個人の預金残高ではない。会社の預金残高である。 ウェブクルーの経営が軌道に乗った頃、当時まだ株主だった僕は、ある用件があり、渡辺さんを訪ねて社長室にお邪魔したことがある。 「あの頃のことを忘れないように、自分に対する戒めとして、当時の預金通帳のコピーを机の前に貼っているんですよ(笑)」。 そう言って、ウェブクルーを創業する前に経営していた会社の銀行口座の残高が、「2万円」になってしまった時のことを話してくれた。 インフォプラント創業者の大谷さんは、2000年1月、VCからの資金が払い込まれる直前、会社の預金残高が「20万円」だったという。 ふたりとも今では大金持ちだが、そういう辛酸をなめて今日に至っている。 僕は、会社の預金残高は覚えていないが、1ヶ月後に「400万円」の支払いが待っているのに、そのお金がない(売掛金もない)ということがあった。 奇跡的に仕事を取り、見積もりの半分を前金でも