一昨日調査で訪れた高知県檮原町。調査後、役場のAさんと飲んでいたとき、宮本常一の話が出たので驚いた。 「宮本常一は、ここで何書いたと思うよ。土佐源氏ちゅう、艶っぽい色恋話を書いたんよ。」とうれしそうに話された。 宮本常一の代表作「土佐源氏」の舞台が、土佐・四万十川の源流に位置するこの檮原町(当時は檮原村)なのだと。 宮本常一は、昭和30年頃、檮原村の橋下の粗末な小屋に住む盲目の老人から、その一生について聞き取り、老人の語り言葉そのままに書きしるした。 夜這いの子としての少年時代、馬喰(牛の仲買)としての綱渡りの生活、様々な女性との遍歴、(数々の悪事がたたったのか)盲目になり、最後は散々粗末に扱ってきた妻の元に戻ったこと。そんなことが生々しく、そして生き生きと書かれている。 「忘れられた日本人」に収められた話の中で一番印象に残っていたが、まさかここの話だったとは。 「人の見のこしたものを見る