2018年度の上半期、ジャズの世界に1枚のヒットアルバムが現れました。Amazon「ジャズ・フュージョン部門」の総合第1位に輝いた日もあるそのアルバムとは「へたジャズ! 昭和戦前インチキバンド 1929-1940」。昭和初期に発売された、演奏が破綻しているジャズバンドのレコードを復刻したオムニバスです。いったいなぜ稚拙な演奏のジャズがいまこれほどまでに高い支持を得たのか。そしてこの半年間に巻き起こった「賛否両論」とは。このアルバムを制作した保利透(ほり・とおる)さんにお話をうかがいました。 発売前から抗議が殺到! 「『へたジャズ!』というタイトルをつけたときから、批判される覚悟はありました。そして実際にCDが発売される前から抗議が殺到していました。タイトルが刺激的ですから、わからなくもない。ただ『制作者の民度が低い』とまで言われた日には、さすがに僕も心中穏やかではいられなかったですね」(保