自然科学を専門としながら、マネジメントに関する著書も著している研究者は少なくない。武田修三郎氏もその一人である。本書の発表時は東海大学の教授であったが、現在は早稲田大学で教鞭を振るっている。 『関係知』時代が幕を開けたのならば、他方には幕を閉じた「知」が存在する。それは、デカルトに端を発する近代哲学である。要素還元主義(事象を分解していけば本質にたどり着くことができるとする考え方)とも言われる近代哲学の「知」を、本書では「分割知」と呼んでいる(以前の記事「「分析」によって事象を分解した後は、「直観」によって全体を統合する」で書いたように、私がMECEに小躍りする世の中の風潮に懐疑の目を向けるようになったのは本書の影響である)。行き詰まった近代知を超える現代知は、物事を分解したりせずに、システム、コンテクスト、一連のプロセスとみなす「関係知」である。 エドワード・デミングは、品質管理の伝道者