→紀伊國屋書店で購入 「劇評家の作業日誌 (46)」 1976年に野田秀樹とともに創設し、やがて80年代の若者文化をリードした超人気劇団・夢の遊眠社の元プロデューサーによる回顧録である。著者の高萩宏は現在、東京芸術劇場の副館長を務めるが、本書では92年に人気絶頂のまま解散した遊眠社時代までが語られる。 著者は劇団解散の少し前の89年に劇団から離れた。大学を卒業してから数年間、紀伊國屋書店の洋書営業のサラリーマンを勤め、80年に26歳で出戻ってから、彼は10年近く劇団の成長と発展に力を尽くした。 この本を読みながら、わたしは1980年代という時代のことを思い返していた。今ではバブリーな時代として語られることが多くなったが、実際にその渦中にいた者が何を考え何に直面していたかが記述の底から浮かび上ってくる。それは一劇団の「サクセスストーリー」を綴るにとどまらず、もっと大きな時代のうねりが活写され