ブックマーク / www.webchikuma.jp (15)

  • 「天才的なアイドル様」に寄せて|愛のある批評|西村 紗知|webちくま(1/4)

    2023年12月31日の紅白歌合戦で、YOASOBIアイドル」のパフォーマンスが大きな反響を呼びました。その直前に初の批評集『女は見えない』を上梓した西村紗知さんは、この演出ではじめて「アイドル」という曲が理解できたと言います。芸能界に急激な変化が訪れるなかで求められる、真の「天才的なアイドル様」とは誰なのか? ここ数カ月のニュースを思い出しつつお読みください。 1.昨年末から最近にかけての話 故・ジャニー喜多川元ジャニーズ事務所社長による性加害問題に関する報道が格的に過熱して以降、芸能界のハラスメント問題が世間を騒がせ続けている。昨年9月に宝塚歌劇団の団員が亡くなった件で、当初の方針から一転、親会社の阪急阪神ホールディングスはパワハラなどがあったことを認め、遺族側へ謝罪する意向を固めたという。ジャニーズ、歌舞伎界、宝塚に続き、お笑い界にもこの流れは及んでいる。昨年12月27日には「週

    「天才的なアイドル様」に寄せて|愛のある批評|西村 紗知|webちくま(1/4)
  • 第1回 はじめに――「坂本龍一」と私|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま

    比類なき輝きを放つ作品群を遺すとともに、「脱原発」など社会運動にも積極的に取り組んだ無二の音楽家、坂龍一。その多面的な軌跡を「時代精神」とともに描き出す佐々木敦さんの新連載、始まります。 2023年4月2日日曜日の夜9時過ぎ、私は新宿某所で夕を摂っていた。 ふとスマートフォンに目をやると、契約しているニュース・アプリから通知が届いていた。そこには「坂龍一の死」が報じられていた。私はスマホから一瞬目を逸らし、小さく深呼吸をしてからもう一度、その画面を凝視した。 見間違いではなかった。坂龍一が、坂さんが、逝ってしまった。記事には数日前の3月28日に亡くなったとあった。享年71。がんとの闘病が伝えられていたとはいえ、早過ぎる死というほかない。私は突然の訃報に接した動揺と、ずいぶん前から覚悟していた時がいよいよ訪れたのだという、どこか穏やかでさえある気持ちの両方を感じていた。不思議なほど

    第1回 はじめに――「坂本龍一」と私|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま
    songsfordrella
    songsfordrella 2023/07/13
    これは楽しみ。仕事が終わったら腰を据えて読もう。
  • ゲイカップルが家族を築いていくということ|単行本|木津 毅|webちくま

    社会が大きく変化していくなかで、性的マイノリティをめぐる言説もまた大きく揺れ動く昨今。この記事では、「おっさん好きのゲイ」という立場からこれからの「父性」「男性性」を考える一冊『ニュー・ダッド―あたらしい時代のあたらしいおっさん』に収録された文章を公開します。ゲイカップルが「家族」となり、「父親」となることのリアリティ、そして可能性を語ります。 日では同性カップルが子どもを持つための制度が整備されていない 僕は自分の人生においてほぼほぼ諦めていることがあって、それは文字通りの意味での「ダッド」……「父」になることだ。なぜなら、僕はゲイだから。いや、ヘテロ男性だって大勢、経済的な問題から「父」になるのを諦めているような時代だけれど、やっぱりそこは、ゲイであることも別のレイヤーとして絡んでくる。 もちろん海外においては、同性カップルが子どもを迎えられる制度や法律があることは知っている。けれど

    ゲイカップルが家族を築いていくということ|単行本|木津 毅|webちくま
  • おっさん嫌いのおっさん好きに捧ぐ本|単行本|柚木 麻子|webちくま

    ゲイの立場から、これからの時代の「父性」「男性性」のあり方を真面目に、ときめきながら考える一冊『ニュー・ダッド』。書を小説家の柚木麻子さん(『ついでにジェントルメン』『BUTTER』ほか)に読み解いていただきました。(PR誌「ちくま」8月号より転載) 映画やアニメに出てくる、中年のくたびれた刑事や渋いパパは大好きで白髪や皺や丸いお腹にさえときめくのに、現実社会にいる権力を振りかざす「おっさん」は大嫌い。 書はアップデートを願うおっさん当事者はもちろんのこと、そんなフィクションに登場する中年男性のみ愛している、おっさん嫌いなおっさん愛好家に、ぜひ読んでもらいたい一冊だ。なにしろ、著者の木津毅さんは類まれなるおっさん好きである。とはいえ、彼が熱い視線を向けるほとんどが欧米のフィクションの登場人物やミュージシャンや俳優。日のカルチャーとなると、『おっさんずラブ』の吉田鋼太郎演じる上司にきび

    おっさん嫌いのおっさん好きに捧ぐ本|単行本|柚木 麻子|webちくま
  • やさしく、冷たい人間関係…「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音|ちくまプリマー新書|石田 光規|webちくま(1/3)

    「他人と深い関係を築けなくなった」と感じる人が増えています。「人それぞれ」という言葉が象徴する相手との距離をとろうとする人間関係のありかたや、「人それぞれ」の社会に隠れた息苦しさ――『「人それぞれ」がさみしい』(ちくまプリマー新書)が刊行されました。この記事では書の内容を一部お届けします。音で意見を交わすことも、ぶつかり合うことも難しい現代の背景にあるものとは? ある会話から おしゃれなカフェでふたりの女性が話しています。友だちどうしでしょうか。 「わたし、このまま結婚しないでいようと思うんだ」 「ふ〜ん、どうして」 「なんだか結婚って息苦しいし、このまま一人のほうがラクだなって……」 「そっか〜、ま、人それぞれだもんねぇ」 次に、とある大学の授業を覗いてみましょう。どうやら討論形式の授業をしているようです。 「今日のテーマは『私たちはオンラインの環境を制限した方がよいのか』です。グル

    やさしく、冷たい人間関係…「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音|ちくまプリマー新書|石田 光規|webちくま(1/3)
  • 第11話 遠藤ミチロウさんのこと|ぼくはこんな音楽を聴いて育った・東京編|大友 良英|webちくま

    連載2年近くもサボってしまいました。待っててくれたみなさん、当に当にごめんなさい。今更続きっていっても、こんなヨタ話だれも期待してないかもですが、興味のある方は、お付き合いいただければ幸い。とはいえ、しばらく間があいてしまったんで、編に入る前に、脇道にそれます。いろいろ自分の中では書かねばならないこともたまってきてるんで、すいません、しばらくの間、今現在のことを書かせてください。書きながら、少しずつ過去に行ったり来たりしながら連載の話にもどって行きますね。ということでまずはミチロウさんのことを。 ――――――――――――― 遠藤ミチロウさんが亡くなってしまった。亡くなったのは2019年4月25日だけれど、発表自体は令和が始まる5月1日。ぼくらにとって令和はミチロウさんの欠落で始まったことになる。ミチロウさんらしいタイミングだなと思った。 ミチロウさんと出会ったのは2005年11月。紹

    第11話 遠藤ミチロウさんのこと|ぼくはこんな音楽を聴いて育った・東京編|大友 良英|webちくま
    songsfordrella
    songsfordrella 2021/07/31
    “帽子はね、かぶり続けることですよ、大友さん。自分の皮膚のようになるまで”
  • 最終回 パンデミックとアメリカ音楽|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/3)

    トランプ後のアメリカ音楽はいかなる変貌を遂げるのか――。激変するアメリカ音楽の最新事情を追い、21世紀の文化政治の新たな地図を描き出す! 2020年、COVID-19(coronavirus disease 2019)と名付けられた感染症が世界を席巻した。アメリカでは3月に入ってから症例数が急増し、多くの州で緊急事態宣言が発せられた。一日あたりの感染者数も4月中旬の3万人台を第一波のピークに6月には2万人前後にまで減少したものの、7月下旬に7万人近くまで増加すると秋口に微減したのちに11月以降さらに急増し、2021年1月には1日の感染者数が30万人に到達した。もちろん、検査数が一定ではないので感染者数のみを比較してもあまり意味はないが、新型コロナウィルス感染症によるアメリカ合衆国の死者は2021年2月7日の時点で46万人を超えており、このパンデミックの被害をもっとも大きく受けた国のひとつ

    最終回 パンデミックとアメリカ音楽|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/3)
  • 「美術史」のアヴァンギャルド|ちくま学芸文庫|佐藤 道信|webちくま

    美術史研究のあり方を変えた『眼の神殿』がこのほど文庫化しました。文庫版解説として、東京藝術大学教授・佐藤道信氏が、このが最初に刊行された時の時代状況と、制度論的研究の射程についてお書きくださっています。 私は戦後の日美術史をめぐる著作のなかで、辻惟雄『奇想の系譜』(美術出版社、1970年、ちくま学芸文庫、2004年)と北澤憲昭『眼の神殿』(美術出版社、1989年)の二書は、歴史に残る二大著作だと思っている。前者は半世紀にわたってまったく色あせることなく読みつがれ、後者も30年間、近現代日の「美術」「美術史」「美術史学」の基設計図を示した名著として読み継がれている。辻先生は大学時代の私の恩師、北澤さんは同書以後研究を共にしてきた畏友中の畏友で、この二人と出会えたことは、私の研究人生で最大の幸運と幸福だった。もう一人恩人をあげるなら、私たち二人の各著書をサントリー学芸賞に選出してく

    「美術史」のアヴァンギャルド|ちくま学芸文庫|佐藤 道信|webちくま
  • 「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|大塚 英志|webちくま(1/4)

    5月4日、厚生労働省が新型コロナウィルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました。感染対策のために、「手洗いや消毒」「咳エチケットの徹底」といった対策を日常生活に取り入れることだけでなく、会話や事、働き方など様々な領域における行動について指針を示しています。 この「新しい生活様式」という言葉から、戦時下に提唱された「新生活体制」を想起するという大塚英志さんに、エッセイを寄せていただきました。 テレビの向こう側で滔々と説かれるコロナ下の「新しい生活様式」なる語の響きにどうにも不快な既視感がある。それは政治が人々の生活や日常という私権に介入することの不快さだけではない。近衛新体制で提唱された「新生活体制」を想起させるからだ。 かつて日が戦時下、近衛文麿が大政翼賛会を組織し、第二次近衛内閣で「新体制運動」を開始。その「新体制」は、経済、産業のみならず、教育文化、そして何より「日常」に及ん

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  • 聴こえない旋律を聴く|聴こえない旋律を聴く|岡﨑 乾二郎|webちくま(1/5)

    1 芸術作品が普遍性を持つかどうか、という問いがある。それは不可能な願望にちがいないが、ひとつ言えることはある。 ある作品が制作され、その時代のなか、人々のなかで一定の意味を与えられ理解されている。が、この時代が去っても、つまり別の時代、別の場所に置き換えられても、必ずしもその作品は意味を完全には失わない、理解できないものとはならない。この別の時代、場所においても理解されうるもの、受け取られうるものに、普遍性と呼ばれてきたものは近いだろうということである。 椅子に座っている少女がいて、竪琴を弾いている。つま先だけ地面につけ、踵は浮かせている。少女は地面を見つめている。一方、少女から少し離れたところに青年が立ち少女を見つめている。けれど少女は青年に気づいている様子はない。少女の視線の先、足の先にいるのは小鳥である。小鳥はどうやら青年の存在に気づき、そっとその衣にくちばしを寄せるように近づいて

    聴こえない旋律を聴く|聴こえない旋律を聴く|岡﨑 乾二郎|webちくま(1/5)
  • 日本にとって有益で、立憲民主党には不利益な本|ちくま新書|枝野 幸男|webちくま

    参議院議員選挙が迫ってきました。 『武器としての世論調査』では、各社の世論調査を総合・平均し、選挙前に野党の支持率が一時的に上がる現象――”選挙ブースト”を詳しく分析しています。野党はこの現象をどう捉えているのか。一時的な上昇を力強い流れにすることは可能なのか。 立憲民主党代表で衆議院議員の、枝野幸男氏による書評です。 いま、非常に複雑な気持ちです。これまで私は、ツイッターやnoteで発表される三春充希さんの世論分析を戦略立案の参考にしてきました。このの内容が広く知られると、そのことの優位性が失われてしまう。世論調査の正しい見方が広まることは、政治や民主主義にとっては良いことなのですが……。痛し痒しというところです。それくらい、三春さんの分析は貴重な資料です。 書第Ⅱ部の、衆院選の得票率をもとに市区町村ごとの政党支持率を地図にする研究は面白いですね。私にとって、街頭演説は有権者一人ひと

    日本にとって有益で、立憲民主党には不利益な本|ちくま新書|枝野 幸男|webちくま
  • 7.ケンドリック・ラマーと黒のグラデーション|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/4)

    トランプ後のアメリカ音楽はいかなる変貌を遂げるのか――。激変するアメリカ音楽の最新事情を追い、21世紀の文化政治の新たな地図を描き出す! 2016年2月15日。ロサンゼルスで開催された第58回グラミー賞授賞式におけるケンドリック・ラマーのパフォーマンスは異様な雰囲気に包まれた。 俳優ドン・チードルの紹介に続いてステージが暗転すると、ケンドリックを先頭に手足を鎖に繋がれた数人の黒人が現れる。舞台には牢獄のセットが組まれ、両脇の鉄格子の中にはサックスを演奏する囚人もいる。鎖を付けたままマイクの前に立ったケンドリックは、大音量のバンド演奏とともに〈ザ・ブラッカー・ザ・ベリー〉をラップし始める。曲の後半、鎖をちぎったダンサーたちが激しい踊りを繰り広げ、暗闇の中で囚人服のスケルトン模様が蛍光色に発光する。するとステージが転換し、今度は中央に設置された巨大なかがり火を囲むようにアフリカを思わせる部族

    7.ケンドリック・ラマーと黒のグラデーション|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/4)
  • round.5 平成31年度東京大学学部入学式 祝辞(上野千鶴子)|フェミニスト両手ぶらり旅|金田 淳子|webちくま

    漫画・アニメ・小説ゲーム……さまざまな文化表象に、萌えジャージにBLTシャツの粋なフェミニストが両手ぶらりで挑みます。うなれ、必殺クロスカウンター!! (バナーイラスト・題字:竹内佐千子) 今回の「フェミニスト両手ぶらり旅」の題材は、私がそれなりに知っている人(恩師)の発言なので、厳密には「両手ぶらり」(ノーガード)で挑んでいるわけではない。 とはいえ、私は上野千鶴子ゼミでは他の追随を許さぬ不良学生(※不良債権という意味)だったので、面目なくて数年間お会いできていない。ここ半年間に至っては、「刃牙」シリーズという、上野先生が一生ぜったいに読まないであろう格闘マンガのことしか考えられない廃人になっている。 そういうわけで、上野先生が今年の東大の新入生に対して祝辞を述べ、それが話題になっているというニュースは、私にとってなにか「急に内側に入って来た」という感じがあった。 さっそく祝辞のページ

    round.5 平成31年度東京大学学部入学式 祝辞(上野千鶴子)|フェミニスト両手ぶらり旅|金田 淳子|webちくま
  • 【第49回】人が死ぬこと|遠い地平、低い視点|橋本 治|webちくま

    西城秀樹が死んだ。六十三歳だった――というニュースを聞いたら、朝丘雪路が死んだ、星由里子が死んだというニュースも続いて、テレビの『徹子の部屋』は追悼番組が立て続けになった。なんでこんなに人が死ぬんだろうと思ったら、平成三十年の五月は、平成が終わる「最後の一年」に突入した時期だった。今上天皇の退位はあらかじめ決まっていて、なんとなく平成は自動的に終わるもんだと思っていたけれど、人が立て続けに死んで行くニュースに接して、改めて「あ、一つの時代が終わるんだ」と思った。 七年前、東日大震災が起こった二〇一一年にも人が死んだ。有名人が立て続けに死んだというのではなくて、年老いた親の世代が死んで行った。私の父親が死んだ。友人の父親、あるいは母親が死んだ。やたらと葬式の通知、年賀状辞退の通知が届いた。「なんか、今年葬式多くない?」と友達に言ったら、「多いよね」という答が返って来た。 意外と人は「時代の

    【第49回】人が死ぬこと|遠い地平、低い視点|橋本 治|webちくま
  • 6.チャンス・ザ・ラッパーとシカゴの政治/文化|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/5)

    トランプ後のアメリカ音楽はいかなる変貌を遂げるのか――。激変するアメリカ音楽の最新事情を追い、21世紀の文化政治の新たな地図を描き出す! 2015年12月、ある映画をめぐってアメリカの二人のアーティストが論争を繰り広げた。『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)や『マルコムX』(1992)の監督として知られるスパイク・リーの作品でシカゴを舞台にした『シャイラク』が公開された際、同市出身のヒップホップミュージシャン、チャンス・ザ・ラッパーがSNS上で噛みついたのだ。 「シカゴ出身のひとりとして個人的に言わせてもらえれば、僕たちは地元でこの映画を支持していない」「あんなものはここではまったく愛されていない。滑稽な作品だし、あれをサポートしようと言っているのは地元の人ではない」「あの作品を作った連中は “命を救う”ためにそうしたわけじゃない。搾取しているし、問題のある作品だ」「しかも、女性たち

    6.チャンス・ザ・ラッパーとシカゴの政治/文化|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/5)
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