🪷🎼二胡のための小品〜オリエンタリズム written by 小林 樹 🪷 それもがと 今朝《けさ》開けたる初花に 劣らぬ君が にほひをぞ見る と乾杯の辞を述べた。 源氏は微笑をしながら杯を取った。 「時ならで 今朝咲く花は 夏の雨に 萎《しを》れにけらし 匂《にほ》ふほどなく すっかり衰えてしまったのに」 あとはもう酔ってしまったふうをして 源氏が飲もうとしない酒を 中将は許すまいとしてしいていた。 席上でできた詩歌の数は多かったが、 こんな時のまじめでない態度の作を たくさん列《つら》ねておくことの むだであることを貫之《つらゆき》も 警告しているのであるから ここには書かないでおく。 歌も詩も源氏の君を讃美したものが多かった。 源氏自身もよい気持ちになって、 「文王の子武王の弟」と史記の周公伝の一節を口にした。 その文章の続きは成王の伯父《おじ》というのであるが、 これは源氏が