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ブックマーク / realsound.jp (72)

  • 菊地成孔×荘子it『構造と力』対談 「浅田彰さんはスター性と遅効性を併せ持っていた」

    浅田彰『構造と力 記号論を超えて』(中公文庫) 1980年代のニュー・アカデミズムを代表する一冊『構造と力 記号論を超えて』が中公文庫で文庫化され、大きな反響を呼んでいる。批評家の浅田彰がドゥルーズなどのポストモダン・現代思想を明晰に体系化した同書は、1983年の初版刊行当時、社会現象になるほどの大ベストセラーとなった。 40年ものあいだ読み継がれてきた名著の文庫化にあたって、リアルサウンドブックでは、音楽家・文筆家の菊地成孔氏とDos Monosのラッパー・トラックメイカーの荘子it氏が書について語り合う対談を行った。菊地氏は2003年、自身が主催するバンド・DC/PRGで『構造と力』と題するアルバムを発表するなど、浅田氏から影響を受けている。荘子it氏は、学生時代に菊地氏の著作などから遡る形で書『構造と力』を知って、読み耽ったのだという。第一線の音楽家の二人は、書をどのように読ん

    菊地成孔×荘子it『構造と力』対談 「浅田彰さんはスター性と遅効性を併せ持っていた」
    stonedlove
    stonedlove 2024/06/10
    浅田彰『構造と力』、当時ご多分に漏れず買いました。大学では文学研究会に入った。うまく説明できないけどヴィオラントな何かがあった。
  • 【連載】速水健朗のこれはニュースではない:出生率とポップミュージック

    ライター・編集者の速水健朗が時事ネタ、映画音楽について語る人気ポッドキャスト番組『速水健朗のこれはニュースではない』との連動企画として、最新回の話題をコラムとしてお届け。 第3回は、外国人観光客が増えていることでも話題となっているクルマ好きの聖地・大黒ジャンクションの話から、80年代の婚姻率や出生率に影響を与えたであろう文化について考える。 『速水健朗のこれはニュースではない』ポッドキャストはこちら 大黒ジャンクションの『頭文字D』と『湾岸ミッドナイト』 『頭文字D』 首都高速神奈川5号と湾岸線が合流する場所が大黒ジャンクション。そのパーキングエリアは、クルマ好きの聖地。昨今は、そこに集まるめずらしいクルマ目当ての外国人観光客も増えている。走り屋文化には、法の外側をオーバーステアしていくところがあり、なかなかにハイコンテクストだが、昨今の海外からの日文化への理解はその辺りの機微も織

    【連載】速水健朗のこれはニュースではない:出生率とポップミュージック
  • “サブベース”がポップスで果たす役割 ビリー・アイリッシュ、ジェイムス・ブレイクなどから考察

    あるいは、アリアナ・グランデの最新作『thank u, next』に目を向けても、いかにトラップのプロダクションが彼女のようなシンガーの楽曲にまで影響を与えているかは明白だ。リード曲の「thank u, next」では、うねりながら上下するベースラインが時折驚くような低さに向かっていく。 ビリー・アイリッシュ『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』 さて、こうした“北米標準”と比較してみたいのが、ロサンゼルス出身の新世代のポップアイコンとして注目を集めるビリー・アイリッシュだ。カジュアルな装いのなかにゴスやホラーのエッセンスを散りばめた人の佇まいは、それだけでも異質な存在感を放っている。感情を抑制するかのような繊細な起伏を見せる歌声と、歌詞を通して描かれるメランコリーもカリスマ的だ。 彼女の楽曲では、サブベースと呼ばれるとても低い周波数帯のサウ

    “サブベース”がポップスで果たす役割 ビリー・アイリッシュ、ジェイムス・ブレイクなどから考察
  • GAUZEの解散は世界にとっても大きな損失だーーISHIYAが綴る、偉大なハードコアパンクバンドの功績

    GAUZEの解散は世界にとっても大きな損失だーーISHIYAが綴る、偉大なハードコアパンクバンドの功績 2022年の音楽界で、個人的に一番衝撃を受けたニュースといえば、日で最初のハードコアパンクバンドでありながら、40年以上現役で活動し続けてきたGAUZEの解散だ。 11月も終わりに近づいていたある日、筆者がボーカルをやっているDEATH SIDEの東欧オーストリアとセルビアのツアー中に、この信じられないニュースが入ってきた。 その一報はTwitterのGAUZEオフィシャルサイトのツイートだった。 「GAUZE解散の報告 現メンバーになって以来、一人でも脱退したら解散と決めていましたが、この度それが現実となってしまった為、日GAUZEは解散する事になりました。」 こう書かれていただけで、誰が脱退したのか、何があったのか全くわからない。これを見た瞬間に「GAUZEが解散したらしい」と、

    GAUZEの解散は世界にとっても大きな損失だーーISHIYAが綴る、偉大なハードコアパンクバンドの功績
  • よしながふみ原作『大奥』、NHKドラマ10で2023年放送 脚本は森下佳子が担当

    『大奥』は、3代将軍・徳川家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いてセンセ ーションを巻き起こした物語。ジェンダー、権力、病など、現代社会が直面する課題を大胆な世界観で鮮やかに描いた。 これまで、2010年の映画『大奥』、2012年のテレビドラマ『大奥~誕生[有功・家光篇]』(TBS系)、その映画化となる『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉編]』と3度映像化されてきた。 過去3作は各時代ごとの映像化だったが、3代将軍・家光編から物語のラスト・大政奉還までの物語を映像化するのは今回が初めてとなる。 脚は、『JIN-仁-』(TBS系)、『ごちそうさん』(NHK総合)、『おんな城主 直虎』(NHK総合)などを手掛けてきた森下佳子が担当する。 各将軍編に登場する主要キャストは後日発表される予定だ。 ■放送情報 ドラマ10『大奥』 NHK総合にて、2023年1月

    よしながふみ原作『大奥』、NHKドラマ10で2023年放送 脚本は森下佳子が担当
  • 『輪るピングドラム』は新たな宗教哲学か 劇場版に追加された不気味な予言シーンも

    TVアニメ『輪るピングドラム』の放送から、およそ10年の時を経て、新作パートを加えた総集編として新たに構築された、『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM』前後編。後編となる『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる』の公開日、2022年7月22日の2週間前にあたる7月8日には、日で元総理大臣が演説中に銃撃されるという重大事件が起こった。 逮捕された容疑者は、「自分の母親が宗教団体の信者で、元総理が団体と親しいと知って狙った」と供述。母親の宗教団体への多額の献金によって家庭が崩壊したことが、犯行へと繋がる動機となったことが分かっている。そこから背景についての報道は加熱し、政治と宗教との長年にわたる癒着や、「宗教2世」といわれる、親がカルト的な信仰を持っている子どもたちの境遇など、これまで大々的に報じられることのなかっ

    『輪るピングドラム』は新たな宗教哲学か 劇場版に追加された不気味な予言シーンも
    stonedlove
    stonedlove 2022/08/19
    カルト2世の話なんよね、ピングドラムは。物語の根源にグッと深く突っ込んだ論考。私たちが95年のオウムを総括できなかったから、統一教会はわが国の中枢に食い込んだ。
  • 『テスカトリポカ』佐藤究×『ルポ 川崎』磯部涼 特別対談 川崎の〝流れ者〟たちが描く世界地図

    佐藤究『テスカトリポカ』(KADOKAWA) 作家の佐藤究氏とライターの磯部涼氏の特別対談をお届けする。佐藤氏は今年山周五郎賞と直木賞を受賞したクライムノベル『テスカトリポカ』(KADOKAWA)で、川崎やメキシコなどを舞台に、麻薬密売や臓器ビジネスの世界の抗争をスリリングに描いた。 ライターの磯部涼氏は、川崎の若者の貧困、ドラッグ、ヒップホップ文化などを鋭い視点から取材した『ルポ 川崎』(サイゾー)を2017年に発表し、第17回新潮ドキュメント賞の候補作に。音楽ファンだけでなく幅広い層の話題を呼び、今年には文庫化(新潮社)して刊行された。 実は今回が初対面だというお二人が顔を合わせたのは、磯部氏が勧める、川崎区のコリアンタウン・桜にあるペルー料理店「EL carbon」(https://elcarbon.jp/)で、川崎に魅了される理由やノンフィクションとフィクションの交点などについ

    『テスカトリポカ』佐藤究×『ルポ 川崎』磯部涼 特別対談 川崎の〝流れ者〟たちが描く世界地図
  • 大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」

    太平記から漫画、模型、アニメ、ボーカロイドまで、日の大衆文化の通史を一冊ので描き切った日文研大衆文化研究プロジェクトによる書籍『日大衆文化史』(KADOKAWA)。 大塚英志氏 このでは、漫画の鳥獣戯画起源論など、現代の日文化が中世や近世にルーツを持つとする説は、戦時下に政治的に必要とされて「創られた伝統」だと退けた上で、それとは別に一貫して存在してきた運動を描いていく。 「お約束」や共通前提(歌舞伎でいう「世界」)を踏まえながら新要素(同じく歌舞伎でいう「趣向」)を入れて作品が生み出されていくという、二次創作的とも言える仕組みこそが「文化」であり、それは有象無象の大衆=民俗学者の柳田國男がいう「群れとしての作者」が担ってきた、という見立てのもとで見えてきた「日」「大衆」文化史の姿とは――主筆を務めた国際日文化研究センター教授・大塚英志氏に訊いた。 『日大衆文化史』は通史を

    大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」
  • 『シャン・チー』はなぜ想像以上の成功を収めたのか 哲学的な要素と多様性のメッセージ

    マーベル・スタジオの新たなヒーロー映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が、とくにアメリカで、当初の予想を超えるヒットを記録している。マーベル・コミックのカンフー・ヒーロー作品を原作とした作の特徴は、アジア系に占められたキャスト陣とスタッフ、そして中国文化を中心に置いたストーリーだ。この新しい試みが想像以上の成功を収めた理由は、いったい何だったのだろうか。 近年、作品によって多様性を強調するメッセージを打ち出すことの多くなったアメリカ映画界において、その第一線にあるといえるのが、ディズニーであり、マーベル・スタジオであろう。これらの作品が目立つのは、莫大な製作費をかけた娯楽大作のなかで、そういったメッセージを色濃く発信しているという点だ。アフリカ系のキャストで固められた、これまでに類を見なかった超大作『ブラックパンサー』(2018年)が大きな成功を収めたように、常識を打ち破る試みが、

    『シャン・チー』はなぜ想像以上の成功を収めたのか 哲学的な要素と多様性のメッセージ
  • 日本アニメ映画史に刻まれる“傑作” 『漁港の肉子ちゃん』が描く日常におけるファンタジー

    『かぐや姫の物語』、『風立ちぬ』と、日のアニメーション映画の複数の時代を代表する高畑勲監督、宮崎駿監督、両名の巨匠の集大成といえる2作品が公開された2013年から数年の間、盛んに言われるようになったのが、「ポストジブリ」という言葉だった。国民的なアニメーション映画を生み出す、巨匠擁するスタジオジブリの役割を、どこが、誰が今後担うのかという予想が飛び交ったのである。 しかし、その種の議論は次第にトーンダウンしていくこととなる。なぜなら、その後『君の名は。』(2016年)や『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年)のように、スタジオジブリとは毛色の異なるアニメーション映画が大ヒットを記録することになったからだ。一方で、『名探偵コナン』劇場版シリーズも多くの動員を獲得している。そんな現在、『この世界の片隅に』(2016年)や『夜明け告げるルーのうた』(2017年)以来となる、作品の質とテー

    日本アニメ映画史に刻まれる“傑作” 『漁港の肉子ちゃん』が描く日常におけるファンタジー
  • 人はなぜ「させていただく」に違和感をおぼえる? 言語学者が解き明かす“敬意のインフレーション”

    「店内はマスク着用とさせていただきます」。近ごろ、町で見かけるこの貼り紙の文章に、あなたは違和感をおぼえるだろうか? 意味としては「店のなかではマスクをしてください」であると理解しつつ、どこか引っかかりを感じる人もいれば、なにが問題なのかわからない人もいるはずだ。ポイントは「させていただきます」にある。 人はなぜ「させていただく」に違和感を抱くのか。それは、どのような使われ方をしたときなのか。調査・研究し、『「させていただく」の語用論』(ひつじ書房)としてまとめたのが、法政大学の椎名美智教授だ。椎名さんの専門は言語学。「歴史語用論」という、ある言葉が時代を通じてどのように使われてきたかを論じる方法で「させていただく」を調べた。 椎名さんはなぜ「させていただく」に注目したのか。そして、どのようなことがわかったのか。話を聞いた。(土井大輔) 「させていただく」は「自分はちゃんとした人間である」

    人はなぜ「させていただく」に違和感をおぼえる? 言語学者が解き明かす“敬意のインフレーション”
  • 葛西純のドキュメンタリー映画『狂猿』2021年5月劇場公開へ 自伝の書籍化も発表

    葛西純のドキュメンタリー映画『狂猿』が2021年5月に劇場公開されることが決定し、特報映像が公開された。 デスマッチのカリスマと呼ばれるプロレスラー・葛西純。作は、葛西のデスマッチにかけた半生、半年にわたる長期欠場から、コロナ禍における未曾有の事態の中リングへの復帰を1年にわたり密着したドキュメンタリー映画。壮絶なレスラー人生を葛西と彼の人生を語る上では欠かせない人々の証言で物語る。 2019年夏ごろから悩まされていた腰椎椎間板と頚椎椎間板ヘルニアの併発により、長期欠場を決断した葛西。公開された特報映像には、緊急事態宣言明けの6月10日、“カリスマ復活の日”にリングに立つ葛西の姿が収められている。 また、Real Sound Bookにて2019年12月より連載している葛西の自伝が葛西純自伝『CRAZYMONKEY(クレイジー・モンキー)』として書籍化されることも決定した。

    葛西純のドキュメンタリー映画『狂猿』2021年5月劇場公開へ 自伝の書籍化も発表
  • 『アニメと声優のメディア史』石田美紀に訊く、女性声優が少年を演じることの意味 「ひとつの文化を形成している」

    『アニメと声優のメディア史』石田美紀に訊く、女性声優が少年を演じることの意味 「ひとつの文化を形成している」 『アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか』(青弓社)というユニークな研究書が、2020年12月21日に刊行された。女性声優が少年を演じる配役は日アニメの特徴だが、これまでのアニメや声優研究では、この論点が見落とされ続けてきた。 当たり前すぎるがゆえに、問い直されることがなかったテーマに着目した書は、少年役を演じる女性声優の歴史を紐解きながら、彼女たちの仕事がアニメ文化にもたらした影響を多義的に論じている。研究者のみならず、アニメや声優好きにも刺さる、面白くかつ画期的な1冊だ。第一部では「少年役を演じる女性声優の歴史」をたどり、第二部では「ファンとの交流と少年役を演じる女性声優」を掘り下げた『アニメと声優のメディア史』について、著者の新潟大学教授・石田美紀氏に話を訊

    『アニメと声優のメディア史』石田美紀に訊く、女性声優が少年を演じることの意味 「ひとつの文化を形成している」
  • imdkmによる新連載開始 第1回:NiziU、Moment Joonらに見る“日本(語)で歌う”意義と質の変化

    imdkmによる新連載開始 第1回:NiziU、Moment Joonらに見る“日(語)で歌う”意義と質の変化 2020年、地上波テレビ局の歌番組を見ていてふと気になったことがあった。K-POPグループが、日市場向けにローカライズされた日語バージョンではなく、韓国語(ないしは英語)のオリジナルバージョンで歌唱することが何度かあったのだ。はじめに爆発的なK-POPブームが起こった2000年代末から10年余り、日K-POP受容は、少なくとも熱心なファンや好事家を除けば、「日語にローカライズしたK-POP」が入り口になっていた。日で活動する際には日語で歌う。ようやくその状況が崩れだしたのだとしたら、きっとそれは人が思う以上に大きな変化だ。もっとも、セールスの観点から言えば、韓国語で歌唱された輸入盤もオリコンチャートの上位に当然のごとくランクインするという状況はとっくに訪れていたの

    imdkmによる新連載開始 第1回:NiziU、Moment Joonらに見る“日本(語)で歌う”意義と質の変化
  • 『羅小黒戦記』の“したたかな表現手法” 中国アニメが大規模公開される日も近い?

    今や、日で一般公開されるアニメ映画作品の数はとても多い。一般公開される作品たちのみならず、OVAの特別上映、Netflix限定配信作品なども含めると、全て把握することすら難しいほどだ。それだけ膨大な作品数がありながらも、日ではあまりお目にかかる機会が少ないのがアメリカ以外の国で制作された海外製のアニメーション映画だ。大きな賞を受賞しても、映画祭や小規模な公開となってしまうことも多い。 特に近年成長著しい中国アニメーション映画に関しては、高い評判を耳にすることはあっても、日語字幕等がある中で鑑賞できる機会はそうそうない。そんな中、日のアニメ映画ファンにも高く評価されている作品が『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』だ。公開館数127館ながらも、国内興行ランキングTOP10圏内に1カ月以上ランクインする健闘を見せている。 今作は2019年9月に『羅小黒戦記』として、在留中

    『羅小黒戦記』の“したたかな表現手法” 中国アニメが大規模公開される日も近い?
  • 荏開津広『東京/ブロンクス/HIPHOP』第13回:ストリートの成果から向き合うヒップホップの現実/リアル

    RHYMESTER『リスペクト』 …今や誰もが口にするB-BOYS この街のKING、愛してるチーム RSC   変えていくシーン 君のはいてるジーンズやプーマ、アディの理由は何? ファッションばかりじゃまだ甘い オンリーワン オリジナル マネじゃなく スニーカーに有り金はたく さらに開拓 未知の可能性 君を誘うぜ…(「B」の定義/RHYMESTER featuring CRAZY-A) 1970年、ビートニク詩人兼ミュージシャン、もしくは彼自身に倣うなら“ブルージシャン”のギル・スコット・ヘロンが「自分は医者代が払えない、白ん坊は月に/10年後にもまだ支払っているだろう、白ん坊は月に/なぁ、昨晩家賃が上がった、なぜって白ん坊が月に(拙訳)〈I can't pay no doctor bill./(but Whitey's on the moon)/Ten years from now I

    荏開津広『東京/ブロンクス/HIPHOP』第13回:ストリートの成果から向き合うヒップホップの現実/リアル
  • 伝説的音楽マンガ『TO-Y』が描いた、バンドブーム前夜の風景 パンク幻想をかきたてた「初期衝動」を振り返る

    自らの黒歴史として隠蔽したいもののひとつやふたつは誰にでもあるだろう。だがしかし、そいつを若気のいたりと恥じながら心の箪笥の奥底にしまいこんでみても、ひとたびその封印を解き、あのイントロを耳にしたり、あのページを捲ったりしたならば、若き日の青白くも熱い感情が即座に溢れ出すのを抑えきれないに違いない。たまにはそれを思い切ってカミングアウトして解き放ってみた方が清々しい気持ちになるのではなかろうか。今回はそういった「初期衝動」漫画のひとつを紹介してみたい。 『ZINGY(1)』 さて、これはパンクロックやそれをとりまくアンダーグラウンドな音楽に夢中だった田舎の中学生の私の昔話。当時、あまりの情報の少なさに飢えながら雑誌やテレビにもそういったパンク的刺激を求め続け、まぁ多少は違っていても目をつぶりちょっとでもパンク臭がするものならば即喰らいついたもんです。そんな時、あるバンド漫画が少年誌で連載開

    伝説的音楽マンガ『TO-Y』が描いた、バンドブーム前夜の風景 パンク幻想をかきたてた「初期衝動」を振り返る
  • 目黒鹿鳴館は〈地下〉と〈地上〉を繋ぐトンネルである ジャパメタ~V系バンド、聖地としての存在意義

    新型コロナ禍でライブハウスが絶体絶命なのは、言うまでもない。6月末の自粛要請解除を受け各店営業再開してはいるものの、ウイルスと共生できる奇跡の方法論は、なかなか見えてこない。ハロプロが先日、「マスク着用&常時着席&前後左右空席のお客さんに、持ち歌封印+J-POPのバラード曲を各メンバーがソロで歌う」という、3密回避ライブに果敢に挑んではいたものの、なんだろうこの徹底的な敗北感。夜明けはかなり、遠い。 それでも今年40周年の老舗ライブハウス・目黒鹿鳴館を救うべく、初ワンマンが鹿鳴館だったBABYMETAL(以下、ベビメタ)がその「聖地」での、結成10周年記念10days公演開催をアナウンスした。詳細はまだ不明だけれど、ライブハウス文化復興への強力な援軍には違いない。 言うまでもなく鹿鳴館とは、〈日におけるヘヴィメタルの聖地〉である。 市民権があったとはお世辞にも言えないジャパメタバンドたち

    目黒鹿鳴館は〈地下〉と〈地上〉を繋ぐトンネルである ジャパメタ~V系バンド、聖地としての存在意義
  • 宇多丸が語る、名著『ヒップホップ・ジェネレーション』をいまこそ読むべき理由(前編)

    2007年に翻訳版が発売され、日のヒップホップ・シーンでも大きな話題となった書籍『ヒップホップ・ジェネレーション』が、新装版となり9月16日に発売された。 ヒップホップの成り立ちと時代ごとの変遷を、さまざまな問題を抱えるアメリカ社会との関わりとともに、丹念かつドラマチックに描いた書は、ライムスター・宇多丸氏も「絶対に読んでおくべき決定的な一冊!」と絶賛していた。約10年近い歳月を経て、日を含めて世界中のヒップホップシーンが変化した中、改めて書を手に取ったとき、そこにはどんな価値が見出せるのだろうか。リアルサウンドでは、書に推薦文を寄せている宇多丸氏人にインタビューを実施。前編では、書を再読して感じたことや、この10年でヒップホップシーンがどのように変容したかについて、じっくりと語ってもらった。聞き手は、音楽ライターの磯部涼。(編集部) 宇多丸「サウス・ブロンクスの荒廃を、50

    宇多丸が語る、名著『ヒップホップ・ジェネレーション』をいまこそ読むべき理由(前編)
  • 米津玄師、King Gnu、Official髭男dism……それぞれの楽曲に含まれた“切なさ”とは何なのか 楽曲/メロディ構成を分析

    米津玄師、King Gnu、Official髭男dism……それぞれの楽曲に含まれた“切なさ”とは何なのか 楽曲/メロディ構成を分析 一応音楽ディレクターの屋号を掲げてポピュラー音楽制作業に従事している身にも関わらず普段全くと言っていいほど「J-POP」(以下、「現在流行しているメジャーな邦ポップス」としてこの語を使っています)を聴かないという体たらくの私に、リアルサウンドの編集部が与えたお題はズバリ「心の琴線に触れる切ないメロディとは何なのか、米津玄師、King Gnu、Official髭男dismそれぞれの楽曲から分析すべし」というものでした。米津玄師も、King Gnuも、Official髭男dismも、それぞれ名前だけは知っている、あるいは街なかに流れる有線放送でなんとなく耳にしているくらいのレベルの私が、そんなだいそれた原稿を書いていいものかどうか逡巡するわけですが、こうした御託

    米津玄師、King Gnu、Official髭男dism……それぞれの楽曲に含まれた“切なさ”とは何なのか 楽曲/メロディ構成を分析
    stonedlove
    stonedlove 2020/02/10
    Jポップにみられる「切なさ」を最適化する手法と技術について、慎重に言葉を選びながらその構造を鋭く分析している。示唆に富む論考。