この問題にはかなり色々な反響が寄せられた。批判(まあ罵倒のようなものも含めて)があるが、どれも、統計的な証明(としての科学的な証明)は個別事例(この状況にある私)を絶対的に拘束しないという本論の趣旨に向けられたものではなかった。とすると、批判は主に二つの観点からなされることになろう。 それは本論でも取り上げたが、手段の有効性の比較の問題である。ほかにとりうる有効な手段が予測できるのに、それが採用されないまま、科学的証明のない療法に没頭するのは不適切というものだ。これはすでに本文中でも認めているように、私も同意する。そしてその有効性の評価をする有効な手段が科学であるというのにも同意する。 しかし問題は、そういう有効だと思われる手段が尽くされてもなお効果が見られないときに代替的手段がとられる場合、それは妥当かというものだ。もしくはそうした有効な手段と平行して代替的手段を採用するのは妥当かという