - 世界音楽ぶらり旅
  • Chalga "Sabir" (2006) - 世界音楽ぶらり旅

    ヨーロッパには、LunasaとかL'ham de Focとか、伝統楽器を使って疾走感あふれるかっこいい演奏を聴かせてくれるバンドがいくつかあるけれども、ハンガリーから現れた新顔がChalgaというバンド。 「チャルガ」という名前は、もともとは音楽のジャンル名で、ジプシー音楽やバルカン半島、トルコの音楽を混ぜ合わせたブルガリアの流行音楽のこと。そしてアルバムタイトルの"Sabir"(サビール)とは、地中海沿岸で交易用に使われた言語の名前で、イタリア語を土台にして、アラビア語、ペルシャ語、ギリシャ語、フランス語などの単語を混ぜ合わせた混成語(リンガ・フランカ)を意味しています。 こうした名前が示すとおり、東欧の音楽にイタリアから、ギリシャ、ペルシャへと至る地中海沿岸の音楽を混ぜ合わせてポップな香りを振りかけたのが、Chalgaの音楽というわけ。 使われる楽器は、サックスにフルート、フィドル、ベ

    Chalga "Sabir" (2006) - 世界音楽ぶらり旅
  • Flёur "Волшебство" (2003) - 世界音楽ぶらり旅

    最近のいちばんのお気に入りが、Flёurというウクライナのバンド。 Flёurは、ウクライナのオデッサで2000年に結成されたアコースティックバンド。フルート、ピアノ、ヴァイオリン、ギター、チェロ、コントラバス、ドラムといった室内楽の楽器をバックに、オルガ(ボーカル、ピアノ)とエレナ(ボーカル、ギター)という二人の女性ボーカルが1曲ごとに交互に作曲して歌うというちょっと変わった形式のバンドです。 メランコリックで美しいメロディに、消え入るように儚い歌声。一度聴けばたちまち、耽美的で叙情的な薄明の世界にひたれます。最近のアルバムではポップな色調も加わってくるのですが、この2ndアルバムの頃の楽曲は東欧トラッド的なほの昏い味わいが強く、私としては初期の方が好み。 Flёurのアルバムはフランスのゴシック/フォーク系レーベルPrikosnovenieからも出ていますが、微妙に曲数が少なかったりす

    Flёur "Волшебство" (2003) - 世界音楽ぶらり旅