第3章:パンク・ロックの「ルーツ」と「レシピ」とは?2:ブルースなんて、知らないよガレージ・ロックの「二重屈折」構造 『ナゲッツ』に収録されているバンド、あるいはそれ以外の60年代の「ガレージ」連中がお手本としたのは、まず最初にビートルズが先導した第一次ブリティッシュ・インヴェイジョン、つまりはマージー・ビート(日本で言うリヴァプール・サウンド)につらなる「UKのビート・バンドたち」だった。 そして濃淡はあれど、その波のなかにあるかなり多数のイギリスのバンドがアメリカのロックンロールのみならず、ブルースやR&Bから直接的な影響を受けていた。ローリング・ストーンズやヤードバーズのように、黒人音楽に没頭し、学徒としての長い道のりを真面目に歩む(あるいは、歩もうと志す)バンドも、少なからずいた――のだが、とにもかくにも「アメリカのガレージ連中」は、そんなイギリス人バンドから影響を受けた、というわ